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今週のコラム 157回目 病理結果によっていろいろなcaseがあるので、一概には言えません

謙遜の美徳

日本人の美徳にも、いくつかあるとは思いますが…

その中でも「謙遜」があります。

 

「いえいえ、それ程でもありません。」「いえいえ、とんでもございません。」etc.

どうしても、「その一言」を入れないと(心が)落ち着かない、「あれ」です。

 

○ある日の外来の一コマ

外来診察が終わり、

私「全く問題ありません。(次は)1年に1回でいいでしょう。」

Aさん「1年後の予約は取れますか?」

私「できないので、電話で予約してください。」

Aさん『でも、先生(の外来)人気だから… 電話してもなかなか(予約)取れないんですけど。』

私「あらかじめ、3か月前位に電話するようにしてください。そのくらい(先)なら取れます。」

 

皆さん、解りましたか?

この日の外来も(とても)混んでいて、(外来進行を)早く進めたいと焦る余り

Aさんの「先生、人気だから…」に対して、

『いえいえ、そんなことは無いですよ。』というセリフを省略してしまったのです!!

 

その際、Aさんの表情に「この先生、己惚れてるわ!」と陰りがあったことは言うまでもありません(冗談です)

 

えてして、欧米人(一括りにはできませんが)や中国人などが「自己主張を、はっきりする」のに対して、日本人は「本当は、どう思っているのか解りにくい。」と批判的に語られがちです。

国際化している現在、海外(の価値観)にただ迎合するのではなく、(敢えて)日本的な「美徳」を大切にすることは、「ある意味、逆に」日本人の自己主張とも言えるのです。

 

 

○乳管腺葉区域切除

患者さんから、「もし、癌だったら追加治療はどうなるの?」

結構、(乳管腺葉区域切除の)患者さんからよく聞かれます。

病理結果によっていろいろなcaseがあるので、一概には言えません。」

そう回答しているのですが、そのcaseについて紹介しましょう。

 

 

 

 

 

手術手技

♯ 根本的なことですが…

(「乳頭も取るのでは?」と思っている人もいますが)全く違います。

皮膚を取る必要はないのです。

あくまでも、中の「乳管」を(乳頭の)「皮膚直下~端」まで切除するのです。

 

 

 

 

 

 

〇もしも、(病理結果が)癌であった場合に、『どのような、追加治療が必要なのか?』

 

 

 

case.1  無治療

たとえ、(病理結果が)癌であっても病変が「十分に小さい」場合には追加治療はしません。

このcaseが最も多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

case.2 術後「放射線」

所謂「癌を温存手術しました」的な発想となります。

つまり、「乳房温存術と(術後)放射線はセット」ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

case. 3 術後「再手術⇒(その後)放射線」

このcaseでは、断端は陰性であっても「marginが無い(足りない)」となります。

(case. 2とは異なり)この場合での「乳管腺葉区域切除=外科的生検」と位置づけます。

(癌と診断となったのだから)きちんと「癌としての(marginをしっかりつけた)手術をしましょう。」

 

♯勿論、非浸潤癌だから「全身療法は不要」となります。

 

 

 

 

 

 

case. 4 術後「再手術⇒(その後)放射線」+(全身療法として)「サブタイプに応じた全身療法」

これは単純にcase. 3(手術+放射線)に加えて「浸潤癌」なのだから「全身療法が必要」となるのです。

 

♯ (case.1~4の中では勿論最も頻度が少ないですが)私の記憶の中でも数例存在します。

幸い「抗がん剤は1例も無し」全て(全身療法としては)ホルモン療法のみです。

その理由は

①浸潤径が小さい場合が殆ど(微小浸潤癌)

②大人しい(浸潤径が5mmを超えていても、ほぼ全てでluminal A)

 

 

 

◎ひとこと。

現在、「医療機関のホームページ」に患者さんの感想を載せることは『広告規制の対象』となるため「当院で手術された患者さんの感想」を削除しています。

ただ、実際には術後患者さんに「アンケート葉書」は配り続けています。

せっかく書いていただいた患者さんの気持ちのためにも、「実際はどうなのよ?」と知りたがっている皆様のために私個人の「ブログ」の中で紹介することにしました。

あくまでも私個人のブログの中で「乳がんの術後とは、こういうもの」として「(江戸川病院限定としてではなく)一般的な術後の感想」として受け取っていただければ幸いです。