[管理番号:6887]
性別:女性
年齢:37歳
病名:
症状:進行性多発骨・肝転移乳がん
田澤先生、はじめまして。
初めて質問させていただきます、よろしくお願いいたします。
2015年妊娠中にしこりを見つけ当初葉状腫瘍と言われ、
手術で摘出したところ左胸乳がんが発覚しその時点ですでに左脇リンパと肝臓に転移がありました。
ホルモン陽性、HER2陰性だったので産後タキソールを8か月ほど継続し、肝臓は寛解し
リンパと左胸のしこりも縮小したため、ホルモン治療(タモキシフェン)へ移行しました。
しばらく落ち着いていたものの、1年経た
ないうちに左胸のしこりが大きくなってきたため
治療薬をアナストロゾール+リュープリンへ変更し様子を見ました。
その後、また1年経たないうちに背骨に転移が見つかり、ランマークを追加しましたが
顎に痛みが出てきたため、ランマークを止めて経過観察しました。
骨転移は背骨の1か所に大きくある以外は腰などに小さなものが2~3個所ありますが、幸いにもその後進行することなくきていたのですが
今年4月にずっと動きの無かった肝臓に再度影が出てきました。
(以前あった場所では無かったので再発というより、新たな転移と言われました)
そこで薬をまた変更(エキセメスタン+リュープリン)しましたが
3か月毎のCTでひとまわりずつ大きくなってきています。
当初から基準値内であった腫瘍マーカーも最近基準値を超えてきました。
ホルモン治療は効きにくくなっているだろ
うからと、主治医からはイブランスの使用を勧められています。
病気の発覚当初より色々と本を読んだりインターネットで情報を収集してきましたがトモセラピーで骨転移の方が改善したということを聞いたことがあり、もし私でも適用可能ならば受けてみたいと考えています。
現状、ホルモン治療による副作用もほとんどなく、問題なく日常生活を過ごしています。
イブランスは骨髄抑制などの副作用が確実に出ることから、少しでも心配事(背骨骨折等)を減らしたいという気持ちがあります。
そこで先生にお聞きしたいのですが
①トモセラピーの治療を受けることで、骨転移が改善、寛解することは実際あるのでしょうか?
②現在の私の状況でトモセラピーによる放射線治療は有効でしょうか?
田澤先生でしたら、トモセラピーも治療の選択肢としてお考えになりますか?
(主治医の考えは、効果が得られるエビデンスがある薬を目の前にして、
放射線治療(対症療法)を行うことは全身がんには意味があると思えないのでお勧めしないと以前言われました)
③もしトモセラピーを受けられる場合、イブランスは併用可能でしょうか?
④私の場合、保険は適用になるのでしょうか?
長文申し訳ありません。
ご回答頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私から見れば…
質問者には勘違いがあるようです。
治療は「全身療法(ホルモン療法、抗がん剤、分子標的薬)」と「局所療法(手術、放射線)」に明確に分けて考えなくては、迷路に陥ってしまいます。
「①トモセラピーの治療を受けることで、骨転移が改善、寛解することは実際あるのでしょうか?」
「②現在の私の状況でトモセラピーによる放射線治療は有効でしょうか?」
⇒勿論!
骨転移に放射線治療が有効であることに疑いはありません(トモセラピーにかかわらず、普通のリニアックでも同様)
「田澤先生でしたら、トモセラピーも治療の選択肢としてお考えになりますか?」
⇒選択肢ですが、この場合に「局所療法」を選択することは(私は)ありません。
「肝転移の増大」があるのであれば、「局所療法」である放射線で骨転移だけ狙っている状況ではありません。
当然「全身療法」を選択すべきです。
★何故抗がん剤をしないのでしょうか???
タキソール(パクリタキセル)しかやっていない(何故、単剤で8か月なのか理解に苦しみますが)のですよね?
しかも奏功しているうちに止めている(効かなくなって中止したのとは雲泥の差がある)
私であれば(イブランスでもトモセラピーでもなく)「抗がん剤」を選択します。
第1選択 bevacizumab + paclitaxel(パクリタキセルは再度効く可能性は十分にあります)
第2選択 eriblin
第3選択 アンスラサイクリン、ドセタキセルなど
上記抗がん剤で全身(肝や左胸)が改善したら、その長期コントロールとして初めて(骨転移に対して)「放射線(トモセラピーに限らず)」⇒「パルボシクリブ+リュープリン+フェソロデックス」とします。
「③もしトモセラピーを受けられる場合、イブランスは併用可能でしょうか?」
⇒不可です。
「④私の場合、保険は適用になるのでしょうか?」
⇒勿論。