梅雨真っ盛り。
5年前を思い出しています。
5年前、4月に江戸川に赴任した春…
患者さんに認知されずに暇を持て余していました。
「どうしたら患者さんを増やせるのだろうか?」
そう思いながら、(当時の)営業担当の〇〇さんと共に(近隣の)病院周りをしていました。
『今度、乳腺外科を新設(正確にいうと3年ぶりの復活)して赴任したので、患者さんの紹介お願いします』
そんな、あいさつ回りの日々でしたが、ふと当院に付属の診療所(クリニック)が存在していることに気付きました。
〇メディカルプラザ市川駅
その存在に気付いたとき、「ここは使えるかもしれない」そう思いました。
「市川駅」という名称でお気づきだと思いますが、駅前にあり利便性がいい。「土曜日なら、なお需要があるのでは?」
こうして、土曜日の市川外来が開始されました。
立ち上げ当時は(当然ながら)患者さんも少なく、ガラガラでしたが…
幸い、QandA効果で患者さんが増えていき…(患者さんが増えたところで、金曜日夕方も追加しました)
やがて…
局麻手術は全て市川でやるようになり、(更に)MMTEなども(激混みの江戸川を避け)殆どを市川でやるようになりました。
今や市川は私にとって重要な戦略起点。
その大事な市川で、この5年間、立ち上げから唯一、一緒に頑張ってくれたスタッフが先日退職されました。
いろいろ、我儘を聞いてもらったり(常態化した)時間延長などに嫌な顔もせず、いつも爽やかな笑顔で迎えてくれた。
とても有能で、それは私が「乳管造影は全例」「MMTEも殆ど」市川でやるようになったことと決して無縁ではないのです。
その最後の勤務の際に、その感謝と(戦友としての)極めて残念な気持ちが上手く伝えられなくてモヤモヤしていたので、このコラムをお借りして伝えます。
『本当に5年間ありがとうございました。』
本編
〇手術当日 19:30過ぎ (病室にて)
全ての手術が終了後pm5時~「外来診療(診察やMMTE)」→「局麻手術(局麻手術は市川で行っています)」→江戸川病院へ戻ってくるのです。
私『痛みどうですか? 吐気あります? トイレ歩きましたか?』
Bさん『最初は痛かったけど今は随分よくなりました。トイレに歩いたら気持ち悪くなっちゃって… 吐きました。横になっていると大丈夫です。』
私『それは、注射の痛み止め 注 34 )が原因です。術後最初のうちは鎮痛が大事なので仕方がない(trade-off)ものです。
就寝前には(そのような副作用がないので)鎮痛剤の内服をしましょう。』
注 34 )ソセゴン、レペタン:それらのオピオイドは強力な鎮痛効果の一方で「嘔気、眩暈」なども引き起こします。
『手術は予定通りでした。(術前画像どおり)レベルⅢにも転移はありました。ただ全て問題なく郭清しています。』
『創部を確認しますね。』
『創部は問題ないですね。』
Bさん『良かった。ありがとうございます。
それでは、いよいよ「アレ」ですね?』
私(ニヤリとして)『そう、皆さんよくご存じで(笑)』
Bさん『この位、出来ちゃうんだから! 乳がんプラザで勉強してたので、さっきまで練習していました。』
私『優秀です。 そこまでできたのなら、耳までつけちゃいましょう。』
Bさん『えーっ?これ以上? 私にできるかなぁ? あっ、できた!!』
私『perfectです。そのまま(ラジオ体操のように)上半身全体を左に伸ばしてみましょう。』
Bさん『こうですか? あっ、結構できるわ!』
〇手術翌日退院日
『おはようございます。痛みどうですか?嘔気も収まりましたか?』
『すっかり、良くなりました。 こんなにできますよ!』
『言う事ナスです。注 35 )(笑) あっ、すみません。Bさんの世代には解らないですよね。』
注 35 )かつて一世を風靡した「リケン」の「麻婆ナス」のCM
『yes ! ナス nice! ナス 言う事ナスです。』
当時の子供たちの心を鷲掴みしたという。(私もその一人)
Bさん (スルーしながら)『術後の注意点は何かありますか?』
(スルーされたことに少し動揺しつつ)『今日、家にこのまま帰ってすぐにシャワーはOKです。湯船につかるのは木曜日からです。すまり土日月火水の5日間はシャワーのみとしてください。』
『それ以外には、制限はありません。仕事も明日から復帰して構いません。』
『テープ剥がれたらどうするの?自分で消毒するの?』
『テープは紙だから(入浴していると)自然と剥がれていきますが、剥がれっぱなしにしてください。 消毒など処置は一切不要です。』
『痛くならないかしら?』
『大丈夫です。退院処方で鎮痛剤(胃薬と併用して)を出しておくので、よく動かしてください。』
『良く動かすのね?』
『良く動かすのです。』
次回は、いよいよ術後病理の説明ですが、当院では術後4wの水曜日に「病理レポート」をお渡ししがらお話ししてまず。
このコラムでは実際の病理伝票を使って、詳細しましょう。 こうご期待!