皆さん、こんにちは。
私が日常診療していて、皆様の声として多いのが「石灰化って、何? どうするの?」というものです。
そこで、解りやすいように、会話形式でAさんが、乳腺外科を受診し、ステレオガイド下マンモトーム生検を受け、その後治療する。までを3回シリーズで紹介します。
第1回目 < Aさん、乳腺外科を受診する >です。
Aさん 35歳女性、フルタイムで働く、2児のママ。夫Bさんは会社員
自宅にて
Aさん
「35歳になったし、そろそろ乳癌検診を受けようかしら。」
夫Bさん
「そうだね。乳癌は他の癌とは違い、若くても注意が必要らしいよ(注1)」
Aさん
「さっそく検診施設を調べて、行ってくるわ。」
Aさんは、インターネットで調べて区の検診や近くで検診をやっている医療機関を調べました。“検診なんて、どこでも一緒なのかしら?(注2)”
Aさんは、近隣の検診をやっている医療機関のホームページをチェックし始めました。そこで初めて【乳腺外科】という診療科のあることに気づき、ホームページで積極的に診療をしているE病院を選びました。
更にホームページで、検診項目には①視触診②超音波③マンモグラフィーがあることを知り、【視触診+マンモグラフィー】をやることにしました(注3)
検診目的でE病院を訪れて、視触診とマンモグラフィーをして帰ってきました。
夫Bさん
「今日の検診どうだった? マンモグラフィーは痛いって聞くけど。」
Aさん
「そうでも無かったわ。こんな位ならもっと前からやってても良かったわね。」
さて、数日して検診結果が送られてきました。
検診結果は【視触診:異常なし、マンモグラフィー:右石灰化あり要精査】でした。
Aさん(少なからず、ショックを受けて)
「これって、癌なのかしら?」
夫Bさん
「石灰化ってなんだろう? 癌と決まった訳ではないさ。視触診で異常なしということはいずれにしても、医者が触っても解らない位小さいのだろう。勇気を持ってE病院を受診した方がいいよ。」
Aさん
「わかったわ。予約するわね。」
受診までの数日間、Aさんは石灰化が気になって仕方がありません。
インターネットで調べましたが、どうもイメージが湧きません。
“石灰化が癌になるのかしら?”疑問が尽きません。
E病院 乳腺外科にて
T医師は、検診の際にAさんの視触診をした医師でした。今回は超音波をした上で、
「Aさん。検診票に書いてあるように右に微細石灰化(虫眼鏡でしか解らないような細かい石灰化)があります。しかし超音波で丁寧に診ましたが超音波で描出できるような腫瘤はありません。」
Aさん(少しほっとしながら)
「じゃあ、大丈夫ということですか?そもそも石灰化って何ですか?インターネットで調べても、どうも難しくて。」
T医師
「石灰化はカルシウムの沈着であり、いろいろな原因で起こります。体中どこにでも起こりますよ。例えば、肩関節の石灰化とか、血管の石灰化、脳の大脳基底核にも良くおこります。他にも腎結石とか肺とか。石灰化はただのカルシウムですから、石灰化が癌になることはありません。ただ乳腺の場合には癌の比較的初期の段階で石灰化を伴うケースがあるのです。代表的なものは【壊死型石灰化】といって、乳管内に癌が増殖して栄養補給ができなくなった中心部の癌細胞が壊死変性したものに起こる石灰化です。(注4)
乳腺におこる石灰化の95%以上は癌と関係の無い石灰化(これを良性石灰化と呼びます。原因としては乳腺症や、線維腺種、のう胞などが代表的です)ですが、あなたの場合のように良悪の区別のつかない石灰化があります。」
Aさん(やや緊張しながら)
「私のように、良悪の区別のつかない石灰化の場合は、どうしたらいいのですか?」
T医師
「選択肢は2つあります。1つは経過観察、もう一つはステレオガイド下マンモトーム生検(以下ST-MMT)で確定診断をつける。という方法です。私の過去1000例以上のデータでは、20-30%に乳癌が見つかります。(注5)」
Aさん
「どちらの方が、いいかしら。」
T医師
「20%以上に癌が見つかるというのは、十分高率です。私はST-MMTによる精査をお勧めします。結果として癌であれば、早期発見となるし、癌でなければ安心が得られます。経過観察をした場合、半年後や1年後に進行する場合もあります。」
Aさん
「解りました。ST-MMTをします。お願いします。」
今回のお話はここまで。 次回は、< Aさん、ST-MMTを受ける編 >を紹介します。
注1)乳癌は40代後半では女性の癌の半分を占めます。 ※下の図は図上でクリックすると拡大します
注2)検診の精度は、検診医の臨床経験により大きく異なります。※下の図は図上でクリックすると拡大します
注3)マンモグラフィーの有効性は確認されていますが、超音波の有効性は現在研究が進行中です(J START) ※下の図は図上でクリックすると拡大します
注4)石灰化の種類は様々ありますが、「癌に伴う石灰化」の代表的なものが、壊死型石灰化です。
壊死型石灰化は、癌細胞の増殖と共に増加し、やがて浸潤を始めます。(これを浸潤癌といいます)
浸潤癌となると、リンパ節や遠隔臓器への転移の可能性が出てきます。 ※下の図は図上でクリックすると拡大します
注5)私自身が行ったST-MMTの結果では20-30%で癌と診断されています。
しかも、90%以上がDCIS(非浸潤性乳管癌)という超早期癌(0期)として見つかっています。
※下の図は図上でクリックすると拡大します
石灰化3部作 第2部
<Aさん、ステレオガイド下マンモトーム生検を受ける>
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< Aさん、ステレオガイド下マンモトーム生検を受ける >
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石灰化で悩んでいませんか?
あなたは医師の説明に満足ですか? 本当に経過観察でいいの?
「良悪を区別できない石灰化」の2割が癌です。早期発見のチャンスを逃してはいけません。
江戸川病院 乳腺センター長の田澤です。
私は自身で1000件以上のステレオガイド下マンモトーム(※)の経験があり、
「石灰化は乳癌早期発見の最大のチャンス」 という確信を持っています。
是非、江戸川病院でステレオガイド下マンモトームを受けて下さい。
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