みなさん、おはようございます。
今回のコラムは日曜日ではなくて、本日(月曜日)になってしまいました。
★最近、気になること。
このQandAでも、増えてきましたが術後のカペシタビン使用です。
再三、コメントしていますが、カペシタビンは「手術不能、再発乳癌」にしか適応がありません。
それを「CLEATE X」の結果を根拠に「術後補助療法として使用」するのは、「適応外」診療です。(決して行ってはいません)
この件については、「中外」にコメントを求め、
1.中外として(CLEATE Xをもとに)「(術後補助療法への)適応拡大申請」をする予定は全くない。(適応拡大申請はハードルが高いのです)
2.術後補助療法として使用しないように、医師には情報提供(注意喚起)しているつもりだ。(それでも使うとしたら、それはメーカーの責任ではない)
3.「適応外診療」だから、このケースで使用する場合には当然「自費診療で行っている」と思っていた。
以上の回答をもらっています。
3を本気で信じているのか?
もし、そうだとしたら、それは「あまりにも無責任}
「実際は適当な再発病名をつけて(平たく言えば詐欺行為)保険診療で行っているだろう」と、知っていながら「見て見ぬふり」だとしたら、企業としての倫理的責任が問われる。
引き続き「実態(使用するとしたら、自費診療で本当に行っているのか?)」を報告してもらうようにお願いしました。
〇本編
当院での手術までのパターン
(以下、前回からの抜粋)
〇本編
当院での手術症例には以下に挙げる3パターンがあります。
1.「手術申し込みメール」からのパターン
2.「確定診断希望メール(生検希望メール)」からのパターン
3.地元(江戸川/葛飾)からの検診、自覚、紹介など
本日は、2です。
「生検枠」としてMP市川駅で金曜日夕方(17:00~)もしくは土曜日昼間(12:15~)を設けています。
「確定診断希望メール(生検希望メール)」をされる方は、大きく以下の3通りに分けられます。
①検診で「しこり」を指摘された。
②「しこり」を自覚した。
③前医で「しこり」を生検されて良性と言われたけど不安(「取れていないかもしれないから「3か月後再診」と言われたなど)
この中で、やはり一番問題は③となります。
『今週のコラム 208回目 「5mmと小さいから、上手くできないかも…」 そもそも、その発想に問題あり。『超音波で見えるものは、たとえ3mmでも100%確定診断しなさい』』の症例2はまさに「コレ」です。
それでは別の症例を(アレンジして)紹介しましょう。
自分で右にシコリを自覚したAさんはBクリニックを受診します。
Aさん
『半年前の健診マンモでは異常なかったのですが、ここ(右上外)にしこりを触れまたので来ました。』
Bクリニックでマンモとエコーをした上で
B医師
『それ(右上外)のシコリは9mmです。カテゴリー4です。左にもカテゴリー3のシコリが複数あるが、その(右上外)のシコリはこのまま針生検します。』
≪数日後…針生検結果説明≫
B医師
『先日の針生検の結果は良性でした。』
Aさん
『良かった! これで安心なんですね?』
B医師
『そうではありません。もしかすると(手技的に)「きちんととれなかった」可能性があります。』
Aさん
『えっ。(診断が確定するとばかり思っていたので、落胆しながら)それではどうするんですか?』
B医師
『(通常のバネ式針生検よりは組織量が取れる)吸引式針生検(MMTE)をしようと思います。でもその前にMRI撮りますね。』
Aさん
『まずは診断(MMTE)が先では?』
B医師
『MRIを先にさせてください。先にMMTEしてしまうと形が変わってしまって、MRIの結果が解りにくくなる可能性があるからです。』
≪後日MRI撮影、その結果説明≫
B医師
『おかしいなぁ。MRIでは「悪性の所見なし」となりました。 これでは(予定していた)MMTEも延期しなくちゃなぁー。』
Aさん (MRIの結果に少し安心しながらも)
『でも、やはり不安です。予定通りMMTEしてほしいです。』
B医師
『駄目、駄目。MRIで良性所見である以上(針生検でも良性だったしね)、MMTEはやり過ぎだよ。 3か月後に予約しましょう。』
Aさん
『もしも、癌だったら… 不安です。』
B医師
『(万が一)悪性だったとしても3か月なら、まだ大丈夫だよ。』
Aさんは、「この診療の流れでいいのだろうか?」と疑問と不安を感じ、ネットを調べ始めました。
そして、この「乳がんプラザ」に辿りついたのです!(脚色はありません。念のため)
最初は『遠方だから…(関西在住です)』
と、躊躇していましたが、ついに『確定診断希望メール(生検希望メール)』の扉を開けたのです。
≪メールでのやりとり≫
「手術希望メール」や他の「秘書メール」は、(患者さんは)「秘書とやり取り(私が指示していますが)」するのですが、この「確定診断希望メール(生検希望メール)」だけは、私と直接メールをやり取りすることとなります。注 1 )
注 1 )「生検枠」はMP市川駅なので、そのスタッフとの交渉が必要となります。
○(確定診断希望メール以外だと)江戸川病院なので、
「患者」⇒「秘書」⇒「私」⇒「秘書」⇒「患者」となります。
○確定診断希望メールだとMP市川駅なので
「患者」⇒「私」⇒「MP市川駅」⇒「私」⇒「患者」というシステムにしたのです。
★もしもここに「秘書」を入れたら 「患者」⇒「秘書」⇒「私」⇒「秘書」⇒「MP市川駅」⇒「秘書」⇒「患者」となってしまうからです。(スムーズにはいかないですね?)
「確定診断希望メール」内容
Aさん
(前医での、やり取りを記載したうえで)「右上外側のシコリの」確定診断してほしい。また(前医で言われた)他の複数のシコリも同時に生検してもらいたいのです。
「私からの回答」
了解しました。 勿論「右上外側のシコリの確定診断」をしましょう。
ただ、他の複数のシコリについては(時間の問題や保険の問題もある 注 2 )ので)全て、同時に行うことはできません。
実際に私がエコーして「気になるシコリだけをCELERO」することにしましょう。
もし、それでよろしければ、〇月△日 17時~ 市川が可能です。
ご希望ならば、詳細を案内します。
注 2 ) 時間の問題: 「生検枠」は15分~30分です。
保険の問題: これは医療機関側の問題です。
生検は「月に1件」と(保険で)決まっているので、「それ以上行うと、病院の持ち出し(保険請求できない=サービス診療)となる」のです。
だから、複数病変あっても同時には検査しない施設が殆どだと思います。
ただし、当院では「遠方から何度も来てもらうのは忍びない」という理由で同日に複数行っています。
♯ 私自身が院長から厳しくチェックされない環境にいるからできるのですが(院長に感謝)
「返信」
Aさん
それ(右上外側はMMTEして、その他はエコーしたうえで必要あればCELEROする)でOKです。
詳細の案内お願いします。
「私からの詳細の案内」
(以下、実際に送っている書式)
A 様
お待たせしました。予約が確定したのでお知らせ致します。
メディカルプラザ市川駅(JR市川駅 北口前のダイエ-(市川ビル)9階)
【 〇 月 △ 日( 金 ) 】
16:30 受付にて初診の手続き→ 17:00 より乳腺外科診察
(右上のマンモトーム+(エコーしたうえで)CELERO予定)
★【健康保険証】【マンモグラフィ等の検査結果(CD-R等)一式】【紹介状】を
ご持参下さい。(受付にて全てご提出下さい)
★上下分かれる服装(ワンピース以外)でお越し下さい。
★ご予約の患者様が大勢いらっしゃいますので、長い時間お待たせする事がございます。
終了時間は分かり兼ねます。ご了承下さい。
★お願い
子供さんを連れての来院は、なるべくお控え下さい。
無理な場合は、必ず付き添いの方とご一緒にいらして下さい。
診察室は狭く危険です。子供さんを見ていられる人員も御座いませんので御了承下さい。
★エレベータは午前10時から動きますので、午前中に来院される方はご注意ください。
★当日の予約変更はメディカルプラザ市川駅にご連絡下さい。電話047-326-3500
「メディカルプラザ市川駅」
江戸川病院 乳腺外科:田澤 篤
≪MP市川駅で 〇月△日 17:15 ≫
私
『すみません、少し(15分ほど)遅れてしまいました。 金曜日は手術日なので、江戸川で手術が終わってから来るので… 注 3 )』
注 3 )手術は複数(4件~5件)あるので、患者さんの入れ替え時間が鍵となります。
私が17:00~市川で診療があることを手術室のスタッフも認識し始めたので、(迅速な入れ替えに)協力的ではあるのですが、実際には「他科での緊急手術」などあり、時間通りといかないこともあるのです。
Aさん
『いいえ、大丈夫です。最終の新幹線に間に合えばいいです。 注 4 )』
注 4 )幸い、MP市川駅とあるように、JR市川駅の真ん前にあるので東京駅へのアクセスは抜群です。(快速で15分!で東京駅に行きますよ)
私
『それでは超音波しますね。 ご本人が気になっている「右上のシコリ」はこれですね?』
右上外側 血流信号+
左右を暫くエコーしたうえで
『他には左2時の表面にある8mmと左11時の奥にある8mmが気になります。』
左図(左2時表面)/ 右図(左11時奥)
Aさん
『左も怪しいのですか?』
私
『2時は形が歪なので、気になります。11時は奥にあるので(エコーが届きにくく)評価は難しい。これらはCELEROしますね。』
右のMMTEと左2か所CELEROしました。
Aさん
『痛くないし、早いので驚きました。』
私
『これは、経験ですね。 生検で重要なのは「どこからアプローチすべきか?」です。』
『前医の生検痕を見ると、その医師の実力が分かります。「おいそい、そこからでは近すぎて危ないよ。」とかね。注 5 )』
注 5 ) 針の入り口とシコリまでの距離は重要です。 近すぎると「角度がつきすぎて」安全に上手く採れないのです。
★次回のコラム(211回目)で、このアプローチについて詳細することにしました。
≪2週間後 市川外来で≫
私
『右は癌でした。幸い非浸潤癌です。 左は2カ所ともfibroadenomaでした。』
Aさん(覚悟していたとはいえ、前医の針生検で良性であったので、がっかりしながら)
『覚悟はしていました。 左が良性で幸いでした。手術お願いします。』
私
『了解しました。術式と日程を決めましょう。』
Aさん
『全摘でお願いします。迷いはありません。それと日程はできるだけ早くでお願いします。』
私
『全摘の場合は「同時再建するか、しないか」という選択肢があります。もしも同時再建ご希望ならば、形成外科受診をまずはしてもらいます。それからなので、どうしても日程が遅れがちにはなりますが、Aさんは非浸潤癌なのでその余裕はあります。』
Aさん
『同時再建は希望しません。できるだけ早く手術お願いします。』
私
『それでは●月▲日にしましょう。』
Aさん
『解りました。江戸川ですね? 受診は2度必要?』
私
『あと1回で大丈夫です。あくまでも市川+江戸川の合計で2回受診が必要なのです。次回受診時に全身麻酔の為の検査(採血、心電図、呼吸機能検査、胸部レントゲン)が必要なので、その案内もしてもらいます。』
『外来の日とその時間は、週明けに秘書から案内があります。』
Aさん
『解りました。 案内お待ちしています。』
翌週(週明け、月曜日)秘書より、連絡があり案内される。
≪翌週 江戸川病院外来≫
『今日、おこなった検査(採血、心電図、呼吸機能検査、胸部レントゲン)は、今チェックしましたが、異常はありません。それでは、まず問診を行います。』
『はい、何なりとお答えします(笑)』
問診内容は前回のコラム209の 注 4 )を参照ください。
今週のコラム 209回目 手術申し込みメールより ここまで来て、質問者も「もう限界だ」と感じ、QandAを送ったのです。
『このまま同意書に移ります。』
同意書の内容も前回こコラム209の 注 5 )を参照ください。
『全体を通して、何か質問ありますか?』
『入院の時間とか・』
『これから、看護師から「入院案内」してもらいます。 診療に対しての質問は大丈夫ですね? 』
『はい。よろしくお願いします。』
≪2週間後 手術当日 早朝 江戸川病院≫
病室ベッドサイドで、術前エコー行い、
『今日は、ご家族いらっしゃいますか?』
『はい。主人が来ます。』
『了解しました。手術室の手前に待合室があるので、(手術終了時に)そこに居らっしゃれば、お話しします。ご本人には夜、直接お話ししますね。』
『今日(金曜日)は市川外来が夕方からあるので、終了後戻ってからなのでpm7:30位になります。』
『(私も金曜日に生検してもらったから)解ります。あのあと、江戸川に戻ってたのですね?』
『勿論です。 手術後ほったらかしなんて、織田裕二じゃないんですから(笑) 注 6 )』
注 6 )「振り返れば奴がいる」今週のコラム 208回目 「5mmと小さいから、上手くできないかも…」 そもそも、その発想に問題あり。『超音波で見えるものは、たとえ3mmでも100%確定診断しなさい』
参照のこと
≪手術当日 江戸川病院 pm7:30≫
創部を確認し
『創部は問題ありません。 (ご主人から聞いていると思いますが)センチネルリンパ節生検は陰性で郭清省略しています。歩いていますか?』
『歩いています。 (センチネルは)主人から聞いて、ホットしました。オシッコガ青いんですが… 看護師に聞いたら「次に出たらこのカップに採っておいてほしい」と言われました。』
『それは(センチネルの際の)色素の色ですよ。 明日の朝くらいには普通になります。 知らない看護師がいるから困ったものです。カップは要りませんよ。』
『なるほど!安心しました。なんだろう?って、看護師さんと一緒に(ちょっとだけ)心配してたんです。』
『それでは、明日朝に貼り換えして、退院です。』