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今週のコラム 472回目 乳癌 診断4 主として「画像診断」の問題点

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11月後半にしては、暖かい土曜日の午後3時

セブンイレブンのサラダパスタって、何気に旨い。「鯖」「豚角煮」「牛タン」を添えて…

GIGAレモン亡き後、無糖チューハイはいろいろお試ししています。

今のところは「ウメ」かな?

 

〇 本文

「診断」と一言でいっても、様々な角度の問題点があります。

具体例を供覧いただき、自分を守るためには何が必要なのか?考える機会になれば、これ幸いです。

今回は主として「画像診断の問題点」にspotを当てます。

 

①1年半、経過を見て(育て上げてから)診断(浸潤性乳管癌)された例

2022/5 7mm⇒2022/11 6mm  前医からの画像提供なし

 

2023/11 11mm  ♯このような「最初の半年」は誤差範囲となってしまうことも多く、ここで「1年」とされ(この症例のように)結局「1年半」経過観察(放置)されることも、しばしば。

 

 

②検診で「線維腺腫疑い。要精査不要 1年後」とされ、1年後に浸潤性乳管癌と診断された症例

 

初回 10mm

♯1 この画像で「線維腺腫疑い」?

そもそも、この画像判定に問題大ありです。

 

 

 

 

1年後、22mm

これで「慌てて」要精査となったわけです!

 

 

 

♯1  について…

線維腺腫疑いで要精査不要とするためには、

以下のように「扁平」+「境界明瞭」の2つの条件が必須と考えます。

 扁平ibroadenoma(FA)

 

 

これなんかも上記の条件

「扁平」+「境界明瞭」を満たしていると言えます。

ただ患者さんが希望すれば「生検すべき」であり、実際に生検して「FA]と確認しています。

 

それに対し「境界明瞭」でも「扁平ではない」場合には「FA」と決めつけてはいけません。

ということで、これは「扁平ではない=線維腺腫とはいいきれない」ということで(当然、私は)生検してます。 結果はFA

 「張りのある」FA

 

線維腺腫として要精査としなくてもいい条件が「境界明瞭」「扁平」を理解して頂いたうえで、以下の症例を供覧ください。

 

③検診結果は「線維腺腫疑い」しかし(自らの意思で)気になり当院受診して浸潤性乳管癌の診断となった症例

 

これを「線維腺腫疑い」としたことをどう思いますか?

明らかに「扁平でもない」し、(そもそも)綺麗な楕円形でもなく周辺が「ゴツゴツ」

 

 

 

画像診断として問題あるよね?

検診で画像見ている医師って、どういう人たち?

 

 

 

検診の医師について「赤裸々な」事実をお話ししよう。

まず、我々のような(敢えていいますが)臨床経験豊富な乳腺専門医が(検診機関へ)バイトに言って画像読影することはありません。 ♯単純に忙しいため

例えば、私は(そんなバイトをする気は全くない。「お金が必要無い」というのではなく「時間がない」)

 

 

それでは、実際に検診機関などで読影しているのはどういう医師?

 

 

 

マンモとエコーで異なるよ。

簡単に言えば「マンモは簡単(読影資格があればいい)」だけど「エコーは簡単ではない」

マンモグラフィーには、そもそも「認定制度」がありこれは簡単なので(乳腺の診療を全くしない)一般外科医も殆どその資格を持ってます。

 

 

乳腺の診療をしないのに、何故「一般外科医」がマンモグラフィー読影医の資格を取るの?

 

 

下世話な話になるけど…

お金のためなんだ。

若い時期、大学病院勤務だとバイトをしないと食べていけない。

このバイトとして「マンモグラフィー読影」は結構人気がある。

内科医は(バイトとして)「外来診療」と言う選択肢があるけど、外科は(そもそも)手術がメインで「外来診療」というバイトが基本存在しないという事情もある。

 

と、いうことでマンモグラフィーの検診の読影は「一般外科医」と(若くて収入的にバイトが必要な)「乳腺外科医」が行っているのが実状。

♯ただマンモグラフィーは「存在診断だけ」だから、大した問題にはならない。

つまり「質的診断を求められていない」だから簡単であり、誤りも少ないと言える。

 

これに対して乳腺エコーはどうかと言うと…

(乳腺診療をしていない)一般外科医が行うことはまずない。(マンモグラフィーのように読影「資格」で守られていないから。)

それでは、誰が読影しているのか?というと…

その検診機関によって、ほぼ以下の2通りとなります。

1.検診専門医

無論「乳腺外科医でもなく」ただその検診施設に勤務している医師

2.診療に未熟な(若い)乳腺外科医

主として「大学病院」所属なので収入的にバイトが必須であるため

無論、診療経験は浅い

 

上記、②③のような誤った画像診断は我々のような(診療経験豊富な)乳腺外科医にはありえませんが、上記のような「検診読影医」には時として起こってしまうのです。

 

ただ、以下のような例外もあります。

乳腺専門医が、これでは…(乳腺専門医という肩書の虚しささえ感じてしまいます)

 

④乳腺専門医が「細胞診」をして「線維腺腫(FA)]と診断し、半年後経過観察などとしたが、(患者さん自身が)「とても心配」として当院受診し浸潤性乳管癌と診断された症例

 

因みにこれは…

 

 

この症例の問題点はとても、とても深~いと言えます。

1.何故細胞診?

乳腺専門医だったら、この画像で「癌を疑わない」こと自体アンビリーバブル!

巷で細胞診を選択している人たちの多くは、「癌では無いと思うけど念のため」という使い方のようだからです。

 

2.これで外す?

この大きさ(15mm)です。

これで外された日には… 患者さんも堪ったもんじゃないですよね??

 

3.何故(再検ではなく)経過観察としたのか?

繰り返しますが、この画像で(安心して?)半年としていることが理解できない。

♯時々QAでもありますが… 癌を疑っている場合には(細胞診なり組織診で良性と出ても)自分自身の手技の精度に自信がもてずに「3か月後に再診」などとしてますよね?

⇒これ自体、「どうにか、してくれ!」って思うけど、この乳腺専門医はそれより「更に上をいく」と言えます。

(画像上、癌を疑うのであれば)本来なら「自分の細胞診が下手(信頼できない)ことを自覚して」細胞診の再検もしくは(今度は)「組織診」すべきでは?

 

どう解釈したらいいものか?

「生検手技が下手」な乳腺専門医が多いのにはウンザリしているけど、そういう人たちも画像診断「だけ」はまともといえる。

しかし、この場合には

精度と言う意味では(どう考えても「小さい」とは言わせない15mmを外す)『とんでもない精度の低さ

画像診断と言う意味では『これは癌の可能性が極めて高い』という判断をしていない

 

こういう人が開業しているのだから、皆さん気をつけなくてはいけませんよ。