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ステージ3AルミナルAの術後補助方法について

[管理番号:7362]
性別:女性
年齢:52歳
病名:左乳癌
症状:術後

はじめまして。

4/(中旬)に左胸全摘&リンパ節廓清手術後こちらのサイトにたどりつき、勉強中です。

腫瘍径:4x4cm
グレード:2
リンパ節転移:5/13
脈管浸潤:あり
ER:PgP:あり(どちらも約85%)
Ki67:15%
HER2:FISH確定待ち
⇒ステージⅡBからⅢAに変更

★今後の治療計画(HER2陰性前提)

①化学療法 4カ月
  Dose-denseAC療法(2週毎に1回)×4回
   ↓
  パクリタキセル療法 ×4回

②放射線療法(胸壁照射)5週(月~金 25回)
③ホルモン療法 内服5~10年

②と③は異論はありません。
素直に受け入れます。

問題は①です。

今週のコラム 159回目
今週のコラム 159回目 乳癌診療の基本1 『乳癌の治療で最も重要なことは治療を「局所療法」と「全身療法」に分けることなのです。』

>3.治療は「局所療法(部分切除+放射線 or 全切除)」と「全身療法(ホルモン療法/抗がん剤/抗
HER2療法)」に明確に分けること
>3-1.局所療法(で何を選択するのか?)と全身療法(で何を選択するのか?)は全く独立している。

>3-2.局所療法はMRI(を参考にして)決め、全身療法はサブタイプにより決まる。

今週のコラム 164回目
今週のコラム 164回目 乳癌診療の基本3 サブタイプとは 『リンパ節転移と抗がん剤は無関係であることは2015年にSABCSで発表されています。』

>リンパ節転移と抗がん剤は無関係であることは2015年にSABCSで発表されています。

 >腫瘍径5cm以上でリンパ節転移陽性の浸潤性乳がん
1146人の閉経前女性が、2つの化学療法群と2つの非化学療法群に無作為に割り付けられた。
ルミナールA乳がんの女性では、化学療法を受けた
群とそうでない群の10年無病生存率に差がないことを発見した。

は読んでいたので、即座に「抗がん剤は不要なのでは?」と反論したのですが
「若いし、ステージ3なので必要です。
今なら間に合うけど再発したらもう治らない、やれることはやっておいたほうがいい」と。

「リンパ性転移と血液性転移は別物ですよね?」(外側上側から行きやすかったんだろうし)
「リンパ節の毛細血管から移って既に全身に回っている可能性が高い」(全身療法=ホルモン療法では十分ではないの?)
「(15%だからお金の無駄遣いを承知の上で)上乗せ確認のためオンコタイプDXをしたい」
「転移4個以上はオーダーできない」
「仮に抗がん剤は必要だとしてもTCなのでは?」
「いえ、ACです。若いので2週に1回」

私の不信感いっぱいの表情を見てこのままではまずいと思ったのでしょう。

「5月中には始めたいので、とりあえず放射線やりながら考えてみては」
術前診断では陰性だったのでおそらく陰性と思うが、
HER2陽性だったらハーセプチン投与になると言われ、それは当然受けますと返事をし、
次回5/(下旬)に予約をして帰ってきました。

去年5月に受けた人間ドックで血糖値高値を指摘され
(残念ながらマンモは異常なし)
生活習慣改善で減量し、正常値まで下がったものの最近さぼりがち、
糖尿病&リンパ浮腫&再発予防のためにもやせることはマストだし、
もちろん根治を目指してます、予後改善が期待できることならできる限りのことはしたいです。

江戸川病院に転院したいのは山々ですが、大阪でフルタイムで働いていてとても通えません。

ここは①だけ拒否して②と③を今の病院(○○)で受けようかと思いつつ、
今週のコラム162回目で>〇手術の時点で運命は決まっているのですが、薬物療法である「術後補助療法」によりそれを変えることができるかもしれません。
を読み、抗がん剤をしたほうがよいの?と混乱してきました。
今週のコラム 162回目 実際は、(数年後に)全く新たに発生ではなく、手術時にすでに潜んでいたのです。
なお、51歳の時、子宮筋腫で腹腔鏡による全摘手術(卵巣は温存)をうけており、
閉経前か後かは不明です。

(ホルモン療法の薬剤の提示はなく、主治医がどう判断しているかの説明もまだないです)
(年齢的に①の後に調べるつもりかも?)
術前のCT検査で「卵巣のう腫」指摘有、
治療については、後日かかりつけの婦人科(開業医)への相談でよいと言われてます。

【田澤先生への質問】
■先生なら抗がん剤をすすめますか?すすめるならAC?TC?
 [管理番号:7331 抗ガン剤治療]で
 >Dose denceにかんしての推奨は「再発リスクが高く」かつ「十分な骨髄機能を有する」となります。

 とあるのですが、私の場合は当てはまるのでしょうか?

■今週のコラム 164回目
 >リンパ節転移4個以上)胸壁+SC(鎖骨上リンパ節)照射の適応
 とあるので、②はSC(鎖骨上リンパ節)照射もお願いした方がよいでしょうか?
今週のコラム 164回目 乳癌診療の基本3 サブタイプとは 『リンパ節転移と抗がん剤は無関係であることは2015年にSABCSで発表されています。』

■江戸川病院でセカンドオピニオンを受けて、大阪の提携病院を紹介してもらい、そこで②と③を受けるということは可能でしょうか?
 (○○病院では“効率の為”エコーは主治医がせず技師が行っています) 

■補助療法は術後いつまでに始めるのが望ましいですか?

ご多忙な中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

私はしばしば(OncotypeDXの学術担当者から)情報を得てアップデートしています。
私の理解では、

リンパ節転移=化学療法 という考え方
    ↓
2015SABCSでの報告より「リンパ節転移≠化学療法では?」となったが、現場では「半信半疑」
    ↓
OncotypeDXでは「リンパ節転移無」から徐々に受け入れられ、現状「リンパ節転移1-3個」ではガイドラインでも「OncotypeDXは正しい」となっている。(エビデンスがしっかりしてきたということ)

現状、リンパ節転移4個以上でもOncotypeDXの考え方は正しい(それを示唆するデータがある)が、「リンパ節転移無」や「リンパ節転移1-3個」と比べ「エビデンスレベルが低い」状況なのだと理解しています。
★前者(2つ)と比べ「4個以上」となると「幅が広い(4個と10個と20個も含まれる)」のでエビデンスは難しいのかもしれません。

「■先生なら抗がん剤をすすめますか?」
→勧めません。

「すすめるならAC?TC?」
→もしも行うのなら… アンスラサイクリン→タキサンとなります。 『今週のコラム 182回目 乳癌診療の基本Ⅱ vol.6 長いことanthracyclineの時代が続いたので「本当にアンスラサイクリン抜きでいいの?」抵抗がある医師も多いのです』ご参照のこと

「②はSC(鎖骨上リンパ節)照射もお願いした方がよいでしょうか?」
→その通り

「■江戸川病院でセカンドオピニオンを受けて、大阪の提携病院を紹介してもらいそこで②と③を受けるということは可能でしょうか?」
→提携病院はありません。

「■補助療法は術後いつまでに始めるのが望ましいですか?」
→3か月がひとつの目安とはなるでしょう。(厳密なものはありません)

 
 


 

質問者様から 【結果2 術後の補助療法について】

性別:女性
年齢:52歳
病名:左乳癌
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

大変迅速で丁寧で親切なお答えをいただき感謝の気持ちでいっぱいです。

「乳がんプラザ」に出会わなかったら
主治医の提案に何も疑問を感じることなく進んでしまったことでしょう。

絶望の淵から救っていただき本当にありがとうございました。
先生のお言葉を支えに、次回受診に臨みたいと思います。

<Q&A結果>