[管理番号:12880]
性別:女性
年齢:45歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2025年07月08日
初めてメールさせて頂きます。
3月に非浸潤の乳がんと診断され、6月下旬の手術時の検査で浸潤がん、現在術後10日程度です。田澤先生の的確なご意見をいただきたく、ご連絡しましました。よろしくお願いいたします。
2月 マンモトーム生検
3月中旬 非浸潤癌と診断
4月 MRI検査
5月中旬 超音波検査(手術前受診最後)
非浸潤がんのためセンチネル生検は行う必要がないとの説明あり。
6月下旬 右乳房一部切除、センチネル生検なし、リンパ切除なし
7月初旬 病理検査の結果、
浸潤がん 12×6×5ミリ、非浸潤含む15×12×7ミリ
1病巣
核グレード1
組織学的グレード1
ER100% 陽性
PgR80% 陽性
HER2 score1
Ki-67 26%
波及度 f
IA期(現時点では転移検査していないため、転移はなし)
質問
1. 主治医から、心配であれば追加で脇の手術をすることもできる。手術するかどうか1週間後の診察までに決めてほしいと言われていますが、また手術するのかと思うとどうしたら良いのかわかりません。
センチネル生検、リンパ節切除するべきでしょうか?
(過去の投稿で術後のセンチネル生検は正確性に欠けるというようなご指摘を見たような気がしますが、探し出せません。)
術後すぐから脇にしこりができ(抜糸の時に伝えたところリンパ節とのこと)、とても痛く、これが転移だったらと不安です。
また、抗がん剤治療もどうするかと言われ、オンコタイプ検査というものがあると説明を受けました。
転移の有無もわかりませんが、有無を確認してから抗がん剤をすることになりますか?
センチネル生検・リンパ節切除せずに、抗がん剤なしとすることはリスクはないでしょうか。
術後に放射線とホルモン治療があることは聞いていましたが、抗がん剤治療のことは今まで出なかったので、戸惑っています。
2. マンモトーム生検から手術までの間に浸潤したのでしょうか。リンパ切除する場合、手術までに3ヶ月ほど待つ可能性がありますが、その間に進行してしまわないでしょうか。
過去に同じような投稿がありましたらご容赦ください。
先生のご意見をいただければと思います。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
少々、読んでいて違和感があったので整理させてもらいます。
先ずガイドライン上明らかなこととして
(術前針生検での非浸潤癌という診断は)術後「浸潤癌」が判明する可能性があるので、センチネルリンパ節生検は行うべき
ただし、術前診断が(腫瘍そのものを摘出しての診断である)外科的生検の場合には、センチネルリンパ節生検は省略できる
↑
この内容は、至極「腑に落ちる」と思いませんか?
病変の「一部」での検査に過ぎない針生検(吸引式針生検であるマンモトームも含む)では「病変全体の中に浸潤部分が無いとは(当たり前ですが)限らない」ので、(その可能性を考えて)センチネルリンパ節生検すべき
それに対して病変「全体」での評価である「外科的生検での非浸潤癌との診断」は、(たとえ、マージン部分を切除するための追加切除で病変が一部見つかるとしても)大部分が非浸潤癌なのだから、「ほんの少量追加切除した部分に浸潤癌があるかも?」とまでは疑心暗鬼になる必要はないわけです。
上記が大原則です。
それは担当医も「重々承知」している筈なのに『非浸潤がんのためセンチネル生検は行う必要がないとの説明』というのが、どうしても(私には、そしてきっと「多くの」乳腺外科医には)腑に落ちないのです。
ただし上記「大原則」といったのは、その一方で「例外もありえる」という裏返しです。
★私であれば、「2-3mm程度の微小石灰化」をST-MMTで「非浸潤癌」(しかも免疫染色で漸く「癌と診断」する程度)などであれば、さすがに冒頭に示したような「針生検での術前診断での非浸潤癌は(術後病理で)浸潤癌がありえる」とはいえ、その可能性は「極限までゼロに近い」
そういう場合に私は患者さんに
『大原則はセンチネルリンパ節生検を推奨とはなりますが、あなたの状況ではその可能性は極限までゼロに近いので省略も(希望すれば)問題ありませんよ』となります。
無論、質問者の病変についてはそれが「エコー所見」なのか「石灰化所見」なのかも不明だし、そもそも「マンモトーム」という言い方は「(エコーガイドの)MMTEにも(ステレオガイドの)ST-MMTにも、その両方に当て嵌まる言葉」なのです。
ただ『浸潤がん 12×6×5ミリ、非浸潤含む15×12×7ミリ』を見ると、病変全体の大きさ(15mm)も大きいし、それに対する「浸潤部分が12mm」というのも「病変の80%が浸潤癌」となるので上記★のような「センチネルリンパ節生検の省略を提案しても当然」のように感じないからです。
さて、前置きが長くなりました。
過去の投稿で術後のセンチネル生検は正確性に欠けるというようなご指摘を見たような気がします
⇒その通りです。
と、同時に腫瘍の位置によります。
腫瘍が乳頭~腋窩へ至る経路(リンパ管の経路)に位置していると、その手術の際にリンパ管を損傷=センチネルリンパ節生検ができない可能性が高くなるということです。
先生のご意見をいただければ
⇒問題点を2つに整理しましょう。
1.センチネルリンパ節生検すべきか?
⇒上記「腫瘍の位置」もしくは「エコーで怪しげなリンパ節があるのか?」その2つで判断すべき
2.OncotypeDXすべきか?
⇒OncotypeDXするのであれば、通常リンパ節転移の個数がわかっているべきですが、少なくとも(OncotypeDXせずに)抗癌剤など、とんでもない!ですよ。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/7/24
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