今朝、起きて外へ出て『雨、降ってない!』
(夜が明けていないので)晴れているのか?は解りませんでしたが、「濡れないランニング」とても幸福でした。
ランナーにとって、雨は大敵。日曜日のオープニングとしてはテンション上がりました。
と、そのテンションで一気に書き上げた「渾身の」コラム(そこまでか??)
そのきっかけは「掲示板」での
「北のフネ says: 2020年10月6日 at 14:24 」 腋窩再発癒着の画像を見て感じたことは、『出血が無い!』ということでした
『手術は、出血に始まり出血に終わる』
手術の神様が(かつて)そう言ったとか言わなかったとか…
手術時間が長くなる元凶は「出血」だし、(術後の)患者さんの状態を決めるのも「出血」なのです。
勿論、術後ドレーンが入るのも(リンパ漏もありますが)理由は、「出血(を外で出すため)」なのです。
乳腺は、(このように)大胸筋の上に乗っています。
乳腺は横から見ると、このように大胸筋の上に乗っていて、
更に、皮膚が被さっています。
全ての組織は血管から血流を受けています。
皮膚への血流
大きな血管から枝が伸びて皮膚に血液が供給されます。
★ 皮膚を切ると出血するのは「このため」です。(無ければ腐ります)
乳腺への血流
皮膚だけでなく、(当然)乳腺へも血管が枝を出します。
裏側(大胸筋を貫いて)からも細い血管が乳腺に血流をもたらします。
乳腺は「皮膚の血管からも」血流を受けています。
★ 乳腺は「血流豊富な」組織(乳腺は「臓器」とは呼びません)なのです。
つまり、乳腺を剥がす(摘出する)ということは、これらの血管を切離することです。
★例えば、(血管を無視して)力任せに「むしり取れば」これらの血管から大量出血となります。
〇 それでは実際は、どうなのか?
解りやすくするために…
この部分を拡大しましょう。
血管から、乳腺への枝(細い血管)
更に拡大しましょう。
実際の枝
(太い)血管からの枝は途中で(更に)枝分かれして
複数の細い血管となり乳腺に入っていきます。
実際の血管は「膜」に包まれて、更に(そこに)脂肪がついていて
更に、このように「膜」は縮んでいます。
★ 血管も「くしゃっ」としているのです。
ここからが「腕の」見せ処です。
上手い外科医は、左手で上手にこの膜を引っ張り
★ 但し「引っ張り加減が強すぎると」細い枝が千切れて出血するので「加減」が重要
このように切っていきます。
ここまでは(血管が無いので)電気メスでスムーズに切れます。
ここ(青矢印)は血管なので(電気メスではなく)確実に糸で結紮します。
血管を過ぎたら、また電気メスで切ります。
このように(血管の無いところは)電気メスで「素早く」そして
血管は「確実に」結紮します。
★ これが「スピーディー」かつ「確実(出血が無い)」コツなのです。
〇 左手が上手く使えない「下手な」外科医は
この膜を「きれいに」張ることができずに
切っていきます。
血管の無いところはいいのですが…
このような血管の部分では
(膜が伸びていないために)「ごちゃっと」した血管群に
「まともに」電気メスで切り込んで「出血」してしまうのです。
★ これでは、(術中)いたる場面で「出血」しては「止血」する操作の繰り返しで手術は「長時間」となり、「出血量」も多くなり、(最終的に)止血しきれない部分からの出血の貯留を外へ出すために「ドレーンのお世話」になるのです。
〇 切り取り線
私が東〇公〇病院の平〇医師から学んだ印象的な言葉に「切り取り線」があります。
『切り取り線を切ればいいんだよ』
切り取り線は最初からあるわけではありません。このように常に左手に緊張感を持って「膜を(細かい血管が千切れない程度に)引っ張ることで、(外科医自身が)作る「line」なのです。
そう、この「line」が「切り取り腺」なのです。