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授乳中の治療について

[管理番号:5118]
性別:女性
年齢:34歳
初めまして。
乳がんの不安が出てからはいつもこのサイトを参考にさせていただいております。
たくさんの情報を載せていただき、ありがとうございます。
早速ですが、経緯から書かせていただきます。
5月下旬頃(妊娠後期) 出産に向けて、母乳マッサージをしたところ右胸から茶色い分泌液。
絞ると必ず出る。
数日間様子を見たがおさまらないので、産婦人科に相談。
「妊娠・授乳期はよくあることなので、産後まで様子をみましょう」とのこと。
6月上旬 出産
6月中旬 血乳は産後1週間ほど続いたが(茶色の分泌液が終わると赤に近い色になった)、ほとんど白い乳汁になった為、やはり授乳期のものとして気にしなくなった。
6月下旬 普通通り授乳を続けていたが、赤ちゃんが飲み終えてからしぼるとやはり血乳が混ざっていることに気付き、しこりらしい物もあり気になった為母乳マッサージへ。
「確かにしこりはあるが、マッサージするとゆるむ感じがあるので、悪いものではないと思う。
どうしても気になるなら乳腺科でエコーしてもらったら」とのこと。
やはり気になったので乳腺科のあるクリニックへ。
分泌液(血乳は出なかった為乳汁)の組織診とエコー検査。
エコーの結果から、「きちんと調べた方が良いので、マンモグラフィと針生検をしましょう。
針生検はここでは出来ないので、転院です。
自分は大学病院から来ているので、
そこで問題なければそこでやりましょう」とのこと。
その場でマンモグラフィ検査をし、画像には少しの石灰化が写っていました。
7月初め 大学病院にて超音波下マンモトームを実施、(中旬)日に結果を聞きに行く予定です。
なお、分泌液の組織診は何も問題なしでした。
長々とすみませんでした。
そこで質問なのですが
① マンモトーム生検前に、エコーとマンモグラフィの結果ではどういう診立てか聞いたところ、「8割方ガンだと思う。
ただし、非浸潤型の超初期のものなので、取っちゃえば治る」と言われたのですが、画像だけで、非浸潤かどうかまでわかるものでしょうか?(担当医師は乳癌専門医です)ちなみに、エコーだけでほぼガンだと思っているようでした。
以下の質問は、非浸潤型だったと仮定した場合です。
② まだまだ子供が小さいので、出来るだけ授乳を続けたいと思っています。
12月頃(生後半年)まで手術を延ばすリスクはどのくらいでしょうか?また、9月頃ではどうでしょうか?
③ 術後の放射線治療で通院するのが難しい為(上に3歳、1歳の子供もいます)、全摘を選ぶつもりでおります。
早く通常の生活を送れるようになる為に、出来るだけ入院日数も短く、痛みもなるべく早く収まるのが望ましいので、田澤先生にお願いしたいとも考えておりますが、(中旬)日以降に転院となった場合は手術はいつ頃になりそうでしょうか?
お忙しい中、大変恐縮ですが、ご回答いただけますと嬉しく思います。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「画像だけで、非浸潤かどうかまでわかるものでしょうか?」
⇒勿論100%では無い筈です。
 少なくとも(微小転移があるかもしれないが)「大部分は非浸潤癌かな?」と言う程度の判断はできます。
「12月頃(生後半年)まで手術を延ばすリスクはどのくらいでしょうか?また、9月頃ではどうでしょうか? 」
⇒問題は(現時点で非浸潤癌だとして)浸潤癌となるリスクです。
 12月は全く勧めません。
 9月なら許容範囲と言えます。
「出来るだけ入院日数も短く、痛みもなるべく早く収まるのが望ましいので、田澤先生にお願いしたいとも考えておりますが、(中旬)日以降に転院となった場合は手術はいつ頃になりそうでしょうか?」
⇒先の予測をすることは容易ではありませんが…
 (枠拡大のおかげで)現時点で8月中だから、9月前半までには大丈夫かもしれません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

トリプルポジティブ 今後の治療について
性別:女性
年齢:34歳
田澤先生、お世話になります。
ご回答ありがとうございました。
先生に相談が出来てとても心強いです。
組織診の結果を聞いてきました。
非浸潤癌ではなく、浸潤癌でした。
ショックが大きいですが、しっかり向き合って治療しようと思います。
【診断名】
Invasive carcinoma NST with Invasive micropapillary carcinoma component
【所見】
みぎ乳房針生検検体:23㎜長まで4本。
4本中全ての検体に癌病変が認められる。
腫瘍は中等度に腫大した類円形核と好酸性の細胞質を持ち、乳管内を充実乳頭状に増殖し、面疱壊死を伴っている。
周囲には、小型胞巣状の腫瘍細胞が部分的に粘液を伴って拡張したリンパ管内を進展している。
WHO grade2
Tubule and gland formation:score3
Nuclear pleomorphism :score 2
Mitotic counts: score 1
Immunohistochemical findings:Luminal B HER2+ ER 3+(>90%)、PgR 3+
(20-30%)、HER2 score 3、CK5/6 -、
EMA(+)
Ki-67 labeling index 20%(hot spot)
背景乳腺には授乳期変化が顕著に見られる。
上記診断とするが、授乳の装飾が加わっているため、組織型の最終確定は難しい。
————————————–
授乳中ということもあって癌の全体像がまだわからないという理由から、MRI、骨シンチの検査予約をして帰ってきました。
(CTはその場で撮りました)
そこで質問なのですが
①所見にある「拡張したリンパ管内を進展している」というのはどういう意味でしょうか?既にリンパに転移しているという意味でしょうか?
②MRIと骨シンチは、浸潤癌であったのと、浸潤部分の大きさがよくわからないという事で、必要な検査ということで問題ないでしょうか?
③主治医からは、トリプルポジティブなので、治療はフルコースで出来る。
するかしないかは最終的には本人で判断。
悪性度は普通。
手術が先でも化学療法が先でも、最終的な効果は変わらない、どちらにしても乳管内を長く増殖しているので全摘。
と言われました。
with Invasive micropapillary carcinomaというのが気になってはいますが、田澤先生の他の方への回答を読ませていただいて、手術後に化学療法(手術まで期間が空く場合は先に化学療法開始)とホルモン療法と考えているのですが、それで良いと思われますか?
子供3人がとにかく小さく、まだまだ死ぬわけにはいきません。
治療の辛さは耐えて、少しでも予後をよくしたいです。
田澤先生でしたら、どのような治療方針を立てられますか?
④今の病院だと、自宅からのアクセスが悪く通院が難しいので、転院を
考えていますが、例えば田澤先生に手術をお願いして、その他の化学療法、ホルモン療法、放射線治療等は自宅近くの病院で、というのは可能でしょうか?(とても図々しい相談だというのは承知しております
が・・)
⑤(手術直前まで)授乳を続けて問題ないでしょうか?また、術後も化学療法を開始するまでは健側で授乳は出来ますでしょうか?
度々の質問ですみません。
お忙しい中で大変恐縮ですが、ご回答いただけますと嬉しく思います。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①所見にある「拡張したリンパ管内を進展している」というのはどういう意味でしょうか?既にリンパに転移しているという意味でしょうか?」
⇒リンパ管侵襲(所謂ly)のようです。
 リンパ節転移のことではありません。
「②MRIと骨シンチは、浸潤癌であったのと、浸潤部分の大きさがよくわからないという事で、必要な検査ということで問題ないでしょうか?」
⇒骨シンチは全く不要(34歳で、安易に勧めるべきではありません)
 MRIは術式判断のためには必要(ただし前回のメール内容より、全摘を最初からかんがえているのであれば不要)です。
「手術後に化学療法(手術まで期間が空く場合は先に化学療法開始)とホルモン療法と考えている」「田澤先生でしたら、どのような治療方針を立てられますか?」
⇒それでいいと思います。
 病理レポートからは「乳管内癌=非浸潤癌」が主体のように見えるので、サブタイプも術後にきちんと全体で評価した方が良さそうです。
「その他の化学療法、ホルモン療法、放射線治療等は自宅近くの病院で、というのは可能でしょうか?」
⇒このような質問が非常に多いので…
 『今週のコラム67回目 「術前や術後に、一体何回くらい外来受診が必要なの?」』に記載しています。
 QandAも今週のコラムも、これだけのvolumeとなると読み切れないのは仕方がないことですね?
 地元に紹介することは「極めて自然」なことです。
「⑤(手術直前まで)授乳を続けて問題ないでしょうか?また、術後も化学療法を開始するまでは健側で授乳は出来ますでしょうか?」
⇒全く問題ありません。