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抗がん剤について

[管理番号:5276]
性別:女性
年齢:54歳
田澤先生、こんにちは。
4月に要精密検査と言われてからずっとこちらで勉強させていただいています。
いつもありがとうございます。
54才閉経前です。
先月、乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘+ティッシュエキスパンダー挿入術を受けました。
術中センチネルリンパ生検で3/4の転移→リンパ廓清となりました。
先日病理結果の説明をうけ、治療方針を決めなければなりません。
術前の説明よりも大分悪くなり、混乱しています。
pT2N2M0 StageIIIA
腫瘍の大きさ23×18mm
ER   +
PgR  +
HER2 -
Ki-67 5%
リンパ節転移 6/15
ly0、v0
悪性度 グレード1
治療方針:化学療法(TC)→放射線→ホルモン治療10年
10年再発率が20%、ホルモン療法で↓5%、化学療法で↓+
3%とお聞きしました。
リンパ節転移があるので、ルミナールAでも化学療法が標準治療となるのはわかりますが、
上乗せが3%しかないのであれば、抗がん剤はしたくないのです。
田澤先生はどのようにお考えになられますか?
患者さんが決めることですが、抗がん剤をしないということは標準治療からはずれることですと言われました。
とんでもない判断なのでしょうか?
放射線とホルモン治療は受けます。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
非常に大人しいタイプの乳癌(Ki67=5%というのは、「かなりの」大人しさです)には抗癌剤は殆ど効かない(3%という数字も頷けます)のは間違いないと思います。
実際に「luminalAでは腫瘍径もリンパ節転移の個数も無関係に抗癌剤によるbenefitは無い」という論文も紹介されています。
ただ、(サブタイプの考え方の無かった時代の名残として)「リンパ節転移の有無で抗癌剤の適応を決める」という考え方が未だに払拭されません。(誰も責任を取りたくないというのもあるでしょう)
その意味では「過度期」ともいえますが、そこに回答を与えるのが「OncotypeDX」となります。
どうしても疑問ならば、OncotypeDXしてみましょう。
 ♯ちょうど、質問者のようなケースで当院でOncotypeDXをしてlow riskとなりホルモン療法単独としている方も複数いらっしゃいます。
「上乗せが3%しかないのであれば、抗がん剤はしたくない」
⇒当然だと思います。
 この数字では「リンパ節転移があるから、抗癌剤はする」に説得力は全くありません。
「田澤先生はどのようにお考えになられますか?」
⇒上記コメント通りです。
 どうしても気になるならOncotypeDXすることです。