[管理番号:7770]
性別:女性
年齢:48歳
病名:
症状:
7月初旬、乳がん検診(エコー)で要精密検査になり、その後大学病院を受診。
マンモでは乳腺が濃いためはっきりわからず1ヶ月後の8月末に念の為MRIを撮ると、左胸に数カ所白い影が写り、そのうち一箇所が疑わしいとのことで9月中旬にせんし針細検になりました。
(前はしこりが感じられなかったが今は左胸に2カ所しこりが感じられる。各直径2センチぐらい?)
(疑わしい箇所がガンなら他の数ヶ所もガンの可能性あるので左胸切除とのこと。)
大学病院は予約をしてても2~3時間待ちが常で、いつも次の検査や診察の予約までけっこう日にちがあります。
針細胞検査の結果は9月末とのことで、そうこうしてるうちに悪化してしまうのではと不安です。
この分では手術までにさらに2ヶ月以上かかると思われ、夜も眠れません。
どの病院でもこのぐらいの時間はかかるのが当たり前なのでしょうか。
また、片側に複数のガンがある場合、進行度もその分倍速なのでしょうか。
もっと早く手術してくれるような病院を探した方がいいのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
時間がかかるというより…
検査の順番が滅茶苦茶です。
「乳がん検診(エコー)で要精密検査」⇒その後大学病院を受診。⇒「1ヶ月後の8月末に念の為MRI」⇒「9月中旬にせんし針細検」
★そもそも「エコーでシコリがある」わけなのだから、それが「マンモでどう映るのか?とかMRIではどうなのか?」など、全く無意味!!
正しくはその「要精査となったシコリの組織診(針生検)をする」のが、正しい流れです。
そのうえで、「乳癌の診断」となってから(拡がり診断目的で)MRIを撮影すべきです。
「どの病院でもこのぐらいの時間はかかるのが当たり前なのでしょうか。」
⇒時間というよりも…
正しい診断手順でないことの方が問題なのです。
「また、片側に複数のガンがある場合、進行度もその分倍速なのでしょうか。」
⇒全く、無関係
ご安心を。
「もっと早く手術してくれるような病院を探した方がいいのでしょうか?」
⇒「早さ」というよりは「正しい」診療をしていう病院を探すべきでしょう。
質問者様から 【質問2 】
針生検結果まち
性別:女性
年齢:48
病名:乳ガン
症状:確定診断まち
先週管理番号7770で質問させていただいた者です。
お忙しい中ご丁寧な回答をいただきありがとうございます。
(質問7770を送信後一週間以内に誤って質問7773も送信してしまい申し訳こざいませんでした。)
その後、先週針生検(エコーを見ながらバチンバチンと四回)をしてきて、現在結果待ちです。
今のところエコーで見る限り大きさは15ミリぐらいらしくリンパ転移もないので恐らくステージも1だろうとのことですが、ステージ1でも数%遠隔転移もあるとの情報を耳にすると、不安で毎日ヤキモキしてます。
そこで、不安を解消すべく先生に教えていただきたいのですが、
①左胸(針生検した箇所じゃない上部や奥の肋骨あたり)が時々針で刺されたようにズキズキ痛みます。
針生検から一週間経過してますがまだその影響で痛むのでしょうか。
(針生検前からも痛みはありましたが、針生検後はより強い痛みを感じます。)
先生のコメントを拝見すると乳房の痛みは癌の進行と無関係とのことですが、時々痛むということはおとなしい癌ではなく、活火山のように癌細胞が活発化してるということでしょうか?(乳ガン手術をした友人は、術前は張りはあったが痛みはなかったと言っていて、癌もおとなしいタイプだったと言ってました。)
②しこりは肋骨にくっついてるような奥深くに感じますが、手術の時、骨が邪魔して取りにくいってことはありますか?
また骨や脇の下に近いので、そこからリンパ転移や骨転移しやすいってことはありますか?
③7月上旬に受けた検診でひっかかり、針生検の結果がでるのは9月末です。
手術するとなるとさらに2ヶ月後の11月末のようです。
待つしかできず不安で生きた心地のしない2ヶ月間になるかと思いますが、2ヶ月先でも乳がんはそれ程進行しないのでしょうか?(1ヶ月で約1ミリ大きくなると何かで読んだ記憶が。)
サブタイプがでてないので判断が難しいかとおもいますがわかる範囲で教えて頂けたら幸いです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「その後、先週針生検(エコーを見ながらバチンバチンと四回)をして」
⇒随分、回り道をしたようでお気の毒でしたが…
ようやく診断にたどり着きそうですね。
良かったです。
「針生検から一週間経過してますがまだその影響で痛むのでしょうか。」
⇒その通り。
疑いの余地はありません。
「活火山のように癌細胞が活発化してるということでしょうか?」
⇒全く無関係(想像力強すぎ)
「手術の時、骨が邪魔して取りにくいってことはありますか?」
⇒全く無関係!
ご安心を。
「また骨や脇の下に近いので、そこからリンパ転移や骨転移しやすいってことはありますか?」
⇒骨転移は血行性転移です。(一回、血管に入ってからなので、全く無関係)
「2ヶ月先でも乳がんはそれ程進行しないのでしょうか?」
⇒それは大丈夫ですが…
初診から診断そして手術までの期間が長すぎという印象は否めません。(個人的感想)
そんなに手術まで「待ち」が長いのなら、せめて「迅速な診断」をお願いしたいところです。(この点は質問者と全く同様の感想です)
質問者様から 【質問3 今後の治療について】
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳がん
症状:胸の痛み
管理番号7770で質問させていただいた者で3回目の質問です。
いつもお忙しい中ご丁寧な回答をいただきありがとうございます。
乳がんプラザが心の支えです。
昨日針生検の結果が出て、浸潤性乳管がんと診断されました。
覚悟はしていたもののかなりショックで無気力です。
サブタイプを書きとめてきました。
ER:8(最大値)
PgB:8(最大値)
HER2:1+(陰性)
Ki67:25
大きさ:11mm
ホルモン療法は効きそうとのことですが、
骨や他臓器への転移の可能性についてはCTや骨インチがこれからの予定なのでわからないとのこと。
(今のところ可能性は低いとのこと)
今後どのような治療法を進めるのかも手術してみないとわからないとのことでした。
ステージも今のところ1だがリンパに転移してるかにもよるのでわからずです。
先生のサイトで勉強しているものの、パニックで質問させてください。
①私の癌のタイプは進行が早いタイプですか?
②手術後はホルモン療法の他、抗がん剤も併用になりそうですか?
③「乳がんは体の表面近くにできるから手術してとってしまえば予後がいい」とあるサイトに書いてありました。
私のしこりは左胸奥の骨のそばにくっついており、そういう場合は全摘後も再発しやすいとかありますか?
④オンコタイプはすべきでしょうか?
⑤下痢がひどく(水溶便)がずっと続いており、お腹が張っていておならも多くでます。
こういった症状は精神的なものでしょうか?
⑥左胸奥や左胸全体が時々ズキーンと強く痛み(けっこう広範囲で)、重いような違和感がとれません。
これからCTや骨シンチを撮りますが、胸骨に転移してる可能性はありますか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「①私の癌のタイプは進行が早いタイプですか?」
⇒「普通の(大人しい)」ルミナールタイプのようです。
「②手術後はホルモン療法の他、抗がん剤も併用になりそうですか?」
⇒「今週のコラム 197回目 乳癌の薬物療法1 >15%なら、抗がん剤をやるっきゃないね。 腹括りました。」をご一読ください。
まずは「手術標本のKi67] グレーゾーンなら「OncotypeDX」をして決まります。
「私のしこりは左胸奥の骨のそばにくっついており、そういう場合は全摘後も再発しやすいとかありますか?」
⇒無関係(前回も回答したような…)
「④オンコタイプはすべきでしょうか?」
⇒(手術標本での)Ki67の値で決めましょう。
「こういった症状は精神的なものでしょうか?」
⇒夏風邪かもしれません。
「胸骨に転移してる可能性はありますか?」
⇒全く根拠がありません(胸骨に転移しても無症状です)
質問者様から 【質問4 】
もう一つのしこり
性別:女性
年齢:48歳
病名:
症状:胸の痛み
前回、7770で質問させていただいた者です。
いつもこのサイトで勉強させていただいております。
針生検で確定診断された左胸脇奥は15ミリと言われ、胸骨にくっついてる硬い感触のしこりですが、もう一つ、近くに(乳頭左上)しこりがあります(触った感触では直径25~30ミリぐらいの横長の大きさ)。
そこも癌かもしれないとのことで、針生検はしておらず、術後の病理検査で判明するのですが、
①もしそこも癌だとすると、大きさ的にステージ1から2になりますよね。
またリンパに転移してたとすると、個数や状態次第ではステージ3a或いは3bになる可能性はありますか?
もうこの状態は早期ではないのでしょうか?
ここ2ヶ月ぐらいで急に大きくなったように感じますが、進行が早いのでしょうか。
②2箇所とも脇の下近くなので、エコーでは今のところリンパ転移はないだろうと言われてますが術前エコーで映らなくても実際リンパに転移してることはよくありますか?
それによってステージが変わるので心配です。
③リンパ転移が0~3個ならホルモン療法、4個以上なら生存率がぐんと下がるので抗がん剤もやると言われてます。
ぐんと下がるというのはだいたいどれぐらい(%)下がるのですか? できれば抗がん剤はやりたくないのですが。
④オンコタイプをやるかについては病理検査の結果で決めるよう言われてます。
2箇所調べてもらうと費用も倍額かかると言われ、通常は大きい方の1箇所で調べてもらうとのことですが、田澤先生も同じお考えでしょうか?
⑤もう一つのしこりはサブタイプがわかってませんが、もし2つの腫瘍のサブタイプが異なる場合、治療はどのように進めて行くのですか?
⑥恐らく骨などに転移はないと言われてますが、もし既に骨に隠れてる癌細胞があるとすると、骨や臓器には抗がん剤やホルモン剤では効かないのでしょうか?
根治の可能性はありますか?
⑦術前の骨シンチは任意とのことでしたが、このような状態の場合、やはりやっておいた方がいいでしょうか?
私としては、(もう一つのサブタイプがわかってないのですが)をやって転移などが見つかったら今回手術ができなくなってしまうのではと心配です。
⑧血流にのって癌は転移するとのことですが、激しい運動などは控えた方がいいのでしょうか?
お忙しいところ、たくさん質問してしまってすみませんがよろしくお願いいたします
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
個人的感想ですが…
質問者は「もしも、これだったら…」「あれだったら」という「ダッタラ症候群(私が今、命名しました)」気味のようです。(あくまでも「個人的感想」です。
「①もしそこも癌だとすると、大きさ的にステージ1から2になりますよね。」
⇒もしも癌だとしても、浸潤癌でない、もしくは「浸潤部分が小さい」ことは十分に想像できます。(メインではないわけですよね?)
「またリンパに転移してたとすると、個数や状態次第ではステージ3a或いは3bになる可能性はありますか?」
⇒?
「ダッタラ…」
どんな人でも「リンパ節転移が4個以上なら3Aになる」わけです。(あらゆる仮定をすることは控えましょう)
「進行が早いのでしょうか。」
⇒そう考える根拠がありません。
「術前エコーで映らなくても実際リンパに転移してることはよくありますか?」
⇒「よく」はありません。
「まれに」あります。
「4個以上なら生存率がぐんと下がるので抗がん剤もやると言われてます。」
⇒根拠がない!
その場合にはOncotypeDXをしましょう。(ただし、現時点で「4個以上だったら…」的ダッタラは不要です)
「通常は大きい方の1箇所で調べてもらうとのことですが、田澤先生も同じお考えでしょうか?」
⇒それが「常識」です。
「もし2つの腫瘍のサブタイプが異なる場合、治療はどのように進めて行くのですか?」
⇒同一乳管系と想定される場合には「サブタイプも当然一緒」となります。
「もし既に骨に隠れてる癌細胞があるとすると」
⇒そもそも、この「ダッタラ」に無理があります。
不要な「ダッタラ」は根絶すべきです。
「このような状態の場合、やはりやっておいた方がいいでしょうか?」
⇒早期乳癌の方に無用な被爆はすべきではありません。(当院であれば、絶対に勧めたりはしません)
「⑧血流にのって癌は転移するとのことですが、激しい運動などは控えた方がいいのでしょうか?」
⇒無関係(想像力逞しすぎ)
健康で健全な生活を心がけましょう。
質問者様から 【質問5 】
今後の治療について
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳ガン
症状:腕のしびれ
明日術前最後の診察のため、一週間を待たずに質問させていてだくことをお許しください。
いつも分かりやすく丁寧な回答をいただきありがとうございます。
今月中旬に左胸全摘手術を予定しておりますが、昨夜両腕のしびれで一睡もできず、
もしかして骨転移したのではと怯えています。
起きても両腕がだるく腕だけじゃなく全身力が入りません。
(先月ぐらいから激しい喉の渇きや下痢、不眠等も続いてます。
精神的なものかと思ってましたが。
骨が痛い箇所は今のところ骨盤だったり鎖骨だったり胸骨だったり背中だったりあちこちです。)
質問1…この症状は骨転移が考えられますか?
また先月末に確定診断で癌とわかり恐らくステージ1と言われましたが、他にもう一ヶ所怪しいところがあるとのことで、針生検はせず全摘後病理診断すればわかるとのことでした(サブタイブ不明)。
先日しこりを触ると3~4センチぐらいに大きくなっており、感じとしてステージ2Bぐらいになっちゃったかなと心配しておりましたが、一昨日そのしこりのあるところの皮膚がかゆみと赤み(直径約二センチ)をおびていることを発見。
かゆみと赤みはすぐ消えましたが、その翌日に今度は両腕のしびれが生じ、こんなに早くしかも初発で骨転移してしまったのか?と怯えてます。
質問2…この皮膚に一時的に現れた赤みは、皮膚浸潤もしくは皮下リンパ浸襲の可能性はありますか?
その場合、消えるってことはありますか?
手術まであと二週間ありますが、それまでさらに悪化しないでしょうか?
一度赤みがでたら今消えていてもステージは3Cになるのでしょうか?
質問3…明日術前検診なのですが、骨転移していたら、通常は手術はやってもらえないのでしょうか?
(やっと手術の日が近づき、やっと爆弾がとれると思ってた矢先で…。
既にCT、レントゲン はとり結果待ちです。
骨シンチは希望するなら…とこれからとる予定になってます)
質問4…田澤先生のお考えだと手術先行とのことですが、その場合どんなリスクがありますか?(私としては早くとっちゃいたいです。)
手術しない場合は、抗がん剤など緩和ケアになるのでしょうか?(針生検した箇所はルミナールタイブでした。
もう一ヶ所は不明。
もし抗がん剤が効かなかったらどうしようかと思います)
質問5…この状態だとおおよその生存率はどのぐらいですか?
また先生なら抗がん剤は何をどれぐらいの期間処方されますか?
質問6…昨夜気づいたのですが、(7802の質問にあったように)、一時的に出現した上記赤みの他に、今も左胸の5センチ下ぐらいの皮膚に三角形を描くように虫に刺されたような小さな発赤が三ヶ所程でています。
この発赤も皮膚浸潤もしくは皮下リンパ管浸襲の可能性はありますか?その場合、ステージほ3Cになりますか?またどうやって良性悪性を判別するのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
心配な気持ちは解りますが…
転移の症状ではありません。(そんな転移はありません。ご安心を)
『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を熟読して頂ければ、典型的な「ホルモン刺激症状」だということに気付くでしょう。
年齢的に不安定となっている上に、(今回の)ストレスが大きく影響しているようです。