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今週のコラム 218回目 針生検でのFEA / ADHの診断 vol. 1

2020 始まりました。

私、個人としては病院から離れられない事情もあったのですが

(その替り)貯まっていた仕事も綺麗に片付いて、結果としては気持ちいい状態で年始を迎えられました。

今年は、ただ(仕事)追いかけられて(それに)対処するだけの1年ではなく、自ら「新たな戦略(仕事)」を仕掛けていく1年にしたいと思っています。

 

〇先週のスカロケ(元旦の放送)

ゲッターズ飯田

『マンボウさんの運気は、ここ暫くは悪かったけど、ここから一気に上がります』

マンボウ

『(ここ数年は)本当に酷かった。2年前の仕事で一生懸命(脚本)書いたんだけど、とにかく痛烈な批判で… 心がポッキリ折れちゃいました。』

 

これは、(番組名は言ってはいなかったけど)間違いなく「あ、安部礼司 beond the average」の事だな。(すぐにピントきました)

(当時)始まる前は、「今度、安部礼司に(脚本で)参加することになったんだ」って、(スカロケで)喋っていて嬉しそうだった。

それが、始まった途端(昔からの安部礼司ファンからの)「批判が酷くて…」とてもしょんぼりしていたのが可哀想だった。

 

13年以上続く、あの番組も変化が無くては生き残れない。

主人公を押しのけて人気者となった(濃厚キャラの)「刈谷勇」が降板し、「3部作編成」となり(ここでマンボウが関わりました)、(割とすぐに)それも終わり、

現在は2部構成(会社+自宅)となっています。

 

もともと、(ラジオ派ではなく)カーステ(CD)派だった私が、たまたまFMつけていて2006年4月2日 時間からして(おそらく)スキー場からの帰りの車中で「安部礼司の初回」を聴いたのが始まりです。

今でも覚えているのは「ピーコ」が(ファッションチェックで)『あの人見てー。ダサいファッションだわ。』(13年前の私の記憶)

 

(本編)

『管理番号8155 質問2   MMTEと外科的生検についてお教えください』を回答していて…

 

内容的には

『今週のコラム149回目 ここで重要なのは(FEAを)「放っておくと癌になる=前癌病変」との理解でいいのか?』

『今週のコラム134回目  これでADHならば「ADHは確定診断」してもいいのです。(FEAも同様)』

で断片的に触れているものを、統合して解説をこころみます。

 

まず、flat epithelial atypia:FEA(平坦上皮異型)/atypical ductal hyperplasia:ADH(異型乳管過形成)/ductal carcinoma in situ:DCIS(非浸潤性乳管癌)について

私は病理医ではないので、あくまでも臨床医としての立場で解説します。

 

 

atypia(異型)を伴う増殖性病変(腫瘍)として「格付け」しているんだね?

 

 

 

 

その通り。

問題となるのは、その連続性(FEA→ADH→DCIS)が本当に起こるのか?

しかし、その評価は厳密には難しい。

 

 

何故?

 

 

 

 

実験室とは違い、生きている人間だから厳密なフォローは難しいし、(数年単位の話だし)

そもそも「同じ病変の変化」なのか、違う「新たな病変の出現」なのか、(医師の)主観が入ってくるからね。

 

 

 

なるほど。

それでは、どう考えるべき?

 

 

 

医師によっては…

漠然と「前癌病変」みたいな捉え方をして「癌ではないから、経過観察が正しい」としているけど、

私は、もう少し捉え方を変えてほしいと思っているんだ。

 

 

どういうこと?

 

 

 

 

そもそも、ADHが小範囲(2mm以下)なだけで、実際には「低異型のDCIS(この表でいうDIN1C)」であるという認識が必要。

更に重要なことはADHは、そもそも(病変全体を評価して)「本当に2mm以内であることが確認されたときの診断」であるということなんだ。

 

 

 

 

つまり「針生検でのADHという診断」はあくまでも「仮診断」っていうこと?

針生検では「病変全体の評価」なんかできないもんな。

 

 

 

そう、その通り!

そこが、この問題の核心なんだ。

昔(ほんの20年前まで)は、細胞診しかなかったから、ADHの診断は例外なく「外科的生検」での診断だったんだ。

それが、「針生検の登場で、中途半端な仮診断が頻発」しているということ。

そもそもの「病変全体を評価しても2mm以下で低異型だからADHにとどめる(癌とはしない)」という診断だった筈のADHが(病変全体を評価していない)針生検での診断名にも使われていることが「大いなる誤解」の素と言えるね。

 

 

それではFEAはどう?

ADHとは、少々事情が変わるよね?

 

 

 

病理医でさえ、捉え方が異なるかくらいだから、乳腺外科医の捉え方も様々です。

(ぼんやりと)「乳腺症の一種」位の捉え方をする者も居れば、「癌が隠れているかもしれない」という立場の者も(少数ですが)居ます。

 

 

 

(医師にとっても)捉え方が異なるのでは、患者さんも大変だよね?

患者さん自身が心配して、医師に訴えても『癌じゃないから、経過観察』の一点張りの医師も居そうだよね?

 

 

 

そうなんだ。

それが『管理番号8155 質問2   MMTEと外科的生検についてお教えください』で、実際に質問者が遭遇している事態なんだ。

ADHが仮診断であるように(針生検での)FEAも仮診断です。

実際に、(外科的生検や広範囲のMMTEにより)癌が見つかるケースも少なくはないのです。

まずは、このエコー像をご覧ください。

 

 

腫瘤非形成性病変です。

この病変を、どう捉えるのか?

 

 

 

 

 

 

 

だいたい、このように(①~③)病変を捉えられますね。

 

 

 

 

 

 

 

実際には①(乳管拡張)の原因は「寧ろ(一見病変の無さそうな)④」にある可能性があります。

⑤も同様なのです。

 

 

 

 

 

 

◎腫瘤非形成性病変の「山」モデル

上の図を顕微鏡で見ると、このようなケースがあります。

 

一番薄い色(薄い肌色)はUDH(WHO分類)

その次の色(肌色)はFEA(WHOのDIN 1A)

一番濃い色(オレンジ)がADH(WHOのDIN 2A)

腫瘤非形成性病変とは、病変が一様ではないのです。

 

 

 

 

 

 

等高線として捉えると、このようになります。

①はそもそも低い山(丘)であり全てがUDH(異型病変なし)

②は中くらいの山であり、その頂上はFEA(DIN 1A)

③は高い山であり、その頂上にはADH(DIN 2A)がある。

ただし、③のADHの範囲は実際には2mm以上あるので、病変全体を捉えればDCIS(DIN 1C)となります。

 

 

CNBでの診断

 

このような病変をCNBすると

このケースではFEAの診断となります。

 

 

 

 

 

 

 

このように(うまい具合に)③で病変の中心部(頂点)捉えたとしても…

(CNBでは2mm以上の病変を取ることは至難の業なので)ADHの診断となります。

 

 

 

 

 

 

 

今週は、ここまで。

次回はMMTEと外科的生検について(続きを)お話しします。