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ステージ3aへのオンコタイプの有効性

[管理番号:9802]
性別:女性
年齢:47
病名:乳がん
症状:ステージ3a
投稿日:2021年10月14日

田澤先生

はじめまして。

近い事例はないものかと先生の回答をはじめネット検索をしたのですが、思い切って直接こちらに質問させて頂きました。

オンコタイプdx検査についてお伺いしたいです。

今年6月にシコリに気付き受診、9月2日に右乳腺全摘、右腋窩リンパ節郭清をしました。

以下術後病理検査情報です。

47歳 閉経前
浸潤性小葉癌 浸潤癌99%
標本サイズ 230mm×220mm
最大経(割面) 58×17mm
範囲(平面)、浸潤径+乳管内進展巣 111×86mm
切除断端:- 断端までの距離47mm
組織学的グレード 2
核グレード 1
ホルモン受容性
ER:3b(100%) PgR:3b(100%) HER2:0 Ki67:18%
リンパ節 2/16
レベルⅡリンパ節 0/1
レベルⅠリンパ節 2/15(最大径12mm)
ステージ3a

術前検査の段階でもホルモン受容体強陽性、ステージ2bだったので、
術前からオンコタイプを希望していたのですが、主治医(執刀医)は術後の病理検査が出てからと言われました。

術後病理の結果がステージ3a(腫瘍の大きさが5センチ越え)となった為かオンコタイプ検査に難色を示しておられたので、別病院の腫瘍内科医の先生にセカンドオピニオンを受けたところオンコタイプ検査を希望したのは良い選択だったと言われ安心してオンコタイプ検査を申し込みにいったところ。

主治医乳腺外科医
「ステージ3aでオンコタイプをやって低リスクでもステージをみると抗がん剤は外せないんじゃないか。
だからあまりやる人はいない。

小葉癌は数が少ないからオンコタイプのデータがあまりあてにならないかも。

ステージ3aで抗がん剤を外す人はあまりいない。

このタイプは実際より低リスクで出る。

検査した部分はせいぜい2センチ角、その他の検査されてない広がった部分は分裂して大きくなっているから検査した部分とは違うタイプの癌になっている可能性がある。」

セカンドオピニオン腫瘍内科医
「ステージより先ずは癌の性質が重要」
「再発リスクが低リスクなら放射線もやらなくていいんじゃないか。」

初めは抗がん剤治療を出来る事なら避けたい気持ちでオンコタイプを希望しました。

今は抗がん剤の上乗せ効果があるならば前向きに望みたいと思っています。

前置きが長くなりすみません。

ここから質問をさせていただきます。

①ステージ3aでもオンコタイプ検査の有用性、恩恵を受けられると思われますか?

②小葉癌はオンコタイプの結果を信じるのは危険ですか?
また低リスクで出でる。
という意味合いは少し上乗せして考えた方が良いと言う意味なのでしょうか?
また田澤先生は結果をどう判断されますか?

③病理検査をした部分とその他の部分とでは細胞分裂によりタイプが変わってくるのでしょうか?

④術後2ヶ月以内に何かしらの化学療法をしないといけないと言われました。

それを過ぎるとどのくらい効果が下がってしまうのでしょうか?
(オンコタイプの結果が出る頃には術後2ヶ月が過ぎてしまいます。)

⑤オンコタイプで低リスクが出た場合は放射線はやらなくて良いと思いますか?
(全摘なので肺や骨などの影響が心配、再建も考えています。)

⑥先生のご経験でルミナールA ステージ3a以上でホルモン治療のみもしくはホルモン療法+放射線の方はいらっしゃいますか?

⑦毎年のエコー検査、2年に一度のマンモ検査をしてきたにもかかわらず、この大きさで見つかりました。

今後どのような検診をしていったら良いのか検診への不信感しかありません。

今後どのような検診をして貰えば良いのかアドバイスをいただけますでしょうか?

以上、長くなりましたがご回答よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

物事はシンプルに考えましょう
ステージ3AだからOncotypeDXは無意味というのは完全な誤りです。

OncotypeDXの有用性はリンパ節転移3個以下には証明されています。(4個以上にはエビデンスが低いので参考程度となります)
是非『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』を熟読ください。 ★Rx PONDREの対象者がまさに(質問者のように)「リンパ節転移1~3個」なのです。

今回の「メール内容」を見る限り、その腫瘍内科医は正しい(私は同意します)が、その乳腺外科医の意見には全く賛成できません。

「術後病理の結果がステージ3a(腫瘍の大きさが5センチ越え)となった為かオンコタイプ検査に難色を示しておられた」
⇒それは「誤り」
 ステージではなく「OncotypeDXの有用性はリンパ節転移1-3個で示されている」のです。

「別病院の腫瘍内科医の先生にセカンドオピニオンを受けたところオンコタイプ検査を希望したのは良い選択」
⇒その通り。

「ステージ3aでオンコタイプをやって低リスクでもステージをみると抗がん剤は外せないんじゃないか。」
⇒誤り。
 Rx PONDERというエビデンスがあるのです。

「小葉癌は数が少ないからオンコタイプのデータがあまりあてにならないかも。」
⇒根拠がない。
 「あなた(その主治医)の独断」よりも「データ」の方が信頼に値します。

「ステージ3aで抗がん剤を外す人はあまりいない。」
⇒当院では、その結果に従っていますよ。

「このタイプは実際より低リスクで出る。」
⇒根拠薄弱!(かなり独断の多いキャラですね)

「検査した部分はせいぜい2センチ角、その他の検査されてない広がった部分は分裂して大きくなっているから検査した部分とは違うタイプの癌になっている可能性」
⇒そんな根拠のない想像をしてまで、どうしても抗がん剤を強要する理由が不明

「セカンドオピニオン腫瘍内科医
「ステージより先ずは癌の性質が重要」
「再発リスクが低リスクなら放射線もやらなくていいんじゃないか。」

⇒完全に同意します。
 放射線も(全摘後は)リンパ節転移4個以上で適応となります。(質問者には不要)

「①ステージ3aでもオンコタイプ検査の有用性、恩恵を受けられると思われますか?」
⇒勿論!(上記参照)

「②小葉癌はオンコタイプの結果を信じるのは危険ですか?また低リスクで出でる。という意味合いは少し上乗せして考えた方が良いと言う意味なのでしょうか?
また田澤先生は結果をどう判断されますか?」

⇒小葉癌は無関係
 

「③病理検査をした部分とその他の部分とでは細胞分裂によりタイプが変わってくるのでしょうか?」
⇒根拠がない。
 そんなことを想像する理由がない。

「④術後2ヶ月以内に何かしらの化学療法をしないといけない」
⇒これも根拠がない。

 実際にOncotypeDXをオーダーすると(その結果まで4wかかるので)それよりは間隔が空きます。

「⑤オンコタイプで低リスクが出た場合は放射線はやらなくて良いと思いますか?
(全摘なので肺や骨などの影響が心配、再建も考えています。」

⇒そもそもリンパ節転移3個以下なら、放射線は提案しません。

「⑥先生のご経験でルミナールA ステージ3a以上でホルモン治療のみもしくはホルモン療法+放射線の方はいらっしゃいますか?」
⇒普通のことです。

「⑦毎年のエコー検査、2年に一度のマンモ検査をしてきたにもかかわらず、この大きさで見つかりました。
今後どのような検診をしていったら良いのか検診への不信感しかありません。
今後どのような検診をして貰えば良いのかアドバイスをいただけますでしょうか?」

⇒3か月毎に採血マーカー 半年ごとに超音波 1年ごとにマンモグラフィー

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

ステージ3aへのオンコタイプの有効性
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳癌
症状:ステージ3a
投稿日:2021年10月21日

田澤先生

先日はお忙しい中、丁寧なご回答心から感謝しています。

主治医の乳腺外科医と外科部長からは不安ばかりが募る説明が常だったので、恐怖で思考も身体も固まってしまい涙も出てこない状態になっていました。

そんな中、田澤先生の的確な患者に寄り添ったご回答で安堵の涙が出ました。

本当にありがとうございます。

またいくつか質問させてください。

オンコタイプを申し込みに行った際、
毎年のエコー検査、2年に一度のマンモ検査をしてきたにもかかわらず、この大きさで見つかったので今後どのような検診をしていったら良いのかと質問したら、
私は田澤先生から頂いたような回答が欲しかっただけなのですが、
私も定期的な超音波検査をして早期発見に努めて貰えないかと尋ねたのですが、
乳腺外科部長→
「それは出来ない。当てはまらない。」?
の様な事を言われました。

「小葉癌は往々にして大きくなってからみつかるから」
「そんなに心配ならもう片方も取っちゃえばいいんだよ。
遺伝子検査を受けるとか」
と言われて術後まだ傷も完全に癒えていない状態なのにとてもショックを受けました。

私は肉親に乳がんなどになった人がいないので適応ではないのではないかと言いましたが、「何とかなるよ。
でもとりあえず治療法を決めてからの話し」とはぐらかされました。

心配になりもう一度、肉親の病歴を調べたら叔父が80歳を過ぎてから前立腺癌になったそうです。
今も健在です。

①私には遺伝子検査は必要でしょうか?
左胸乳房も取ってしまった方がいいのでしょうか?
小葉癌は大きくならないと見つからないのでしょうか?

主治医に別の日に改めて今後の検診の方法を確認したところ、
血液マーカーは6ヶ月に1度
エコーも6ヶ月に1度(検査技師による検査)
1年に1度のマンモ血液マーカーは3ヶ月に1度はやりませんか?と尋ねましたがウチではやらない。
だそです。

②血液マーカー6ヶ月に1度でも問題はないのでしょうか?

③話しが噛み合わない病院(医師)のところでこれから長くかかる治療をお任せして良いのだろうかと悩んでいます。

だだ今の病院は某県立のがんの専門病院で施設も設備も整っていると理解していますが転院も視野に入れた方が安全なのでしょうか?

すみません。
愚痴になってしまいました。

健康な身体であればこんなにセンシティブに受け止めないのかもしれませんが、オンコタイプの結果がどうであれ、今後の治療や検診の事を考えるとこの病院で良いのか不安でたまりません。

現在提示されている治療は
(1.EC療法 タキサン療法(6ヶ月)→2.放射線治療→3.タモキシフェン)
オンコタイプ希望なら先に放射線治療←これは今やっても化学療法に間に合わなくなるからと今のところ回避しました。

(これが標準治療だそうです汗)

④今の病院ではルミナールという言葉が一度も出てこないのですが、私のタイプはルミナールAと考えていていいのでしょうか?

⑤オンコタイプの適用のところに早期癌と記載されているのですがステージ3aは早期癌には値するのでしょうか?

⑥最近、線虫検査と言うものを聞くようになりました。

この検査は再発などを見つけるのに役立ちますか?
また一般的な実用性をどうお考えですか?

⑦今後ホルモン療法のみで治療をする場合、私の場合はどのようなホルモン剤治療が適していますか?

今回も長文になり申し訳ありません。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

申し訳ありませんが…
私はその主治医の意見には「全く」興味がないので…(必要な個所のみ回答します)

「①私には遺伝子検査は必要でしょうか?」
⇒BRACAnalysisのことですね。
 ご自身が「対側乳腺の予防切除を切望」していない限り不要です。

「②血液マーカー6ヶ月に1度でも問題はないのでしょうか?」
⇒心配なら(3か月に1回、ホルモン療法で通うことになるのだから)3か月毎にしてもいいとは思います。(当院では半年に1回とすることが多いですが、患者さん自身が希望する場合には、そのようにしています)

「④今の病院ではルミナールという言葉が一度も出てこないのですが、私のタイプはルミナールAと考えていていいのでしょうか?」
⇒ルミナールタイプです。
 AなのかBなのか調べるためのOncotypeDXですよ。(最初からAだと確定していたらOncotypeDXする意味がなくなります)

「⑤オンコタイプの適用のところに早期癌と記載されているのですがステージ3aは早期癌には値するのでしょうか?」
⇒無関係(前回の回答通り)

「⑥最近、線虫検査と言うものを聞くようになりました。」
⇒無意味

「⑦今後ホルモン療法のみで治療をする場合、私の場合はどのようなホルモン剤治療が適していますか?」
⇒『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』を熟読してもらえば解りますが…

 (リンパ節転移有の場合には)tamoxifen + LH-RHagonistとなります。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

オンコタイプDX結果
性別:女性
年齢:48
病名:乳癌
症状:ステージ3a
投稿日:2021年11月12日

田澤先生
[管理番号9802]

オンコタイプDX検査の件ではたくさんの質問と不安を解消していただきありがとうございました。

オンコタイプの結果が出ました。

13と低リスク、再発リスクが13%
化学療法の上乗せ効果なし
9.8ER陽性 8.0PR陽性 8.7HER2陰性

このデータを信じてホルモン療法のみで、前向きに治療を進めていこうと思うのですが、
再発リスクの13%がやや高めではないかと心配なのですが、この数字はどう受け止めたら良いのでしょうか?
ステージ3aだからやや高めに出るのでしょうか?

今後の治療がタモキシフェンのみになりました。

LH-RHagonistはやっても副作用がキツイだけで上乗せ効果がないと言われました。

あれだけ抗がん剤+放射線+ホルモン剤の3点セットを勧められていたのにタモだけで良いと言われ呆気に取られてしまい本当にタモだけで大丈夫でしょうか?

そして私の結果と一緒に渡されたオンコタイプの説明パンフレットの見本の結果表と全く同じ数値だったのですが、これはたまたまなのでしょうか?
余りにも同じ過ぎて本当に私個人のものなのかと心配になってしまいました。

化学療法の上乗せがないという事はルミナールAと認識していいのでしょうか?

お忙しいところ申し訳ありませんがアドバイスをいただけたら幸いです。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

OncotypeDXがlow risk 良かったですね。
ホルモン療法は(前回紹介したように)

以下コピペ

「⑦今後ホルモン療法のみで治療をする場合、私の場合はどのようなホルモン剤治療が適していますか?」
⇒『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』を熟読してもらえば解りますが…

 (リンパ節転移有の場合には)tamoxifen + LH-RHagonistとなります

 
 


 

質問者様から 【結果4 】

ステージ3aホルモン療法
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳がん
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

田澤先生
【管理番号9802】

結果

自宅から近くの連携クリニックに転院し
田澤先生のご提案の
tamoxifen + LH-RHagonist
の治療ができる事になりました。

たくさんの不安を解消して頂きありがとうございました。

<Q&A結果>