梅雨、真っ盛りです。
じめじめ、いやですね。
早くマンボウ『スカロケ的、梅雨明宣言』出してくれー
今週のコラム 189回目 / 190でnode positiveでも(node negative同様)OncotypeDXが使えることを紹介しました。
今回は、「別の角度」からの論文を紹介しましょう。(このコラムも遂にacademic路線??)
Lymph Node Status in Breast Cancer Does Not Predict Tumor Biopsy Ann Surg Oncol. 2018 Oct;25(10):2884-2889
『どういう内容なの?』
『ザックリ言うと、リンパ節転移有(macrometastasis)/微小転移有(micrometastasis)/リンパ節転移無の3群間で(OncotypeDXの)RSの数値に差があるのか?を調べたんだ。』
『で、どうだったの? リンパ節転移陽性だと(進行しているわけだから)RSが高めとか?』
『そんなことは無かったんだ。 3者で極めて似通っていたんだ。注 1 )』
全体で610350症例で検討
(内訳)
N0 (486013 : 80%)
N1mi(24325 : 4%)
N+(56100 : 9%)
unknown(43912 : 7%)
注 1 )3群間で殆ど差が無いのがわかります。
Mean RS | low <18 | intermediate 18-30 | high ≧31 | |
N0 | 18 | 59% | 31% | 10% |
N1mi | 16.7 | 64 | 30 | 7 |
N+ | 17.3 | 62 | 30 | 8 |
『本当だね。「RSが高いとリンパ節転移を起こしやすい」というイメージは間違いだということ。もしも「リンパ節転移陽性だからという理由で抗がん剤を行った場合、其の殆どは無駄だった」と言えるよね。』
以上が結論だけど、この論文には「組織型とRSの関係」についても検討しています。
組織型(内訳)
通常の乳管癌(504362 : 86.5%)
小葉癌①classic type(49819 : 8.5%)
小葉癌②other variant(5069 : 0.87%)
粘液癌(16116 : 2.8%)
乳頭癌(4159 : 0.71%)
管状癌(3599 : 0.62%)
『ここから解ることは?』
・全ての組織型で「リンパ節転移によるRSの変化は無い」
・予後良好と言われている組織型(管状癌/粘液癌)は明らかにRSが低い。(乳頭癌は別格)
小葉癌(9割以上を占めるclassical type)も(上記ほどではないが)RSが低い
conclusions
(N0で)化学療法によるbenefitがRSによって分類されることが解っているが、(今回の試験では)N+でもRSで同じような割合に分類されることが判明した。
このことは、もしもRxPONDER注 2 )で「N+でも(N0同様に)RSが化学療法のbenefitを予想できるという結果となった場合」RSを用いれば、(今まで「リンパ節転移が陽性だから」という理由で抗がん剤治療されてきた)かなりの数の患者さんを無駄な抗がん剤から解放できるのである。
注 2 )Rx for Positive Node, Endocrine Responsive Breast Cancerの略、内容は「今週のコラム 189回目」を参照のこと。