[管理番号:834]
性別:女性
年齢:36歳
いつもこちらのコーナーを拝見していて、先生の熱心な解説を見て勉強させてもらっています。
私は先日乳ガンの温存手術を受け(stage2b)、現在化学療法中です。その後放射線とホルモン治療の予定です。
普段は前向きに頑張ろうと思って生活していますが、たまに再発や転移したときを想像してとても怖くなります。
手術後傷の痛みはほとんどないのですが、手術前に感じていたチクチクとした痛みを腫瘍があった辺りにたまに感じて、まだ少し残っているのではないかと不安に思ってしまいます。
最終病理結果で断片ぎりぎりまで癌があったこと(放射線等するので追加切除はいらないとのことでした)もあり気になります。
通っている病院は手術後に一度傷の様子を診ただけで(そのとき水を少し抜いてもらいました)、その後は傷の視診やエコーはありません。リンパの転移があった事や(リンパ郭清をしました)、断片まで癌があった事、反対側の胸も乳腺症があり(しこりはできてないから大丈夫と言われましたが)その後放置している事もあり、私としては手術後もエコー等で異常がないか確認してほしいのですが、そんな事を言うのは失礼かなと思って言えずに診察が終わってしまいます。
心配しすぎなのかもしれませんが、元々は良性の腫瘍と言われていたのが経過観察後実は癌だったという経緯もあり、もう二度と後に後悔したくありません。(その時からこのコーナーを知っていたらもう少し違う行動がとれたのではないかと悔やまれます)
前置きが長くなりましたが、質問したい事は
①手術後にエコー視診等は一般的にやらないものなのか(やっても意味がないのか)
②もし江戸川病院でやっているとしたら、他の病院で治療している人でもエコー検査等して頂くのは可能か。(非常識な質問をお許し下さい)
③転移に関しては早期発見の有効性はないのか。再発に関してはどうか。
以上です。再発や転移に対して定期検査を受ける以外に自分でできる事はないか考えてしまいます。変な文で申し訳ないのですが宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術後化学療法中ですね。
「切除断端」や「リンパ節転移」の事もあり、心配されている様子が伝わります。
回答
「①手術後にエコー視診等は一般的にやらないものなのか(やっても意味がないのか)」
⇒これは時期で考えなくてはなりません。
- 術後化学療法中
「通常検査は行いません」
理由としては
・化学療法は「強力に」病変を抑える効果があるため、まず「補助療法としての化学療法中に」病変が出てくる事はないのです。(経験上、全く心配ありません)
・術後間が無い…術前検査で「きっちりと(対側を含め)評価している」ので、術後暫くは「(対側を含め)新病変がでる可能性は殆ど無い」のです。
- 術後放射線療法中
(この時期も)「通常検査はしません」
理由は1と同様ですが、(照射中はマーキングもしてあり)診察しずらい状況ではあります。
いずれ、1カ月半もすれば終了するので、敢えてこの時期に「局所の診察」をする必要はないのです。
- 術後放射線療法終了後
やはり、タイミングとしては、ここから「局所の診察はスタート」します。
3カ月に1回の視触診・超音波(対側を含め)、1年に1回のマンモグラフィーを行えば安心です。
「②もし江戸川病院でやっているとしたら、他の病院で治療している人でもエコー検査等して頂くのは可能か。(非常識な質問をお許し下さい)」
⇒可能です。
「ここが気になる」という訴えをしても、担当医が「診察してくれない」のであれば、受診してください。
時々あるのが、対側の石灰化を調べてくれないから「ステレオガイド下マンモトーム生検をしてほしい」というものです。
♯特に非常識ではありません。 自分の身を守るのは自分なのです。
「③転移に関しては早期発見の有効性はないのか。再発に関してはどうか。」
⇒これは重要な点です。
まずは質問者のいうところの「転移」⇒「遠隔転移」、「再発」⇒「局所再発」と、区別して回答しますが、よろしいでしょうか?おそらく、質問者の意図もそうだと思います。
- 「遠隔転移」
これは、一般的に「早く見つけても、遅く見つけても」結局予後は一緒という理解がされています。
生存率などは、そうなのかもしれませんがQOL(生活の質)の点で随分異なると私は思います。
やはり、「早期に見つけて、早期に治療を導入することで病勢を抑えた状態を長期間作る」事だと思っています。
- 「局所再発」
これは、「早ければ早いほど、根治の可能性が間違い無く高く」なります。
早い段階で「切除や放射線治療」をすることが鍵となります。
★「局所再発」は「遠隔転移」とは全く意味合いが異なる事に注意が必要です。
質問者様から 【質問2 骨やリンパの転移?】
先生、的確な回答ありがとうございます。化学療法中は病変が出てくることはないと聞いて安心しましたが、乳頭あたりでチクチクとした痛みを感じると少し不安になります。もし仮に乳頭あたりに癌が少し残っていたとしても、化学療法で消滅する可能性はありますか?
早期発見をとても大事に考えている田澤先生にダブルチェックの意味で診てもらえたら安心できそうです。もし主治医に診てもらえないときは江戸川病院にお世話になりたいと思います。
それと手術した側の腕を上にあげたり、遠くのものを取ろうと腕を前にのばした時に胸の下の骨(あばら骨?)がひきつれた感じで痛みます。普段は何ともないのですが。手術でリンパ郭清をしたのですがその影響でしょうか。それとも骨やリンパ転移が考えられますか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
術後はいろいろな事が気になるものです。
回答
「もし仮に乳頭あたりに癌が少し残っていたとしても、化学療法で消滅する可能性はありますか?」
⇒十分あります。
しかも本来のその役目は「術後放射線照射」が担っていますので、その意味では「二重に安心」です。
「手術でリンパ郭清をしたのですがその影響でしょうか。それとも骨やリンパ転移が考えられますか?」
⇒これは間違いなく「手術の影響」です。
症状からは間違いありません。
◎術後の「痛みや違和感」を「転移」と関連づけるのは「気持ちは解りますが」良くありません。
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |