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乳がんの手術をしたら葉状腫瘍と言われました。

[管理番号:3074]
性別:女性
年齢:40歳
先生、はじめまして。
いつもホームページを拝見しております。
4月に細胞診とMRIの結果、右乳房の乳がんと診断され、5月中旬にセンチネルリンパ節と温存療法の手術を受けました。
先週病理の結果を聞いたら乳がんではなく、良性の葉状腫瘍ということでした。
こんな間違いはあるのでしょうか?
葉状腫瘍だとリンパ節に転移がないので、リンパ節をさわる必要はなかったとを思うと残念でたまりません。
そこで先生に質問です。
乳がんの手術と葉状腫瘍の手術は全然違うものでしょうか?
今後ほんとに乳がんになった場合、またセンチネルリンパ節はしてもらえるのでしょうか?
お忙しいでしょうが、お返事をお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
これは「かなり驚き」です。
絶対に有ってはならない事です。その認識が担当医にはありますか?
「細胞診とMRIの結果、右乳房の乳がんと診断」
⇒細胞診の偽陽性率(癌でないのに癌と診断してしまう率)は1%あると言われています。
 だから(組織診が一般的となっている)現代においては「細胞診だけで確定診とすることはあってはならない」ことです。
 今回の「細胞診の判定」は何だったのでしょう?「まさかクラス4ではないですよね?」
 ○いずれにせよ、細胞診では(例えクラス5を出しても)コメントに「組織診でご確認ください」という文言がついていることが一般的です。
 
「こんな間違いはあるのでしょうか?」
⇒冒頭でコメントしたように「あってはならない」ことです。
 
「葉状腫瘍だとリンパ節に転移がないので、リンパ節をさわる必要はなかったとを思うと残念でたまりません。」
⇒全くその通りです。
 私も、残念です。
 
「乳がんの手術と葉状腫瘍の手術は全然違うものでしょうか?」
⇒違います。
 一番大きな点は「腋窩リンパ節の取り扱い」です。
 葉状腫瘍の場合は「たとえ悪性葉状腫瘍でも、殆どリンパ節転移は無い」のです。
 また乳腺部分切除の際のマージンの取り方も異なります。
 
「今後ほんとに乳がんになった場合、またセンチネルリンパ節はしてもらえるのでしょうか?」
⇒通常は、「センチネルリンパ節はできない」です。
 結果があてにならないのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

おはようございます。
丁寧なお返事をありがとうございます。
細胞診の病理の報告書はクラス表示ではなく、「悪性」と書かれていました。
コメントに「組織診でご確認ください」という文言はついてませんでした。
「嚢胞内乳頭ガンを疑います」と書かれています。
前回の私の質問のお返事には、乳がんと葉状腫瘍の手術は異なると書かれてましたが、乳がんと思って手術したので、腫瘍(2cm弱)の周りを2cmのマージンを取って円状に切ってもらっています。
段端陰性です。
2cmのマージンがあれば良性の葉状腫瘍だと局所再発のリスクは低いですか?
それとも再手術してもらった方がいいのでしょうか?
葉状腫瘍は急激に大きくなると聞きますが、10年前にエコーとマンモ、4年前にエコーをうけています。
2回とも線維腺腫との診断でした。
大きさは2cm弱でほぼ変わってないと思います。
何年も大きくならない葉状腫瘍はありますか?
センチネルリンパ節生検でリンパ節を1つ摘出しました。
まだ子供が小さいのでおんぶして(10キロです)家事をしたり、外出時にはリュックを背負うことがおおかったのですが、今後はやめた方がいいですか?
お忙しい中申し訳ないですが、お返事よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
いまだに細胞診だけで「癌と診断して、癌の手術をしている」医師がいることに率直に驚くとともに、残念な思いで一杯です。
「良性葉状腫瘍」を「細胞診で悪性」として「組織診でご確認ください」ともしなかったとすれば、「病理医にも大きな問題」があります。「どうして、そんな誤診がおきたのか?」本来検証がなされるべきものです。
○今回のメールで更に驚いたことは
「10年前にエコーとマンモ、4年前にエコーをうけています。2回とも線維腺腫との診断でした。大きさは2cm弱でほぼ変わってない」
⇒これを担当医は知っていて(細胞診だけで)「癌と診断」したのですか?
 常識として「4年前どころか10年前から殆ど大きさが変わらない」時点で「そんな癌はあるのか?
 この細胞診の結果間違っているのでは?」と考えるのが普通です。
 その担当医の思考過程が「全く理解不能」です。
 
「乳がんと思って手術したので、腫瘍(2cm弱)の周りを2cmのマージン」
「2cmのマージンがあれば良性の葉状腫瘍だと局所再発のリスクは低いですか」
⇒良性葉状腫瘍で「2cmものマージン」があれば「十分すぎるほど」です。
 ♯私が「癌と葉状腫瘍のマージンの付け方が異なる」と前回メールでコメントしたのは、『癌の方がマージンが必要』という意味でした。
 
「それとも再手術してもらった方がいいのでしょうか?」
⇒全く不要です。
 明らかに「根治」です。
 
「何年も大きくならない葉状腫瘍はありますか?」
⇒良性だから当然です。
 
「センチネルリンパ節生検でリンパ節を1つ摘出しました。」
⇒全く残念なことです。
 (診断に問題の有る担当医の)「センチネルリンパ節生検の手技の精度に問題がない」ことを願うだけです。
 
「まだ子供が小さいのでおんぶして(10キロです)家事をしたり、外出時にはリュックを背負うことがおおかったのですが、今後はやめた方がいいですか?」
⇒それは、担当医に確認してみましょう。
 センチネルリンパ節生検が「高い精度」であれば、問題無い筈です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生、いつも親身なお返事をありがとうございます。
私のうけた葉状腫瘍の手術を明らかな根治と言っていただき、安心しま
した。
前回の診察の時になぜ組織診をしなかったのか、リンパ節を1つとられ
て悲しいという私の思いを伝えたのですが、言い訳ばかりで納得のいく
答えを得られず、うまくいいくるめられてしまいました。
10日くらい前から手術した方の右腕の肘の内側から手首にかけ、筋肉痛
のようなだるさと張り、肘が伸ばせないくらいの痛みがあり、近くの整
形外科で診察をうけたところ、多分筋肉の炎症だろうということでロキ
ソニンとロキソニンテープをもらいましたがイマイチ良くなりません
ん。
これはセンチネルリンパ節生検の影響でしょうか?
痛みが出だしてから右腕のむくみが出てきたような気がします。
メジャ
ーで上腕部、肘、手首を計ったところ、左右差は2ミリから3ミリであ
まり差はありません。
ただ半袖のシャツの袖部分がゴムになったのを着
た時に、右側だけ明らかにくいこんでて、左側はユルユルです。
手術後
につけれていた指輪も数日前から入らなくなりました。
リンパ浮腫の始
まりでしょうか?不安で仕方ありません。
病理のレポートについて教えて下さい。
間質に筋上皮への文化が見られる可能性があり、他の間質性腫瘍を否定
するため、追加検討するとありますが、他の間質性腫瘍とはどんな腫瘍
のことでしょうか?
MIB-1が9.6%と書かれていますが、なぜMIB-1を計っていたのでしょう
か?
お忙しい中申し訳ありません。
お返事お待ちしています。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
10年前から殆ど大きさの変わっていない腫瘍を細胞診だけで「癌と診断」して手術して「良性葉状腫瘍だった」という経緯だったと思います。(10年も変化のない癌など、そもそも疑ってかかるのが常識です)
担当医にはもう少しまともな臨床的な目を持ってもらいたいものです。
「10日くらい前から手術した方の右腕の肘の内側から手首にかけ、筋肉痛のようなだるさと張り、肘が伸ばせないくらいの痛みがあり、近くの整形外科で診察をうけたところ、多分筋肉の炎症だろうということでロキソニンとロキソニンテープをもらいましたがイマイチ良くなりません。これはセンチネルリンパ節生検の影響でしょうか?」
⇒そうだと思います。
 血管炎でしょう。 モンドールともいいます。「手術操作など」の末梢側に血管炎(静脈炎)が起こる事があります。(2~3カ月で自然改善します) 筋状に痛くは無いですか?
 
「手術後につけれていた指輪も数日前から入らなくなりました。リンパ浮腫の始まりでしょうか?不安で仕方ありません。」
⇒センチネルリンパ節生検だけで、「浮腫が進行」することは全く考えられません。
 一時的なものでしょう。
 
「間質に筋上皮への文化が見られる可能性があり、他の間質性腫瘍を否定するため、追加検討するとありますが、他の間質性腫瘍とはどんな腫瘍のことでしょうか?」
⇒平滑筋腫瘍(良性だから肉腫ではないと思いますが)でしょう。
 
「MIB-1が9.6%と書かれていますが、なぜMIB-1を計っていたのでしょうか?」
⇒これは葉状腫瘍などでも「そのグレード(増殖性)」の参考にするために測定することも多いです。