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抗ガン剤の必要性について

[管理番号:7497]
性別:女性
年齢:66歳
病名:乳がん トリプルネガティブ
症状:

田澤先生教えて下さい。

母が乳がん病期1転移なしで全摘しました。

術後の細胞検査で
・トリプルネガティブ
・異形度2
・ki67 3%
と診断されました。

術後に抗ガン剤治療としてddac療法を勧められ、抗ガン剤をしない場合どうなるか尋ねたところ、そのような人もいるとだけ回答がありました。

先生の過去のQ&Aを拝見し、管理番号7077では抗ガン剤必要なし、4062では抗ガン剤推奨のように読み取れましたが、母のケースでは、抗ガン剤の有無が再発率にどの位の影響があり、田澤先生は推奨されるのか教えていただきたく、お願い申し上げます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「ddac療法を勧められ」
→dose dense??

よりによって、dose dense? おそらく大学病院なのでしょう。

「抗ガン剤の有無が再発率にどの位の影響があり、田澤先生は推奨されるのか教えていただきたく」
→セカンドオピニオン風にコメントすると…

 論点は以下の3つ
1.トリプルネガティブ Ki67 3%
2.早期がん(1期)
3.年齢(66歳)

1について
まず大原則として「トリプルネガティブは抗がん剤が必須」
しかし、トリプルネガティブは雑多な集団(単一の集団ではないのです)であり、「増殖力が速くて、その代わり抗がん剤が良く効く」タイプもあれば、「増殖力が遅くて、抗がん剤も聞かない」タイプも含めいろいろです。
Ki67=3%というのは「かなり大人しい=抗がん剤は効かない?」と想像するに難くありません。
★ガイドライン上は、あくまでも「トリプルネガティブ=抗がん剤すべき」となりますが、私は(そこは)このケースでは否定的です。

2について
やはり早期というのは大きな意味があります。
再発リスクが低いことは「相対的に」抗がん剤の必要性が下がることは間違いありません。

3について
80歳以上で術後補助療法として抗がん剤をする乳腺外科医はいないでしょう。
また、70歳以上では「術後の抗がん剤が生命予後を改善するというエビデンスはない(臨床試験をこの年齢層でしていないので、証拠がないということ:おそらく実際は改善するのでは?とは思います)」ので私なら行いません。
66歳なので、「この年齢」だけで判断すれば「抗がん剤をしない」ことには直接はつながりません。

結論
 つまり上記1~3どのひとつをとってもガイドラインにある「トリプルネガティブは抗がん剤すべき」を覆すことはできません。
 ただ、1~3の3つが合わさると、「抗がん剤は不要」私の結論です。

蛇足
 実際は、上記3つが重ならなくても(私なら)ケモはしません。
 1+2だけでもケモは勧めません。
 2+3だけなら「ケモの適応はありますが、無理には勧めません。どうしますか?」という感じとなります。