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今週のコラム 287回目 脇が痛い⇒これは1000%副乳の刺激症状です。リンパ節転移に症状は絶対にないのです。

ここ東京は天気がいい。

天気がいいGWは、やっぱりいいですね。(この際、コロナは置いといて)

私的には(今日も市川外来ありますが)気分はすっかり、GW真っ只中。

明日出かけるので、今週のコラムは1日早めの掲載です。

 

○ 本編

Q&A『下腹部の違和感、痛み』を回答していて…

 

術後の患者さんが「様々な症状」を『これって、転移?』のように心配する。

これは、ある意味「Q&Aあるある」とも言えます。

何事にも例外は存在するので「その症状は1000% 転移ではありません」と、言い切ることは無論できませんが、やはり本質的なところを理解することで「無駄な心配をしなくて済む」という面はあるでしょう。

2年半も前ですが、かつて『今週のコラム153回目 喉がイガイガするとか咳が出る→それは風邪です。2018年10月7日 10時25分』にも全く同様の記載をしていますが、今回の『下腹部の違和感、痛み』も典型的な(転移を考える必要のない)症状と言えます。

 

この方は術後に抗がん剤(anthracycline and taxane)を行っています。

まず間違いなく「化学療法閉経」の状態と思われます。

自然閉経のように「比較的ゆるやか」に卵巣が機能不全を起こしても(一般的な)「更年期症状」がでるのだから、

まして「急激な卵巣機能不全」を起こす「化学療法閉経」や「LH-RHagonistによる強制閉経」が、『より強い、卵巣機能不全症状(更年期症状のより強いやつ)』を起こすであろうことは想像つきますよね?

 

その症状として、(今回のテーマである)「下腹部痛」があります。

これはダイレクトに「卵巣そのものの痛み」なのです。

 

それでは、この方が心配するような「どこかの転移で下腹部が痛くなることがあるのか?」と問われれば

「100%ない」とまでは言い切りませんが、(化学療法閉経という現状を考慮すれば)「99%卵巣による症状でしょう」と回答して差し支えないのです。

 

もう一つの視点

何かの症状が転移を示唆するのか?

この視点を「冷静に」「客観的に」持つことをお勧めします。

 

Q&Aを回答していて、最もよくある心配に『脇が痛いのですが、これってリンパ節転移しているのでしょうか?』

があります。

昔、ボンカレーのCMだったと思いますが「ボンカレーはカレーのホームラン王です」みたいなものを記憶していますが(微妙に間違っていたらスミマセン)

「脇が痛いのはリンパ節転移なのでしょうか?」は(ある種)「Q&Aのホームラン王(但し、三振)」でしょう。

 

回答は簡単。 これこそ「100%無関係」

★ 実際には(脇にある)副乳の痛みです。(このセリフ、今まで何十回もQAで回答していますね?)

 

皆さん、更年期症状としては「ほてり」や「ホットフラッシュ」を想像する方が多いですが、以下もよくご理解ください。

 

1.ホルモンが不安定となり、その刺激による典型的な症状

脇の痛み

鎖骨周りの痛み

乳頭の痒み

肩甲骨の痛み

肩の痛み、腕の痺れ

 

2.化学療法閉経やLH-RHagonistによる「急激なホルモン欠乏症状」

下腹部痛

関節痛

 

逆に、転移を疑う症状ってあるの?

 

 

 

実際には「殆ど」ありません。

唯一症状があるのは「骨転移による疼痛」ですが、(それ以外の症状で)どこかの転移を想像することはできません。

喉がイガイガ、咳が出る⇒そんな肺転移はありません。 普通に風邪を疑います。

肩が痛い、これって骨転移? ⇒ 関節痛であれば(寧ろ)ホルモン欠乏症状やホルモン療法の副作用をより考えます。

脇が痛い⇒これは1000%副乳の刺激症状です。リンパ節転移に症状は絶対にないのです。