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授乳期乳癌について

[管理番号:13117]
性別:女性
年齢:38
病名:
症状:
投稿日:2025年10月06日

出産後一年間の授乳を終えた際に胸にしこりがあることに気付き、発覚。
左乳癌と診断され、術前ddAC4クール、ddパクリタキセル4クールを実施。
スケジュール通り化学療法を終え、左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清。

〈病理組織学的所見〉
肉眼分類:Infiltrative type
組織学的浸潤径:27×12mm
浸潤径+乳管内病巣:73×64×16mm pT2
Invasive ductal carcinoma scirrhous type
非浸潤癌巣:あり
波及度:f+ s+
脈管侵襲:Ly1 V0
Nuclear grade:Grade2
Histological grade:GradeⅡ
断端判定:陰性
pN3a(10/10)[LN(10/10)]
ER:J score 3b
PgR:J score 3b
HER2:2+(陰性)

1、妊娠中の乳癌検診(エコー)では、何も指摘はありませんでした。授乳期で自分でもしこりに気付けなかったことが悔やまれますが、一年半でここまで進行するものなのでしょうか?
乳癌検診では見つけられない癌が何年も前からあったということなのでしょうか。
授乳期は乳管を癌細胞が通りやすく広がりやすい等ありますか?

2、HER2判定が2+で、最終的には陰性となったのですが、DCIS部の一部の腺管は陽性(3+)、浸潤部の腺管は2+~1+に相当となっておりました。
非浸潤部分が陽性であっても、HER2陽性にはならないのでしょうか?

3、針生検の病理結果では癌の悪性度も3、Ki-67 48%で、抗がん剤は悪性度の高いものによく効くと言われておりますが、術前化学療法の治療効果判定がGrade 1a相当でした。
これは抗がん剤が効かなかった癌はそこまで悪性度の高いものではないということなのか、抗がん剤が効かないほどのたちの悪い癌なのか、そもそもルミナールタイプのため、化学療法が効くタイプではないということなのでしょうか。
もしくは私はAC→PTXだったのですが、他の薬剤(ECやドセタキセル)であればまた効果は違ったということなのでしょうか。
やるべきことをただ粛々とこなすしかないことも理解しております。
無意味な術前化学療法を推奨されていない先生にとって愚問かと思われますが、抗がん剤が効けば、効かなかったよりも予後が良いはずなので、抗がん剤の効果が少しだった結果を受け止めきれずにおります。

4、術前化学療法前はリンパ節転移は3個と言われておりました。
術前化学療法後の臨床診断では、原発部分はPR、リンパ転移はほぼCRとのことでしたが、術後病理では術前化学療法後にも関わらず、リンパ節転移は10個となっており、
当初言われていたよりもかなり多い数でこんなことはよくあることなのでしょうか。

5、手術説明の際、腋窩郭清はレベル3まで行いますか?と伺ったところ、主治医からは
そもそも転移箇所がレベル1であり、レベル3まで郭清する必要がないと言われましたが、結果的にリンパ節転移の多さから、3までの郭清が必要だったのでは?と思ってしまいますが、田澤先生はどう思われますでしょうか。

6、今後、放射線治療、ベージニオ&ホルモン療法予定となっておりますが、再発率を下げるための最善の治療でしょうか。

7、ルミナールタイプでPgR陰性の方も多く見受けられますが、ERとPgR共に陽性の場合の方がホルモン療法が良く効く等違いはありますか。

8、治療をすべて完遂した場合の再発率を教えてください。

お忙しいところ恐れ入りますが、宜しくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

1、妊娠中の乳癌検診(エコー)では、何も指摘はありませんでした。授乳期で自分でもしこりに気付けなかったことが悔やまれますが、一年半でここまで進行するものなのでしょうか?
乳癌検診では見つけられない癌が何年も前からあったということなのでしょうか。
授乳期は乳管を癌細胞が通りやすく広がりやすい等ありますか?

→検診の精度(特にエコー)は、どうしようもないことです。
気にしても仕方がありません。

2、HER2判定が2+で、最終的には陰性となったのですが、DCIS部の一部の腺管は陽性(3+)、浸潤部の腺管は2+~1+に相当となっておりました。
非浸潤部分が陽性であっても、HER2陽性にはならないのでしょうか?

→もちろん陰性です。(浸潤部分のサブタイプです)

そもそも「非浸潤がんではHER2の検索自体、適応外」です。
無視しましょう。

3、針生検の病理結果では癌の悪性度も3、Ki-67 48%で、抗がん剤は悪性度の高いものによく効くと言われておりますが、術前化学療法の治療効果判定がGrade 1a相当でした。
これは抗がん剤が効かなかった癌はそこまで悪性度の高いものではないということなのか、抗がん剤が効かないほどのたちの悪い癌なのか、そもそもルミナールタイプのため、化学療法が効くタイプではないということなのでしょうか。
もしくは私はAC→PTXだったのですが、他の薬剤(ECやドセタキセル)であればまた効果は違ったということなのでしょうか。
やるべきことをただ粛々とこなすしかないことも理解しております。

→そもそも「luminal type」なのだから、何の目的で術前抗がん剤をしたのか? 
(質問者には悪いですが)全く理解できません。

4、術前化学療法前はリンパ節転移は3個と言われておりました。
術前化学療法後の臨床診断では、原発部分はPR、リンパ転移はほぼCRとのことでしたが、術後病理では術前化学療法後にも関わらず、リンパ節転移は10個となっており、
当初言われていたよりもかなり多い数でこんなことはよくあることなのでしょうか。

→効かない抗がん剤をやっている間に(リンパ節転移が広がった)可能性はありますが、それは今更仕方がないでしょう。

5、手術説明の際、腋窩郭清はレベル3まで行いますか?と伺ったところ、主治医からは
そもそも転移箇所がレベル1であり、レベル3まで郭清する必要がないと言われましたが、結果的にリンパ節転移の多さから、3までの郭清が必要だったのでは?と思ってしまいますが、田澤先生はどう思われますでしょうか。

→必要だったと思いますが、「そもそも」その術前抗がん剤ありきの医師が鎖骨下郭清が「手技的に」できるとは

6、今後、放射線治療、ベージニオ&ホルモン療法予定となっておりますが、再発率を下げるための最善の治療でしょうか。
→それが唯一の(適応がある)治療です。

7、ルミナールタイプでPgR陰性の方も多く見受けられますが、ERとPgR共に陽性の場合の方がホルモン療法が良く効く等違いはありますか。
→可能性はあります。

8、治療をすべて完遂した場合の再発率を教えてください。
→20%前後かもしれません。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/10/21
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