皆さん、おはようございます。
何はともあれ?今回はQA10000越えですね?(掲示板でも「祝辞」の数々、ありがとうございます)
始めた当時は管理番号に日付がふってないので、(あくまでも私の記憶ですが)2014年の秋頃(9月?10月?)から開始だと思います。
〇 丸7年以上かけて到達した10000という数字
今、振り返ってみて感じること。
「質問に回答すること」で、「お役にたてたい」かつ(江戸川病院、乳腺外科の)「認知度を高めたい」という動機で始まりました。
ただ、最近私が(QAを通して)「実際に診察をしていないのに、他院での診察の内容を赤裸々に知ることにより」強く感じるのは「他院での診療レベルに対する不満(質問者が可哀想になります)」です。
これが前回のコラムに繋がっています。(まだ初詣していませんが、それらの医師の絶滅を切に願いたい)
乳癌診療には「診断」⇒「手術」⇒(術後の)「薬物療法」と分かれますが(術前抗がん剤の「乱用」が最近目立ちはしますが…)
(手術が稚拙なのは、勿論困りますが)それより問題なのは「診断の稚拙さ」です。
QAに回答していると、
細胞診で良性と出たけど… 後に乳癌と診断され… とか、
細胞診で良性と診断されたけど、(担当医自身が、自分自身の手技に自信がなく)「形が気になるから3か月後に再診してください」とか、
回答する前に、そのような文面を見るだけで(回答する以前に)イライラする今日この頃です。
いっそ、『どんなに遠くてもいいから、後悔したくなかったら(最初から)当院で診断(生検)受けてくれ!』
そう絶叫したくなるのは、QAを10000も回答した罪?が成せる禍なのでしょうか…
〇 本文
仕分け ~6000 (5001~6000がアンダーライン)
遺伝性乳癌 1
石灰化 4,39,43,75、190、208,212,242,270,373
授乳中のしこり 5,57,71,89,114,129,131,152,157,207,263,275,278,303,435,511,571,745,835、1258,5184
脇の下のしこり 12,113,134,184,194,213,215,250,289,358,364,723,925、1225、4050,4166,4255,4395,5218
子供のしこり 32,106,116,205,206,216,217
授乳中の胸の痛み 27,139,148,366,535,1764
乳房痛 31,42,46,79,145,149,175,178,186,193,277,292,302,386,410,461,1033,3571,3940,4017
脇の下と胸骨の痛み 96,163
MRI 15,265
自己検診 34
マンモによる被爆 45
葉状腫瘍 78,102,144,247,362,389,419,933,3856
嚢胞が癌? 111,187
授乳中のマンモ 112
マンモとエコーの違い 124
FAD 126
痛みを伴うしこり 133、150,153,171
左右差 135、1331、2284,2500,2682,4523
小豆代のしこり 137,164,170
脇の痛み 140,1243,1244,1282,1308,1326,1335,1378,1404,1406,1430,1481,2077,2375,2964,4002
肩、腕の痛み 1452,1522,1624,1660,1823,2365,4744
女性化乳房 160,183
乳頭分泌 188,437,474,484,506,530,573,588,626,815,4254,4452,4483,4620
妊娠中のシコリ 191,726
術前抗がん剤 198,443,487,531,741
乳輪部の痒み 204,1083
細胞診と組織診 223
良性から悪性に変わる? 233
小さな病変 282,3057
ADH 306,387,845,868(769⇒845⇒868)、3068
術後の定期健診 309,2295,4154,5421
胸の痛みと背部痛 312(今思えば)私の勘違いな回答、1852,1953,2688,3818,5154,5341
センチネルリンパ節生検 393
局所再発 447,823,1217,3660,4226,4296,4494,4899,4989
腫瘍マーカー 547,586,2218,3384,3604,4248,4677,5993
炎症性乳癌に炎症なし 974,1512,3232,3250,4816,4829,5602,5987
RDI 1113
放射線肺臓炎 1167
適応外診療(TS-1) 1228
硬癌について 1363,5968
妊娠授乳期、断乳後の血性分泌 1413,2312,2354,2373,2532,2565,2602,2786,2872,3174,3382,3615,4595,4641,4868、5236,5381,5581
肉芽腫性乳腺炎 2568,4082,4152、5132,5176,5320,5602,5982
手術不能? 3105
細胞診、組織診後の血性分泌 3602
妊娠授乳中の脇のシコリ 4741
鎖骨下リンパ節(手術)4052
特殊型 4067,4792
授乳中の脇のシコリ 4049
鎖骨下、脇の下、乳房の痛み 5044
ハーセプチン単独治療は「やっては、いけない」5073
★今回仕分け5001-6000をしていて、印象に残ったのは「肉芽腫性乳腺炎」でした。
この範囲では5132, 5176, 5320, 5602, 5982がありました。
肉芽腫性乳腺炎と言えば、過去に幾度となくコラムに登場し、219回では「まとめ」を行っています。
それじゃー、ここで再度取り挙げる必要ないよね?
今週のコラム 219回に「経過」も「治療法」も書いてあるからね。
まぁね。
確かに、その通りなんだけど。
今回は、違う視点で書いてみようと思うんだ。
違う視点?
どういうこと?
前回のコラム(323回)には、『生検手技が上手くできない医師』についてコメントしたけど。
乳腺外科医の質の問題を考えると、この「肉芽腫性乳腺炎は避けては通れない」問題だよね。
皆さんも「何故、乳腺専門医なのに肉芽腫性乳腺炎を知らないのだろうか? もしもそれが現実ならば、きちんと(学生時代なら、大学で… 医師になってからなら、乳癌学会の場で)教育すべきではないか?」
そう感じる方も多いと思います。
実際に、ひじょうーに「良くある」ケースとして、『前医で「さんざん」無駄な治療をされた挙句に良くならず、患者さん自身がネットで乳がんプラザを知り、当院を受診』があります。
私は、診察で一目見て、更にエコーでその肉芽を見ただけで『典型的な肉芽腫性乳腺炎です。心配しなくてもステロイドを使えば必ず治りますよ。実際に当院では(私が江戸川に来てから8年近くなりますが)100例以上診療していますが、治らなかった患者さんは一人も居ないのです。』
そう言うと、患者さんは(前医での長くて辛い診療から解放されるんだという安堵感と同時に)「何で、そんな簡単なことを前医は知らないんだ? 乳腺外科医だったら肉芽腫性乳腺炎の治療を皆が知って居るべきでは?」と(当然な)疑問を抱くのです。
んー。
ぶっちゃけ、何故なんだい?
3つの原因があると(私は)結論づけています。
1.命にかかわらない病気である。
癌は命にかかわるので、ここで決定的に誤ると、それこそ「訴訟」問題になると思う?けど、肉芽腫性乳腺炎は、あくまでも「炎症」なので「頓珍漢な診療で患者さんが被害を受けた」としても(実際に「スゴイ被害」だと思うけど)おそらく訴訟問題になることはないのでは? つまり「軽く」見られているということ
2.炎症=切開という(一般外科的な)教育
私自身もそうですが、一般外科医時代には(研修医⇒その後の若手医師)救急の外傷の現場、消化器外科の術後膿瘍など『外傷や術後合併症による膿瘍形成は切開排膿が大原則』という教育を受けています。
それ自体は、外科医の見識としては勿論必須のものでいいのですが、「乳腺には(切開排膿が無意味である)肉芽腫性乳腺炎がる」という知識は共有されずに、ただひたすらに「切開されつづける」悲惨のこととなるのです。
3.(学会で教育しようにも)それらの重鎮達自身が肉芽腫性乳腺炎を知らない
これでは教育しようにも、教育できませんよね?
それじゃー、あんたが(啓蒙を)やれば?
そう来たか!
医局を離れた以上、教授になって学生を教育することはもう叶いませんが…
いつか「肉芽腫性乳腺炎の診療」という本を刊行したいものです。(半分冗談ですが…)