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今週のコラム 473回目 成功体験(診断手技)

 

明日の「動画生配信」に先立って、コラムを土曜日に出します。(祝日だから成せた技)

成功体験

これには以下の3つがあります。

1.fundamental  (診断)

2.advanced(手術)

3.advanced(転移再発乳癌への挑戦)

♯明日の動画生配信には上記1とします。

 

今回のコラムは上記1に近い内容と言えます。

〇 本文

(前振り)

管理番号12252 「転院による手術の延期」

これについては、先んじて「掲示板」で思い(不満)をぶち上げていますが…

全体像は上記12252を前もって読んでもらうとして要約すると、

(以下、12252の要約)

2021/8 ドックでrt. D/ lt. A 要精査だが、半年に1回のエコー

生検を希望するが拒否⇒2023/1 MRI 乳腺症の診断

2023/11 ドックで再度要精査

2024/5 生検を希望すると「3か月後大きくなっていれば」

2024/8ようやく針生検⇒「検体不良」⇒2024/9 2回目の針生検

Rt. D 7mm乳癌疑い

Lt. A 9mm 悪いものではない

2024/10 外科的生検

Rt. D 8mm IDC

Lt. A 22mm IDC

 

問題点が様々ありますが、纏めると以下の2点となります。

1.画像診断

実際に(どの程度の画像所見なのか?は見ていないので不明ながら)検診でチェックされていて、『最終的に癌だった』わけだから、全く言い訳の余地はありません。

それを「癌を疑わずに」経過観察していたわけだから、その「画像診断」そのものに問題があります。

 

2.生検精度

これは(あまりにも)お粗末極まりない。

1回目で「検体不良」、(その3か月後の)

2回目で

rt. 癌なのに「癌疑い」しか出せない。

lt. 癌なのに「良性」とは…

 

「画像診断」も「生検精度」も出来ないのであれば、『あんた、何のためにいるの?(患者さんの為にも)却って迷惑だよ。』

なぜ、こんな医師が存在するのか?(存在しないでほしいものだが)

これを紐解いていきましょう。(ここからが、漸く本題です)

 

〇 経験

「経験」と一言でいってしまうと簡単ですが…

ただ「ぼー」と9時5時に病院に居ればいいってものではありません。

最近の石灰化2症例を見てみましょう。

 

症例1 粗大な石灰化

 

 

石灰化自体は、「粗大」とも言えるものでしたが私が読影判定したのは「カテゴリーⅢ 要精査」でした。

その方が(後日)私の外来を受診したので、ST-MMTを行った画像が←です。

 

 

ちなみに区の検診マンモ読影の一端を当院で担っているので(マンモ読影はダブルチェックなので)私と他1名(非常勤医)で行っています。

この方の検診読影票には私は(上記に記載したように)カテゴリー3としていますが、その非常勤医は2としています。(精査不要)

 

果たして、ST-MMT結果は如何に?

続きは次回…

とは、しません。悪しからず。

結果は「非浸潤性乳管癌」でした。(今後、手術予定です)

 

同じ画像を見て、私が3で(その)非常勤医が2

この違いはどこから出るのか?

センス?

高貴な血統?(そんなものは「そもそも」私にありませんが…)

違います。

やはり、その差は「経験」なのです。

 

私は無論(石灰化に対し)ST-MMTをかなりの数(数えること自体辞めましたが)やっているので、画像をみただけで(過去の記憶から)ピンとくるものがあります。

これは、(長く乳腺外科医をしていることで)培われると思いますか?

違います。

たとえ「同じ年月(因みに私は医者になってから30年超えましたが…)乳腺外科医として診療していても」決定的な差が生まれる要因があります。

 

それこそ「生検を積極的に行ってきたのか?」なのです。

ST-MMTを数多く行っていると『あぁ、こんな(一見すると癌を疑わないような)石灰化でも癌があるのか!』という経験が蓄積するのです。

♯私と同様に30年医師をしているからといっても、(そもそも)ST-MMTが無い施設だと「石灰化は(あくまでも)読影試験の問題集」のままフリーズしてしまいます。

『あっ、これはカテゴリー3だ。確か癌の確率は高くは無い筈だから、(ST-MMTのある)施設へ紹介しなくてもいいか!』などとなります。

つまり、いくら「マンモグラフィーフィルムだけ私と同じ数」見ていたって、ST-MMTをしなくては、これができないのです。

♯これはマンモグラフィーでの石灰化の例ですが、エコーでも全く同じなのです。

冒頭の12252でも、全く同様なのです。

 

(エコーガイドで)組織診を数多く(間違いなく日本一)行っている私にとっては、そのエコー像は「これは、かつて組織診をして癌だったことがあった」という経験が実に多い。

無論、生検を躊躇なく行うことは「生検の精度」を上げるだけではなく、「画像診断で誤りを冒さない(超早期がんを見逃さない)」ことに繋がるのです。