
栄養満点?
そう信じて食べてます。
〇 本文
ガイドラインとは、誰のためにあるのか?
患者さんのため? それとも… 医者自らのため?
今回は、そんな話題です。
1978 ! 子供心に刻まれた歌詞があります。
FRQ(future research question)8 鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は勧められるか?
●鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は基本的に勧められない。
このガイドライン(乳癌診療ガイドライン)には、上記(結論)とした理由が以下のように記載されています。
(以下)
手術を行うことで、非手術に比べて腋窩リンパ節郭清以上に術後合併症は多くなる可能性があり、入院手術コストが増えることも明らかである。
果たして、真実や如何に??
◎ 症例(比較的最近)提示
♯ SCは胸鎖乳突筋の裏にあり、PCは僧帽筋の前方に位置します。

手術時間 54min.
出血量 3ml
実際にはガーゼも殆ど拭いていない。 手術場看護師のマニュアルで(電子カルテ上 0mlとは記入できないので、記録上2mlとか3mlとなっている
手術時間 54min.
皆さん、この数字をどう思う(想像する)だろうか?
言うなれば…
麻酔科医が、麻酔薬導入を終え(それらの薬剤やら、何やらを)電カルに入力して「一息」ついて、術野を覗き込んだら『もう、標本取れちゃってるよ!』という感じでしょう。
〇ここでご本人から皆さんへ真実が伝わるようにと、コメントをいただいています。
(以下)
『退院翌朝より今までと変わらない生活をしております。(運動不足にならないよう、朝晩の犬の散歩は欠かせません。)車も運転していますし、痛みもほぼなく、薬も飲み忘れてしまうほど…』
手術操作に関して
1.鎖骨上縁に沿った皮膚切開
今回は最初に模式図で示したように「鎖骨上」と「後頚部」に離れて存在していたので(当然ながら)その両方の領域に跨る長さ(と言っても5cmくらい)となっています。
無論、服装によっては見える部位だから表皮は(胸部以上に)丁寧にメスでカット
2.真皮切開と広頚筋の同定
真皮を電気メスでカットしていくと、真皮に張り付いて存在する「浅い」筋膜である広頚筋が視認されるのでこれも、そのまま電気メスでカットします。
3.膜とその裏側に存在する脂肪(皮下脂肪)上から指で(姿は見えないが)目的のリンパ節をその「硬さ」で認識し切除予定部位を定める。
リンパ節はよほど腫大(2cm over)しない限り、その姿は(この段階では)見えません。
今回のSCもPCも1cm弱でしたので膜と脂肪の中に納まっており触診だけが頼りとなります。
術前にエコーでマーキングしていた部位を参考に(触診で)確認します。
4.PCの摘出
触診でPCの位置を確認。
実際には外経静脈の枝の裏側に存在していたので、このリンパ節に入り込む枝を丁寧にしょりしながら剥離を勧めると、漸くそれを引っ張り出してくることができた。
更に裏側にある頚横静脈から丁寧に外して摘出、この際周囲の(更に小さい)リンパ節も一緒に摘出
5.SCの摘出
これは全面内側へ張り出してくる胸鎖乳突筋の裏やや外側に存在していた
胸鎖乳突筋の膜を切離し、これを反り返らせることによりこの裏に存在するSCをダイレクトに蝕知
今回は内頸動脈とは距離があったため、比較的容易にこの枝を丁寧に処理しながら外し郭清
6.頸部前面を丁寧に修復
切離した膜を再度縫合し、広頚筋も皮下で縫合全て層々に閉鎖
全く出血なく終了。 よってドレーンを入れる理由がない!

とにかく、頸部は細かい血管が多く張り巡らされているので出血厳禁。となります。
胸部や腋窩以上に出血には気を遣うため、「手術操作の範囲が腋窩の1/4程度」ですが、手術時間は(腋窩以上に出血に気を使い:基本 0ccでなくてはいけません)腋窩郭清とほぼ同等(1h弱)となります。

「出血を制する者は、手術を制す」だね?

いいこと言うね!
普段、胸部の手術の際にも「出血無に拘る」その手技、習慣こそが最上の「鎖骨上郭清のレシピ」
ほんとうにそう思います。

冒頭のガイドラインに戻るけど…
ガイドラインがいうところの「腋窩リンパ節郭清以上に術後合併症は多くなる可能性があり」とは、常日頃「出血を垂れ流しにしながら手術している(言っちゃった!)彼らに当てはまるのかもしれない」が、手術の本質は出血させないことにあると知っているものにとっては、全く迷惑な記述と言える。
♯その「出血垂れ流し」の埋め合わせが、結局「ドレーン」ということになる。

つまり、そのガイドラインは患者さんのためにあるのではなく

じゃー、誰のため?
言っちゃってよ!この際、国際、国際証券 注)
注)のちの三菱UFJ証券、現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券のテレビCM 1980年代後半~1990年代

相変わらず、謎雄君。 昔CMネタが好きだね(笑)
勿論、声を大にして言わせてもらうよ。
その(情けない)ガイドラインは「鎖骨上郭清が推奨されてしまったら、困っちゃう」彼らの身を守るためにあるんだ。
Epilogue

あの頃の少年たちは、みな大きくなり大人となった。
あのアニメのように、現実には夢に溢れた航海は存在しないかもしれない。
だけど忘れてはいけない。
自分に何ができるのか? 何がやれるのか?
かつての少年は大人になってもその夢を追い続けたいものです。
