こんにちは。田澤です。
最近、少し「梅雨っぽく」なってきましたね。(エアコンを「除湿」にすると、良眠できるようになりました)
梅雨って嫌だけど、(その後に)夏が来ると考えるとワクワクしますよね?
昔は、夏が来ると「海で泳ぐ 注 )」ことがとても楽しみでした。
注 )私が30年以上前、大学のために仙台に住み始めて文化の違いを感じたのが「コレ」でした。
新潟では海には沖の方に「テトラポット」があり、そこまでは「プール」感覚で泳いでいました。(テトラポットの外は「外海」と呼ばれ「遊泳禁止」でした)
新潟の短い夏を惜しむかのように「海で泳ぐ」それが高校生までの私には、「夏の海は泳ぐもの」当然の感覚だったのです。
それが、仙台では…
せっかく海に来たのにビーチでダラダラして、一向に泳ごうとしない。
一緒に来た友人に尋ねると…
『泳ぐ? 泳ぐのはプールだろ? 海は泳ぐもんじゃないよ。』
友人から、言われたその言葉が今で忘れられません。
確かに…
海を見ても、誰も泳いでいない!(とっても、不自然)
仙台では「かまぼこ」と言うと、「笹かまぼこ」を指します。(普通は「板に載った、これ」ですよね?)
〇術当日、夜
『痛みどうですか? 歩いてますか?』
Cさん
『直後は痛かったです。でも治まってきました。先ほど酸素も外れてトイレに歩きました。 注 7 )』
注 7 )術後4hで酸素も外れ、安静解除となります。(尿管は入れていません)
『手術は予定通りでした。術前に説明した通り、(再発の解っていた)レベル1及び2だけでなく3まで完全に郭清しています。』
『レベル3まで郭清したのだから、注意点ありますか? 浮腫とか大丈夫?』
『レベル3まで郭清することと「腕のリンパ流を阻害すること=患肢浮腫」は無関係です。手術は細かい操作でやる側(我々)は集中力を要しますが、傷も小さく体の負担は殆ど無いですよ。ご安心ください。』
『それでは、腕を挙げてください。』
『えーっ!大丈夫?』
『大丈夫ですよ。はい、肘を延ばして。そのまま耳までつけてください。 はい合格です。安静は不要なのです。早期に動かさないと肩関節が硬くなって大変なので、ここが頑張り時ですよ。』
『頑張りまーす。』
〇術翌日朝
『おはようございます。痛みどうですか?』
『驚く程、平気になりました。こんなに普通に挙がりまーす!』
『おぉ、いいですね。 それではテープ張り替えますね。』
『吸収糸(溶ける糸)で縫合しているので抜糸も消毒もありません。このテープはそのままにして次回の外来(4w後)に来てください。』
『シャワーとか、お風呂は?』
『シャワーは今日からでも構いません。入浴してグショグショに(このテープを)濡らすのは3日目からにしてください。2日間で皮膚がピタッとくっつくので(3日目には)全く問題ないのです。 そのあたりを書いたプリント 注 8 )をお渡ししますね。』
注 8 )「全摘した方へ」用(5日間濡らさない)と、「部分切除した方へ」用(2日間濡らさない)がある。 腋窩鎖骨下郭清は後者となる。
〇術後4w 外来で
『テープまだくっついています。』
『それでは、剥がしますね。 OKです。そろそろ皮膚もかぶれるのでテープは外したままにします。』
『病理の結果はどうでしたか?』
『予想通り(術前画像通り)でした。指摘されていた2つのリンパ節は転移であり「節外浸潤」であることも確認されました。ただそれ以外のリンパ節(一緒に取ったレベル3や1)には転移は無かったです。また(それら)リンパ節のサブタイプ 注 9 )は(初回手術時と同様に)HER2 typeでした。』
『そうすると、(術前予想していた)放射線の他に、(全身療法として)抗がん剤も追加したほうが安心ね?』
『そう思います。HER2陽性だから抗HER2療法ですね。初回術後の補助療法としてはpertuzumabが投与されていない 注 10 )ので、この機会にtrastuzumab + pertuzumab + docetaxelをやりましょう。』
注 9 )初回手術時であれば、「乳腺」と「リンパ節」を別々にサブタイプ調べたりは決してしません。(勿論、適応外です)
ただし、、「再発」の場合には、サブタイプが変わることがあることは知られています。それで再度サブタイプを「再発標本(リンパ節)で調べる」のです。
『それは何故?』
→術後の治療により変化することがあることが、その一因です。
イメージとしては(もともと)HER2陽性の癌が、(術後補助療法として)抗HER2療法を行うと、「HER2陽性の癌細胞が選択的に破壊」されて「HER2陰性の癌細胞(もともと少数は混じって存在していた)だけが増殖」→再発した癌は「HER2陰性」となる。ようなパターンです。(これを「治療による選択」といいます)
注 10 )pertuzumabが「術後補助療法」として適応承認となったのが、2018/10月でした。
だから、それ以前に術後補助療法がおこなわれた患者さん(Cさんもその一人)の術後補助療法では(pertuzumabは使用されずに)trasutuzumab + 抗がん剤だったのです。
『了解しました。まずは放射線ですね? 遠方ですけど是非ここでTomoTherapy 注 11 )お願いします。』
注 11 )『今週のコラム 183回目 乳癌診療の基本Ⅱ vol. 7 手術も放射線も省略は無し』参照のこと。
Cさんの術後治療を整理すると
「放射線」TomoTherapy 部位(Ax~鎖骨上)→(その後)「抗HER2療法」(pertuzumab + trastuzumab + docetaxelx4回 → pertuzumab + trastuzumab x14回)
・節外浸潤しているので(手術した部位ではあるが)腋窩+鎖骨下も照射は行った方が良い。(そしてSCを照射することで「先回り:予防」も行う)
・抗HER2療法はtotalで1y そのうち最初の3か月をdocetaxelと併用となる。(全て3週間に1回の点滴である)
『放射線科を紹介するので、(放射線の)スケジュールは放射線科医と相談してください。 そして終了日が解ったら連絡ください。抗HER2療法の予定を立てます。』
『はーい。よろしくお願いします。』