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今週のコラム 102回目 妊娠授乳期の「(突然できたかのような)大きい、しかし扁平な腫瘤」を見たら… それは、「授乳期腺腫」かもしれません。

突然の「気温差」

皆さん。体調壊していませんか?

先週、「半袖」で熱海へ行ったのに、その週末には長袖で走ることになるとは。

幸い、私はここ数年(風邪など)体調を崩してはいません。

 

先週の「せか○え」

とてもいいところです。

ここ東京へ出てきてから3年半になりますが、3回目となりました。

他にもいろいろな宿にも行きましたが、これほど「リピート」しているところは他にはありません。そのことが(ここの素晴らしさを)物語っています。

 

プライベート感のある「丁度いい」コンパクトさ。

「食事の質」「スタッフの対応」 とても素晴らしい!

(注 これは「旅ログ」ではありません

 

そして部屋から見える太平洋(熱海湾?) それを眺望しながらの「熱い露天」と「涼しい風が吹くデッキチェアー」

☆都会からわずか2時間で得られる、本物のリゾート

 

♯今回、初めて「小さいお子さん連れ」のお客さんを見かけました。

てっきり、「大人限定」だと思っていたので少し、驚きました。(全全嫌ではありません)

「お子さんはお断り」的なスマートな雰囲気を持ちながらも、「小さいお子さんを断らない」そんなフレンドリーなところも、「やるなー」またお気に入りです。

 

○FMから流れたshort story

「ムッシュー。毎日エッフェル塔に登っていらっしゃいますね。 本当に(エッフェル塔を)お好きなんですね。」

「冗談じゃない。わしはエッフェル塔は大嫌いじゃ。」

「えっ(驚いて)、では何故毎日エッフェル塔へ(行くのですか)?」

「(パリの何処に居ても、嫌でも眼に入ってしまうが)エッフェル塔に登ると、エッフェル塔を見なくて済むからな。」

 

 

授乳性腺腫 lactating adenoma

聞き慣れない名称だと思いますが、「名は体を表す」

正に、「妊娠授乳時に生じる上皮成分の増生を主体とした境界明瞭なシコリ(腫瘍)」です。

 

○突然「大きな腫瘍」として認識され「葉状腫瘍?」と間違われ易いものです。

ここ最近で「示唆に富む2例」を経験したので供覧しましょう。

 

Case 1

ある水曜日予約外外来(とっても、混雑していました)

Aさん

「出産翌日に、突然大きなしこりを自覚して…」「慌てて先週、○○病院を受診したんです。そしたら、癌かもしれない。って」「それで、ここ(江戸川病院)に来たんです。」

 

「出産したばかりで、それは心配なことでしょう。」「早速診察しましょう」

 

  • 右胸に大きなしこりを触知し、(「これは、随分大きいな!」と感じながら)エコーで診たところ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かに、大きな腫瘍ですね。4cmくらいあります。」「ただ、(境界明療、扁平であり)癌を疑う所見ではありません。」「突然ということならば、むしろ葉状腫瘍を疑わなくてはなりません。」

 

Aさん

「それって、何ですか?心配です。すぐに検査してください。」

 

「残念ながら、今日は水曜日。時間外外来の場合には(とても混雑していて、待っている患者さん達にも迷惑がかかるので)当日生検はしないようにしています。」

「ただ、出産したばかりで大変心配でしょうから… 明日何とか生検しましょう。均一な腫瘍だから(MMTEではなく)CELEROをします。」

 

  • そして翌日…

CELEROをするために、エコーをしたところ…

「あれっ? 昨日と全々印象が違う!」「Aさん、これは授乳性腺腫の可能性があります。普通の腫瘍で(勿論、葉状腫瘍も)自然と小さくなることはありません。」

「確定診断のために、(予定通り)CELEROしますね」

 

  • 病理結果は、(予想的中)「授乳性腺腫lactating adenoma」だったのです。

勿論、無治療です。自然と小さくなるわけですから…

新米ママが喜んでいたのも無理はありません。

前医で「乳癌の可能性」⇒(一転して)「無治療で心配ない」なのですから…

 

 

Case 2 QandA管理番号5297「葉状腫瘍」の方

33歳、授乳中

前医で「腫瘍が3cmあり手術が必要、葉状腫瘍の可能性が高いが、癌の可能性も完全には否定できない。」と言われて当院を受診しました。(詳細は5297をご参照のこと)

 

Bさん

「自分では(触って)解らないのですけど… 心配で。」

「まずは診察、超音波しますね。そして生検することにしましょう」

 

エコーしたところ・

 

 

 

 

「あれっ? 随分小さいなぁー。」

測定したところ「1.8cm」しかありません。

 

☆前医のエコーと見比べても「部位も形も一緒」です。ただ「大幅なサイズダウン(3cm ⇒ 1.8cm)」していたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前医エコー(3cm)      ⇒   当院エコー(1.8cm)

「どうやら、授乳性腺腫のようです」

「縮小する腫瘍は他には考えられません。当然、葉状腫瘍でも癌でもありません。ただ、わざわざ遠方からいらっしゃっているので、(確定診断のために)希望有るなら生検しますよ。」

 

Bさん

「とまどいながら、先生はどう思いますか?」

 

「不要です。小さくなったという事実は何事にも代えられない確定診断と言えます。」

「つい先日も…(ここで前述したcase1についてお話しました)」

 

 

◎まとめ

妊娠授乳期の「(突然できたかのような)大きい、しかし扁平な腫瘤」を見たら… それは、

授乳期腺腫かもしれません。

 

そうそう、昨日(土曜日、市川外来)CELEROした、あの「扁平で大きな」シコリも…

case 3  (授乳中)

私は「扁平だし、境界明療だから癌の可能性は極めて低いが… 大きい(4.1cm)ので組織診(CELERO)した方が安心ですよ。」

と、勧めました。