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今週のコラム 216回目 「癌の可能性が無ければ」濃縮嚢胞でも線維腺腫でも、どちらでも構わない(どうでもいい)のです。

こんにちは。田澤です。

2020/7/9開催の乳癌学会の抄録の締め切りが近かったので、慌てて登録したところです。(毎年思うけど「半年以上前」の締め切りって早くない?)

〇先週のスカロケ

すっかり、年末モード?

 

『尾崎豊しばり』で、仲間内でカラオケがあるので、「その練習に…」とマンボウが「僕が僕であるために」を歌っていました。

 

 

 

高校生の頃に出会った『十七歳の地図』1 )

今でも覚えています。

俺『尾崎豊? 誰?』

友人『今、勢いあるんだ。知らないの?これ聴きなよ。』と、ダビングしたカセットテープを渡されたのです。

「15の夜」には中学時代の自分を重ね合わせ、その等身大の歌詞にも感動しました。

翌日、友人から『どの曲が一番良かった?』

俺『ハイスクールRock’n’Rollだね。

友人『それ(その選択)、アツシらしいね。 俺が好きなのは街の風景だよ。

それを聞いて、「随分大人な奴だな」 そう思ったことまで思い出します。

1 )十七歳の地図

尾崎豊の1st.album  初版は2000枚くらいしか売れなかったらしい。

この作品に「あの」浜田省吾の盟友である「町支寛二」がかかわっていたことには驚きです。

「高校時代に聴いていたアーティスト」として『浜田省吾』と、言っていたその「肉声」を今でも覚えています。(新潟でのコンサート)

 

 

 

本編

〇『8136 線維腺腫』を回答していて

「本当に癌でないの?(しこりver.)」の解説が必要と思いました。

 

画像所見(主としてエコー)は「腫瘤形成性病変(腫瘤)」と「腫瘤非形成性病変」とに分けられます。

〇腫瘤非形成性病変

代表格は「乳腺症」となりますが、癌との鑑別が必要となるケースが当然あり、それについては、

一時期、『乳腺症と言われたけど、本当に大丈夫か?(癌ではないのか?)』というQが多く、

それに対して『今週のコラム 212回目 「良性を良性と診断するためにMMTEを積極的に用いることでのみ 乳腺症を「100%癌ではないと断言できる」ようになるのです。』で解説しています。

〇腫瘤形成性病変

いわゆる「しこり」です。

1.嚢胞 正常乳管が詰まって内部に液体が貯まったもの

内容が「液体」なので、100%癌でないと(画像だけで)断言できる。

 

①典型的な「嚢胞」

内容が「真っ黒」に抜けていますね?(中身が液体なのです)

 

 

 

 

 

 

2.濃縮嚢胞 (1と同様だが)内用液が固まってしまったもの

内容が(液体ではなく)「個体」であるため、腫瘍と区別が困難なケースがある。

 

②これは、検診で2年前には「線維腺腫」と判断されています。

ところが(同じ所見を)今回は「濃縮嚢胞」と診断されています。

「嚢胞」とは異なり、内部エコーが「真っ黒に抜けていない」ので「濃縮嚢胞」なのか「線維腺腫」なのか?

濃縮嚢胞も(液体が固まって)「個体」となっているので腫瘍との区別がつきずらいのです。(腫瘍も当然、「個体」です)

実際は「濃縮嚢胞」でした。(細胞診すれば解ります)

 

 

 

 

3.線維腺腫 良性腫瘍

扁平、楕円だと線維腺腫と断言(癌ではない)できるが、「張りがある」もしくは「歪」だと乳癌との鑑別が必要

 

③典型的な「線維腺腫」

「真っ黒」に抜けていませんよね?

 

 

 

 

④きれいな楕円の線維腺腫

(3に比べれば)「張りがある」ので(私なら)「組織診して確認しましょう」とします。

(1と比べて)内容が「真っ黒に抜けていない」ことが解りますね?

この内部エコーは「濃縮嚢胞」ではない。と断言できますが、これは言葉にするのは難しい(スミマセン)

 

 

 

⑤扁平な線維腺腫

(4に比べると張りがなく)扁平なので、組織診を勧めたりはしません。

 

 

 

 

 

4.葉状腫瘍 良性~境界悪性~悪性

種々のケースにより「線維腺腫」や「癌」との鑑別が必要となる。(組織診でないと確定診断はできない)

5.癌 典型的なものは(組織診をするまでもなく)癌と判断できる。

 

 

しこりは上記のように分けられます。

「嚢胞」は、勿論どうでもいい。

「濃縮嚢胞」と画像上判断できれば(これには少々「経験」が必要)これも「どうでもいい」

 

問題は、QA8136でも記載しましたが、「癌の可能性があるのか?」という視点が「しこり」にも当然必要となるのです。

(以下抜粋)

★★(画像所見の)線維腺腫にも
1.癌との鑑別が不要(100%線維腺腫と断言できる) 「生検も定期健診も不要」
2.線維腺腫の可能性が高いが癌の可能性も少しはある。 「生検するか、経過観察どちらかが必要」
3.(線維腺腫と思うが)癌の可能性もある。       「是非、生検したほうがよい」

 

(画像上)濃縮嚢胞と判断できれば無論「生検不要」となるが、線維腺腫と鑑別困難なことはある。

ただし、「癌の可能性が無ければ」濃縮嚢胞でも線維腺腫でも、どちらでも構わない(どうでもいい)のです。