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術後の治療方法について

[管理番号:7791]
性別:女性
年齢:44歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:

田澤先生 はじめまして。

よろしくお願いします。

8月(上旬)日に左乳房全摘とセンチネルリンパ生検をし、術中にセンチネルリンパ節生検陰性でした。

最終の病理検査結果が出て、これからに治療法に悩んでいます。

病理検査の結果
病期 : T1 N0 M0 Stage II
組織型 : 浸潤性乳管癌 、硬性型
浸潤径 : 38mm
腫瘍径 : 50mm
波及度 : f
脈管侵襲 : Ly1(軽度)、V0
断端 : 陰性
nuclear grade 1 , histological grade 2
nuclear atypia 2 , mitotic counts 1
glandular formation 3

リンパ節 : SLN 0/3 (gef HE+CKAE 1/3)

biomarker : ER (AS:PS5+IS3=8)(>90%)、PgR (AS:PS5+IS3=8)(>90%)、
HER2 score 1、ki67(10~20%)

医師からはホルモン療法と再発予防に抗がん剤(やるかどうかは私次第)ということで勧められました。

ホルモン療法はタモキシフェンとリュープリンです。

術前は腫瘍の大きさが30mm弱、リンパへの転移がなければホルモン療法のみで治療する予定でした。

術後の病理結果で腫瘍の大きさが38mm、脈管侵襲が見られたということで抗がん剤の話が出てきました。
リンパへの転移がなかったのに腫瘍の大きさが大きかった、脈管侵襲があったということで抗がん剤治療をやるのか疑問に思っています。

1、田澤先生ならどのような治療をされますか?
2、微小の癌が残っていた場合、ホルモン治療のみと抗がん剤治療を併用した時に大きな差があるのでしょうか?

ご回答をどうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

根本的に、勘違いがあるようです。

「リンパへの転移がなかったのに」
⇒??

 リンパ節転移と「抗がん剤の効果があるのか?」は本来全く異なることです。
 『今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」』~『今週のコラム 190回目 RSを用いれば、(今まで「リンパ節転移が陽性だから」という理由で抗がん剤治療されてきた)かなりの数の患者さんを無駄な抗がん剤から解放できるのである』までを熟読ください。

今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」
今週のコラム 189回目 「リンパ節転移があれば抗がん剤をすべき」という古い考えが完全否定される日も近いのです。
今週のコラム 190回目 RSを用いれば、(今まで「リンパ節転移が陽性だから」という理由で抗がん剤治療されてきた)かなりの数の患者さんを無駄な抗がん剤から解放できるのである

「腫瘍の大きさが大きかった、脈管侵襲があったということで抗がん剤治療をやるのか疑問」
⇒これらも「抗がん剤とは無関係」です。

「1、田澤先生ならどのような治療をされますか?」
⇒タモキシフェン単独です。
 
 理由は以下
 ①Ki67=10~20%なのでルミナールAと想定される。
 ②SOFT試験から「35歳未満」でなければLH-RHagonist併用は無意味。

「2、微小の癌が残っていた場合、ホルモン治療のみと抗がん剤治療を併用した時に大きな差があるのでしょうか?」
⇒根本的に勘違いされているようです。

 あらゆる術後補助療法(再発予防目的の治療)は「微小の癌が残っていた場合」を想定した治療なのです。

 その中で、「抗がん剤の上乗せがある場合とは、どんな場合?」と言う発想を持ちましょう。

 ★質問者のようにルミナールタイプならばKi67で「抗がん剤の上乗せ」を考えればいいのです。