皆さん。こんにちは。
台風が来そうな日曜日です。如何お過ごしでしょうか。
久しぶりの関東上陸になりそうです。
私は、これから江戸〇区の薬剤師会での講演があるので、この作業もそろそろ終わらせて「お出掛けの準備」
そんなところです。
このような機会は、「乳癌の薬物療法」を自分の中で整理しなおすいいきっかけとなりました。(感謝)
〇本編
46歳 女性 Bさん
右Bt + Ax + Ic pT2=35mm, pN1(3/8), luminal(HER2 0), Ki67=55%
術後 TCx4終了後、tamaxifen内服中、
術後3年目の腫瘍マーカーが上昇 CEA 3.2(4/2)⇒9.0(7/3)
PET 腰椎転移+縦隔リンパ節転移
★治療内容
radiationを終了(7/22 ~8/26)
EC終了(9/3~11/5)
palbociclib+Fulvestrant+LH-RHagonist(11/26より開始
(以上、今週のコラム199回目の内容)
『Bさん。 今日で(palbociclibを開始して)半年になります。 調子はどうですか?副作用は変わりませんか?』
『元気にやってます。特に副作用は気になりません。口内炎もうがいしていれば、大丈夫。慣れました。』
『採血もあまり問題ありません。白血球も2500程度で安定してます。治療中はこんなものでしょう。』
『現在は、マーカーも正常値、画像上もPRです。この状態を可能な限り継続しましょう。今後も半年毎に(継続するかを)検討していきましょう。』
CEAの推移
ECで速やかに正常化①し、
その後はpalbociclib + Fulvestrantで(正常値を)維持②しています。
82歳 女性 Cさん
左Bt + SN , HER2 type
2年前に手術、その後無治療。その時点では80歳
腫瘍マーカー上昇⇒PETにて肝転移が見つかった。
(治療)
trastuzumab + pertuzumab + eribulin 4cycle にて腫瘍マーカーも正常値、画像上もCR
(以上、今週のコラム 200回目の内容)
『治ったのだから、治療も終了じゃな?』
『根治した可能性も(無論)ありますが… 検出限界以下に小さくなっただけで、残存している可能性があります。』
『残っているかもしれないってこと?それではどうするの?』
『再燃しないように、治療を継続します。ただし、抗がん剤(eribulin)は終了にしましょう。つまりtrastuzumab + pertuzumab(分子標的薬単独)です。』
『抗がん剤が無くなるってことは、副作用も楽なんじゃな?(eribulinはそれほどではなかったけど…)髪の毛も生える?』
『その通り、副作用もほぼない筈です。まず6か月継続してみましょう。』
〇6か月後
『今日のマーカーも正常です。もう6か月継続して様子見ますか?』
『孫が夏休みで家に来るんで、ひとまず終わりにしたいの。』
『解りました。いいでしょう。 その代わり3か月に1回腫瘍マーカーのチェックと6か月に1回のPETだけは来てくださいね。』
CEA / CA15-3の推移
trastuzumab+pertuzumab+eribulinで一気に正常化①し
その後のtrasutuzuamb+pertuzumab(6か月)⇒無治療で正常値が維持②されています。
〇再発治療はHER2陰性(Bさん)とHER2陽性(Cさん)に分けられます。
それぞれのサブタイプでの「典型的な治療戦略」と言えるでしょう。
勿論、全ての方がBさんやCさんのように、上手くいくわけではありませんが、現実にそのようなケースはあるわけです。
★再発治療というと『どうせ、何やっても予後は一緒だから、楽な治療から』という消極的な方針をとる医師も少なくありません。
果たして、(抗HER2療法やCDK4/6阻害剤という新たな武器を手にした今でも)本当にそうなのでしょうか?(まだ結論には早いのです)
私が重視しているのは「正常化①」と「正常な状態の維持②」です。
同じ「維持」でも、「悪い状態を維持」と「(正常にしてから)正常な状態を維持」では、似て非なるもの。
正常な状態の維持の先にこそ根治が見え隠れするのです。(その先に「新薬」が待っていないとは限りませんよね?)