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ECの副作用

[管理番号:904]
性別:女性
年齢:36歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:834「再発、転移が心配です」

 
 
先生いつも迅速な回答ありがとうございます。多忙な中こちらのコーナーで一つ一つ丁寧に答えて下さる姿勢にとても感謝しております。色んな症例を見ている先生に直接質問ができる場はとても貴重です。大変だとは思いますがこれからも長く続けて下さる事を祈ってます。
私は現在化学療法中(EC療法)で、あと数日で2クール目があるのですが、少し前に別件で血液検査をしたところ白血球(WBC)が1700でした。このまま上昇しない場合は次の投与は難しいですか?
それとHCTというのが33.9%、CRPというのが1.21とありました。他の項目は特に異常はなさそうですが、ネットで見たらCRTが高いのは再発の可能性もあるとあり心配してます。やはりその可能性は高いのでしょうか。
1クール目は脱毛以外は特につらい副作用はなく熱も出ませんでした。副作用が軽いからといって抗がん剤の効力も弱いというわけではないですよね?回数重ねると副作用は強くなるものですか?
色々質問してすみません。宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 EC療法中ですね。

回答

「あと数日で2クール目があるのですが、少し前に別件で血液検査をしたところ白血球(WBC)が1700でした。このまま上昇しない場合は次の投与は難しいですか?」
⇒このままでは延期です。
 ただし、「あと数日」で「白血球数は急速に回復」してくるので現段階で心配は無用です。
 ♯ちなみに、「化学療法にとって重要な値」は「白血球(総)数よりも、むしろ好中球数(白血球の中の一つの分画)」です。
 
「HCTというのが33.9%、CRPというのが1.21」
⇒HCT(hematocrit:ヘマトクリット)は血液中の血球の占める割合で「貧血の検査」です。
 やや低い程度です。心配ありません。
 「閉経前女性」では(皆さんもご存じだと思いますが)月経量により「慢性的な貧血」となっている方もいらっしゃるので、きっと「質問者にとっての普段の数値とはそれ程違わない」と思います。
 ♯乳癌で用いられる抗がん剤で「貧血」まで起こすことは(余程の長期投与でもしない限り)ありません。
 
⇒CRP(C-reactive protein)は炎症性蛋白です。
 「別件で血液検査」とありますから、「何らかの炎症が疑われる状況」だったのでしょう。 1.21は確かに正常値ではありませんが、「上気道炎などちょっとした炎症」ですぐにその位の数値となります。
 
「CRTが高いのは再発の可能性もあるとあり心配してます。やはりその可能性は高いのでしょうか。」
⇒これは誤りです。
 そのような事をいっていたら、「乳癌で風邪をひいた人が血液検査をしたら、全員が再発可能性との判断」となってしまいます。
 「再発して、体に慢性的な炎症反応が起こっている」状態でも、確かに「その程度の値になることはあるかもしれませんが」(通常、わざわざCRPなど測定しませんが)
 その100倍、1000倍もの確率で「風邪など、通常の炎症で上がっている」ことの方が重要です。
 
○「肩が痛いと転移している可能性がある」と言った人がいましたが、たしかに「僅かな確率(1%以下でしょう)で転移が原因である肩痛もある」かもしれませんが、「転移でない原因での肩痛の方が圧倒的に多い」ことの理解の方が重要です。
 
「1クール目は脱毛以外は特につらい副作用はなく熱も出ませんでした」
⇒とても「いいこと」です。
 
「副作用が軽いからといって抗がん剤の効力も弱いというわけではないですよね?」
⇒副作用が無いと「逆に不安」な気持ちもわかりますが…
 副作用と効果は無縁です。
 「正常細胞に対する作用」と「癌細胞に対する作用」は別物と考えてください。
 
「回数重ねると副作用は強くなるものですか?」
⇒これは何とも言えません。
 「副作用の程度」同様に、人それぞれだからです。
 一般に、「副作用の程度が弱い」方は(自覚症状の)蓄積は少ないです。
○私の印象では「ECは比較的、蓄積は少ない」ですが、タキサン(特にドセタキセル)の「浮腫みやだるさ」などは「後半に、強くなる印象」です。