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今週のコラム 268回目 鎖骨上郭清

今朝は体感的には、この冬一番の冷え込み

手袋をしてのランニングですが、走り出してすぐに指がかじかんでました。

ただ東京は天気がいい!

ここ暫く「雨のランニングが無い」だけで、如何に快適なことか!

高校まで新潟に住んでいた私にとって、本当にありがたい「天気のいい冬」

先日も関越自動車道で大変な「立往生」がありましたが、雪も降る地にお住いの方は大変です。

 

いよいよ年末が近づいてきました。

沖縄での(早朝)ランニングが楽しみです。(手袋要らないのかな?)

ところで・

昨日は、「とんがら猪鍋」でした。

市川外来帰りのランニング中から「よだれを我慢」するのに一苦労!

本当上手かったなぁ(これを書いている今も「生唾ごっくん」です)

今日は、これに「うどん」を入れてしめです。(楽しみ!)

ワインは「ポール・クルーヴァー エステート シャルドネ 2018」 

これも最高でしたが、

「シニアソムリエ麦ちゃん」の今年のベストワイナリーは(同じ南アフリカの)Stellenrustでした。

ステレンラスト アーティソンズ・マザーシップ シュナン・ブラン 2019

これは最高です! (今売り切れのようです。 残念)

 

○ 鎖骨上郭清

今年の後半、急激に展開された(私の中の)ニュージャンルです。(今年前半までは、よもや私が「その領域」に踏み出すとは想像もしていませんでした)

 

「鎖骨上」それは、コラム267で紹介した「鎖骨下郭清」とは意味合いがことなります。

何故なら、鎖骨下郭清は(今では「ほぼ失われてしまった」とはいえ)かつては存在していた術式ですが、鎖骨上郭清は(未だかつて)存在していないからです。

鎖骨があるので、「腋窩鎖骨下」とは術野が全く異なるため「鎖骨上を予防的に郭清する」ことはありえません。

それでは、どう考えられているのか?

1.腋窩リンパ節に4個以上転移がある場合

⇒予防照射として「鎖骨上」を(術後)照射します。

2.鎖骨下(レベル3)にも転移があった場合

⇒これも(1同様)鎖骨上へ予防照射します。

3.手術前から「鎖骨上リンパ節転移が確認」されていた場合

⇒これは「治療照射」となります。

4.手術後に鎖骨上リンパ節に転移が出現した場合(所謂「鎖骨上リンパ節再発」)

⇒これも「治療照射」となります。

♯ 1や2のような「予防照射」であれば通常のリニアックでいいと思いますが、「治療照射のような明確なターゲットが存在」する場合には(当院のような)Tomotherapyが推奨されます。

リンパ節転移には照射が非常に有効であることは(経験上)間違いありません。

ただ、照射は(同部位には)2回はできません(有害事象の問題で)

鎖骨上リンパ節再発(上記4)でも、照射未施行症例であれば(迷わず)照射を選択するのですが、(上記1,2,3のように)すでに術後照射をしていた場合には照射の選択肢が無くなるわけです。

 

その場合どうなるのか?

これは通常「薬物療法一択」となります。

ホルモン感受性のある場合には「ホルモン療法+CDK4/6阻害剤」、HER2陽性ならば「抗HER2療法」、(どちらでもなければ)「化学療法」

リンパ節転移は放射線にも薬物療法にも感受性が高いことは(経験的に)解っています。

完全緩解(complete response:CR)となり、それが維持されることも多いのですが、稀には「薬物療法の効果が良くない」もしくは(上記治療を)休薬すると「すぐに再燃する」症例があります。

 

今年後半に入って、そのような患者さんが(たまたま)複数いらっしゃったのです。

 

手術してもいいのではないか?

ふと、頭によぎりました。

鎖骨上リンパ節郭清は、数年前に(患者さんからも強い希望で)行ったことがあったことも後押ししてくれました。(全く経験がなかったら踏み出しにくいものです)

そのようにして(決して数が多いわけではありませんが)私の中で「鎖骨上郭清もありだな」となっていったのです。(ここ数か月の話です)

★但し、ここまでは(あくまでも)薬物療法を行った上での話でした。

 

○ 薬物療法の先行なしに、最初から「手術」する

そんな中、術後鎖骨上照射後の「鎖骨上及び縦隔リンパ節再発」の症例

今年の前半までの私であれば『縦隔リンパ節には照射をして、(鎖骨上は照射できないから)薬物療法で様子(効果)見ましょうか。』となった筈ですが、

(薬物療法は先行させずに)自然と『鎖骨上は手術して』縦隔リンパ節には照射しましょう。 となったのです。

 

・PET画像

 

鎖骨上リンパ節

 

 

 

縦隔リンパ節

 

 

・エコー画像

 

 

鎖骨上リンパ節が内頸静脈を「裏側から押し上げている」ことがわかります。

実際に、皮膚表面から「硬く触知」します。

SC 鎖骨上リンパ節

V 内頸静脈

A 総頚動脈

 

・術中写真

 

内頸静脈(v)の裏にある鎖骨上リンパ節(SC)

♯ 内頸静脈にテーピングして、これを内側へ牽引することでSCが漸く現れる

 

 

 

 

鎖骨上リンパ節(SC)は内頸静脈(v)の裏側に固着

鎖骨上リンパ節が「引っ張るだけ」で簡単に内頸静脈から外れれば手術は容易なのですが、「引っ張るだけでは外れない=腋窩静脈の裏と固着」されていると、(内頸静脈を割くわけには当然いかないので)結構神経を使う操作となります。