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術後治療について

[管理番号:5997]
性別:女性
年齢:32歳
はじめまして。
術後治療について田澤先生のご意見を伺いたく存じます。
術後の病理結果より、カペシタビン (経口)6クールの術後抗がん剤を放射線及びホルモン 治療(タモキシフェンおよびGnRH) に追加して行うことを検討していると主治医から説明がありました。
院内では放射線、ホルモン治療のみという意見も出ているそうです。
初診検査結果
右胸浸潤 乳がん マンモグラフィー上50mm×20mm、エコー上40mm
ER 100%, PgR 90%, HER2 1+, Ki67 21%、グレード2
エコーおよび生検によりリンパ節転移1個確認
術前抗がん剤治療、EC4クール、ドセタキセル3クール
手術 右胸乳房 切除術および腋窩リンパ節郭清(レベルⅠより10個)
術後病理検査結果
浸潤 乳がん16mm(グレード3)および非浸潤乳がん(グレード2~3)が計35mm内にあり。
ER 95%, PgR 30%, HER2 1+, Ki67 17%
リンパ節転移 0/10個
但し、この10個中にがん細胞の死滅跡が見られなかった為、抗がん剤が効いて跡さえも残っていないのか、
転移のあったリンパ節がこの10個中に含まれていないのか判断できないと言われました。
手術前のエコーで転移箇所は見られなかった為、抗がん剤が効いて消えたとの見方が強く、放射線治療もするから問題ないと言われました。
以下、質問内容です。
1, 病理結果より術後抗がん剤治療をしたほうがよいのでしょうか。
2, 抗がん剤治療を行う場合、放射線治療の開始は抗がん剤治療後が一般的かと思いますが、私の場合もそれで問題ないでしょうか。
リンパ節転移が消えたのかはっきりとわからない為、術後から期間があいての放射線治療でいいのだろうかと不安です。
3 , エストロゲンを出さない為に、抗がん剤治療とホルモン治療を併用するほうがよいのでしょうか。
主治医は、タモキシフェンについては併用しない、GnRHについては併用可能だが、術前で行っていないので抗がん剤治療が終わってからでよいとの 見解でした。
生理は術前抗がん剤より止まっています。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず指摘しなくてはならないことはカペシタビンの術後補助療法としての使用は『適応外』だということです。
カペシタビンの添付文章を(ネットで)調べてみてください。
 『手術不能又は再発乳癌』となっています。 
 今週のコラム『今週のコラム76回目 「手術不能乳癌と転移再発乳癌」は添付文章では「手術不能又は再発乳癌」と一括りにされていることからも解るように、『手術不能乳癌と転移再発乳癌の扱いは一緒』なのです。』を是非ご参照してください。
「1, 病理結果より術後抗がん剤治療をしたほうがよいのでしょうか。」
⇒問題外です。
 そもそもカペシタビンを術後補助療法で用いるのは、明確な「適応外」治療です。
 ♯おそらく担当医は「臨床試験で術後のカペシタビンが有効というデータがあるから」というつもりだとは思いますが、(現時点で)「適応の通っていない使い方」をすることは決して許されることではないのです。
 
「術前術後に行う抗癌剤(これを補助療法といいます)は、「アンスラサイクリンまたはタキサン」と決まっています。
 もしもどうしても抗癌剤を使いたければ「UFT(唯一、適応外治療ではありません)」となりますが、それは(適応外ではないが)「ガイドラインで推奨される治療法でもない」のです。
「2, 抗がん剤治療を行う場合、放射線治療の開始は抗がん剤治療後が一般的かと思いますが、私の場合もそれで問題ないでしょうか。」
「エストロゲンを出さない為に、抗がん剤治療とホルモン治療を併用するほうがよいのでしょうか。」

⇒カペシタビンを使用すべきではありません。(薬剤の添付文章上の「適応」は法律なのです。 医師や患者さん側が、それをしかも「国からの保健料」を使って行うことは許されることではないし、有害事象が起こっても何も保証されないと考えてください)