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今後の治療方針に関して

[管理番号:5857]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、
初めてQ&Aに投稿致します。
45歳閉経前女性の夫です。
妻は文章作成が
得意な方ではないので
私が投稿いたしております。
過去の事例を色々読み世間の乳がん事情や田澤先生のお考え(方向性)
がよく理解できてきたと同時に、お忙しい中このようなQ&Aやコラムを
展開されていることに感銘を受けております。
今までのQ&Aでも同様な事が書かれており重なってしまう部分も多いのは重々承知しておりますが、やはり自分達の事となるとピンポイントでお聞きしたくなります。
以下に経緯(結果)と質問(ご相談)を纏めました。
ご返信いただければ幸いです。
<経緯(結果)>
2017/04: 右胸のしこりが気になり人間ドックにて超音波で再検査。
「両方ともしこりが認められたが医師は右より左の方が気になる。
気になるようなら基本半年後で良いが健診を受けるといい。」という状況で様子見。
2017/06: 白内障で特殊なレンズを入れるため1泊2日で手術。
術後は良好。
2017/09: 子宮分娩にて2泊3日で手術。
術後は良好。
(腫瘍も良性)
     今年嫌な事が立て続けに起こったので心理的に不安になり直
後9月に現在かかっている病院で検査開始、10/(中旬)に「Stage1か2の乳がん、3cmの腫瘍、リンパ節への転移はなさそう。」と告知された。
2017/10/(下旬):
●術前病理検査結果
(組織診断)Invasive ductal carcinoma (scirrhous) of the left breast,with
fat infiltration needle biopsy.
(所見)CNB3本 いずれにもCarcinoma(+), Scirrhous
carcinoma, f(+),NA:2 MC:2 -> NG:2, in situ(+), 少量,
Solid type
(結果)ER+ 50%以上, PgR- 1~10%未満, HER2 0, Ki67 10<<30%
(intermediate)
この当時は夫婦共々まだまだ不勉強で、主治医が言っている説明は早すぎて良く分かりませんでした。
郭清に関する条件のコンセンサスも(したかどうかを含めて)よく覚えてません。
画像から主治医は「リンパ節への転移はないと思うが、他の何人かの医師(画像診断士?)の中には、これは転移ではないか、という人達もいた。」との事でした。
「遠隔転移はないので手術可能、全摘を勧めます。
ルミナルBなので、
化学療法は勧められるが最終的には患者の判断に任せます。
乳りん&乳頭は温存できる可能性はあります。」とのコメントに私は遠隔転移なしにホッとしましたが妻は抗がん剤の不安に落ち込んで病院から一緒に帰って来たのをよく覚えています。
2017/11/(中旬): 左乳房全摘手術、広背筋皮弁法による一次再建。
摘出後、執刀医(=40歳前後の女性医師で主治医)が待機部屋にて摘出患部を私に見せてくれて、確かに3cm位の癌を見ました。
また、「センチネルリンパ節への転移は2mmと15mmの2つがあったので、15mmという大きさを鑑み、微小転移ではないので追加郭清を行った。
乳輪および乳頭は
浸潤を認めたので切除。」との報告でした。
当日はICUにて経過観察。
翌日から一般病棟にて入院。
2017/11/(下旬): 退院。
(下旬)までに何回か主治医の回診がありましたが、
その時から妻に言っていたのは、「リンパにびまん性に広がっているので抗がん剤を強く勧める。
私は1%でも上乗せ効果があれば抗がん剤を行うべきという考えです。」とのことで、妻からそのことを聞いて、感覚的には抗がん剤推進派なのかなぁと私は思いました(病理結果も出ていないのに)。
術後ドレインは2週間ぎりぎりまで抜かなかったので11/(下旬)に退院。
その後注射で2回抜いています。
(形成は田澤先生の専門ではありませんが、一応結果を書きます。
本人は痩せ型のため脂肪が少なく、結果には多少不満、また傷跡に関しても気持ち的にへこんでますが、私は思ったより傷も綺麗と感じてます。
ただこれには男女の感覚の差が大きくありますね。
形成の執刀医曰くは「胸のバランスは痩せ型にしては上出来です。」とのことでした。)
2017/11/(中旬):術後病理検査結果
●術後病理検査結果
(診断)Invasive dutal carcinoma of the left breast, nipple sparing
mastectomy:scirrhous carcinoma, 約
40x32x18mm(非浸潤部を含め:約50x32x24mm),f, ly(+), v (-), ew(-), LN(2/14)
(所見)左乳房全摘(Nipple Sparing Mastectomy)検体:
14x10x2.8cm 大。
(乳頭は追加切除)
肉眼的に、25x16x10mm 大の境界不明瞭な灰白色充実性腫瘍を認める。
組織学的に、大小不同を示しつつ高度に腫大する核と好酸性細胞質を持つN/C比の高い異型細胞が、腺房様構造や索状配列、あるいは一部不明瞭な腺腔様構造を形成して増殖、浸潤する。
周囲に線維化を伴って間質および脂肪組織へ浸潤する。
細胞分裂像が目立ち、apoptotic bodyが散見される。
浸潤性乳管癌、硬癌の所見である。
病巣辺縁では拡張した乳管内に進展癌細胞を認める。
明瞭な断端陽性像は認められないが、断端近傍の乳管内まで癌が認められる。
リンパ管侵襲が目立つ。
明らかな静脈侵襲は認めない。
リンパ節転移が認められる。
センチネル 2/5, level I+II 0/9 NA:2 MC:3 -> NG:3
(診断)No carcinoma found in the specimen, resection
(所見)左乳房・乳頭乳輪切除検体(32x25x11mm)
    組織学的には乳癌の浸潤は見られない。
乳管内病変なし。
   (迅速診断の断端部には癌の乳管内成分が認められる。)
※ちなみにこの所見は、説明はされませんでした。
カルテ開示を依頼
し、後日入手したカルテに書かれており、私も妻も説明がこの日になかったのは残念でした・・・
●主治医とのやりとりで回答していただいた事項
・占拠部位:左乳房Eの左でCとDの間(Eの真左という感じ)
・ER:70~80%, PgR:10~15%, HER2 2+(約2週間後に遺伝子検査でFISHの結果が分かる),Ki67:20~30%
・センチネル転移の結果:2mm, 20mm(びまん性に広がる20x17x6mm)
・ステージ:T2, pN1a による IIB
・レジメン:ECx4(3ヶ月)→ドタキセルx4(3ヶ月)→HER2陽性であればハーセプチン(9ヶ月)→放射線(30回)
 ドタキセル終了1ヶ月後にタモキシフェン(1日1回内服 10年間)
・「ルミナルBの場合の上乗せ効果は40~45%」と言われたので、
「え? そんなに高いのですか?」と聞いたら、その場でスマホでソフトを立ち上げ調べてくれました。
HER2陰性の場合は、「5年後再発率に対して約3%、10年後再発率に対して約7.5%」とスマホを見せてくれました。
(これは私の所感ですが、あれ、意外と低いわね、という医師の表情でした。)
<質問(ご相談)>
①抗がん剤を強く勧める理由が「センチネルにびまん性に広がる転移があること」「45歳で子供が15歳と10歳で小さい」等ということです。
浸潤径やMC3, NG3も考えると田澤先生も抗がん剤をこの時点で勧めますか?(確かにMC3やNG3を鑑みるとKi67の値が低い気がしますが、グレードはやはり参考程度、でしょうか?)
②ガイドラインに沿った治療をモットーとした病院なので、ki67が ">20" の場合は高値とみなし抗がん剤を強く勧めるということですので、費用もわかってOncoを希望したところ、「Oncotype DX も可能ですが、それでもグレーゾーンになることもありますよ。」と言われました。
「私としては重々承知しており、ハイリスクとなれば納得して抗がん剤、ローリスクならルミナルAなのでは? また中間リスクならその時に抗がん剤は考える。
TCのみという選択もあるかもしれないし。」と返し、「Orderするなら2週間かかりますので早めに言ってください。」と言われました。
(ただHer2の結果もまだ出てないので、Her2結果待ちとしています。)田澤先生であれば Onco 勧めますか?
③Oncotype DX は、「閉経前かつリンパ節転移あり」でも今は検査の対象となりますよね?(有名な病院の先生へのインタビュー記事では対象者が「閉経後」だったので)
④仮にFISHでHER2陽性でもOncotype DXをやる価値はあるでしょうか?(HER2陰性となることを期待して)それともFISHでの結果が陽性であればそれは確実で、「予後の評価と化学療法の効果予測」の為の検査としかなり得ないでしょうか? FISH陽性であれば田澤先生はOncoをする必要はない、とお考えでしょうか?
⑤レジメンは田澤先生も同じでしょうか? TC(3ヶ月)のみの選択は
ないでしょうか?(下の子がまだ10歳なので6ヶ月は長いという不安もあります。
提示された6ヶ月のほうがTC(3ヶ月)のみより奏効率がかなり上がるのでしょうか?
⑥もう結果論ですが、迅速診断で浸潤が認められ乳頭乳輪を切除したが病理検査結果で浸潤は見られない、ということは普通にあるのでしょうか?(説明はされませんでしたが..)
また田澤先生はセンチネルは1個しか取らないお考えと思いますが、今回の2/5のうちの一つが15mmで追加郭清は一気にレベルIIまで行うものなのでしょうか?
以上、長くなり申し訳ありません。
(下旬)(〇)以降に遺伝子検査の結果が
出ますので、再度ご相談させていただくかもしれませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問内容は理解しました。
論理的な内容で、よく整理されている様に感じます。
ただ、私はその主治医とは考え方が基本的に異なっているので板挟みにならないことを願います。(私がその医師の方針に歩み寄ることはありません)
質問者も感じていることと思いますが、
半年後に3cmの腫瘍であれば、当然4月の時点で診断が為されるべきであり、「右より左の方が気になる。気になるようなら基本半年後で良い」という診療をとても残念に思います。
最近(そのような不運にあたってしまった)患者さんを「立てつづけに」診療しているので、(個人的に)不愉快に思っています。(憤っていると表現しても構いません)
「私は1%でも上乗せ効果があれば抗がん剤を行うべきという考え」
⇒これは正しいと思いますか??
 一見正しい様に感じるのかもしれませんが…
 このコメントは実は「一人一人のケースで本当に抗癌剤が必要なのか、主治医として検討」することを放棄しているのです。
 ☆要約すれば(必要かどうか解らないけど)「癌には抗癌剤が効くかもしれないから、とりあえずやってね」と言っているようなものです。
 1%に効果があるということは、(抗癌剤を行った)残り99人には「無駄な抗癌剤」を投与すると言う事です。(無駄な抗癌剤とは、「経済的」にも「身体的」にも「社会的」にも不利益を被るのです)
 そんな「無駄な医療」をしていたら、「医療財政の圧迫」⇒(本当に必要な人達への)「医療費が不足」となります。
  CTだの骨シンチも無駄な(被爆だけでなく)「医療費の圧迫」ともなるのです。
「①抗がん剤を強く勧める理由が「センチネルにびまん性に広がる転移があること」
「45歳で子供が15歳と10歳で小さい」等ということです。」

⇒どちらも(抗癌剤を勧める)根拠にはなりません。
「浸潤径やMC3, NG3も考えると田澤先生も抗がん剤をこの時点で勧めますか?」
⇒勧めません。
 Ki67=20~30%は(実際には)ルミナールAの確率が高いですが、(今週のコラム101回目のグラフを参照のこと)グレーゾーンなのでOncotypeDXを勧めます。
今週のコラム 101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
「グレードはやはり参考程度、でしょうか?)」
⇒その通りです。
「②ガイドラインに沿った治療をモットーとした病院なので、ki67が">20" の場合は高値とみなし抗がん剤を強く勧める」
⇒私から言わせれば…
 「ガイドラインに沿った」とありますが、「グレーゾーンで抗癌剤を勧める」とはガイドラインにはありません。
「田澤先生であれば Onco 勧めますか?」
⇒その通りです。
 「Oncotype DX も可能ですが、それでもグレーゾーンになることもありますよ」と
いうように言う医師は(沢山いますが)「OncotypeDXについて勉強不足」と思います。
 (ハイリスクとなれば納得して抗がん剤、ローリスクならルミナルAなのでは? 
また中間リスクならその時に抗がん剤は考える。という)「質問者の考え」でいいのです。
「Oncotype DX は、「閉経前かつリンパ節転移あり」でも今は検査の対象となりますよね?」
⇒勿論です。
「(有名な病院の先生へのインタビュー記事では対象者が「閉経後」だったので)」
⇒有名な病院?
 OncotypeDXは、(そのインタビューの後も)検証を重ねて「より信頼できるデータ」となっています。
 因みに私はOncotypeDXの回し者ではありません(笑) 
 ただ、世界的にガイドラインに組み込まれてきている事実は受け止めなくてはいけません。(日本では保険適応ではないからといっても軽視するのは止めましょう。
Luminalを事実上分けるには妥当なのです)
「仮にFISHでHER2陽性でもOncotype DXをやる価値はあるでしょうか?(HER2陰性となることを期待して)」
⇒HERが陽性であれば、(そもそも)無駄な検査となってしまいます。(レポートされる)再発率の数字が全く無意味となります。
 強いて言えば「HER2遺伝子の(増幅でなく)発現」を確認できるという意味だけとなります。
「それともFISHでの結果が陽性であればそれは確実で、「予後の評価と化学療法の効果予測」の為の検査としかなり得ないでしょうか?」
⇒その通りです。
「 FISH陽性であれば田澤先生はOncoをする必要はない、とお考えでしょうか?」
⇒その通りです。
「⑤レジメンは田澤先生も同じでしょうか? TC(3ヶ月)のみの選択はないでしょうか?」
⇒(もしも化学療法するなら)TCとなります。
「提示された6ヶ月のほうがTC(3ヶ月)のみより奏効率がかなり上がるのでしょうか?」
⇒殆ど変わらないでしょう(直接比較はありません)
「⑥もう結果論ですが、迅速診断で浸潤が認められ乳頭乳輪を切除したが病理検査結果で浸潤は見られない、ということは普通にあるのでしょうか?(説明はされませんでしたが..)」
⇒病理は「見ているものしか判断できない」ので「反対側」は解らないのです。(結果的にマージンをつけたということになります)
「また田澤先生はセンチネルは1個しか取らないお考えと思いますが、今回の2/5のうちの一つが15mmで追加郭清は一気にレベルIIまで行うものなのでしょうか?」
⇒それが(郭清する場合の)標準術式となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
こんにちは。
田澤先生。
先週は早速ご回答いただき誠にありがとうございます。
感謝いたします。
その後の経過がありますので、ご報告と質問(ご相談)がございます。
「私はその主治医とは考え方が基本的に異なっているので板挟みにならないことを願います。」
⇒先生の予想通り板挟みになりかけています。
(笑)冷静にシンプルに考えるようにします。
<経過>
・HER2は増幅比1.81(264/146)で陰性でした。
・Oncotype DX を本日の診察でオーダーします。
(USに検体が行く
ので3週間程して結果がわかる)
・この土日で自分でUSの文献を色々と読みあさり、10年前と今とで随分考えが変わってきている
 のがわかりました。
日進月歩ですね。
(田澤先生の考えに近い気がしました。感想です。)
・adjuvant online にもアクセスし、PREDICTのV1.2とV2.0で生存率やChemoの上乗せ効果が
 随分変わってきていること(Overtreatmentを避けることを示唆する値になってきている)
 ことがわかりました。
・Heterogenityと呼ばれる細胞分裂が起こり新たながん細胞が生まれる、という考えもみました。
<質問(ご相談)>
①Ki67が明らかな高値であれば抗がん剤を1月から始めるのですが、今回Intermediateであるため、
 Oncotype DXを行うわけで、その間に約1ヶ月時間があります。
もうRSが高値となり
 結局抗がん剤をやるとしたら11月中旬の全摘手術から3ヶ月が経ってしまいますが、術後2ヶ月
 と3ヶ月では特にリスクに差があると考えなくて大丈夫でしょうか?
 逆に、術後何ヶ月
 くらいまでには遅くともStartしたほうが良い、というお考えはありますか?
②Oncotype DX の結果が出る前に時間があるので、(例え抗がん剤をやることになったとしても)
 放射線を先に行っておく、という選択肢はありますか? 時間を無駄にしたくないので。
③そもそもレベルIIまで郭清してリンパ節転移がセンチネルに2個しかなかったわけですが、
 放射線の適応となるのでしょうか?
④PREDICTにおいて
 1.Mode of Detection の Screen-detected と Symptomatic の違いは何でしょうか?
  妻の場合、Screen-detected選択で良いですか?
 2.Tumour Size は腫瘍径(30mm) であって浸潤径(約40x32x18mmの40mm)でない、という理解
  で合ってますでしょうか?
 3.Tumour Grade に関してですが、妻はNuclear Grade3ですが、Tumour Gradeも3で入力、と
  なりますか?(NPIはカルテには書いておりませんので、NPIだと総合7点になる可能性も
  ありますか?)
 4.Ki67がPositive, Negative, Unknown になってますが、UnknownがいわゆるIntermediateに
  相当しますか?
 5.Ki67より、Tumour Size や Tumour Grade で抗がん剤上乗せ効果がより大きく変わるのですが、
  「抗がん剤ははSizeやGradeで判断するよりKi67やRS値で判断すべき」ということはどう解釈すれ  ばよいのかアドバイスください。
あくまでも、PREDICT上の棒グラフの見かけでの解釈、
  となりますか?
 6.10年生存率のPredictionは見つけたのですが、10年再発率のURLを差し支えなければ教えてください。
⑤Oncotype DX に関して
 1.Heterogenityという考え方からして、たまたま分裂度の低い部分で数値が出て低いRS値になる
  ということはあり得ますかね?
 2.現在、以下のように考えを持つようになりました。
  RS<18: No Chemo
RS19 – 25: No Chemo
RS26 – 30: TC
RS>31: TC
LowとIntermediateで大きな差が無い(リスク低)こともわかっているのですが、Intermediate
  の中にも幅があると思い、リスク高に近いIntermediateではTCを頑張って行うべきかと・・・
  この考えに対する田澤先生のアドバイスいただけますでしょうか?
毎日毎日色んなことを考え仕事もなかなか手につかない状況ですが、1年後にはすっきりしてるはず!
と思うようにしています。
お忙しい中先生がQ&Aやコラムまでされている姿を鏡として自分にも気合を入れています。
ありがとうございます。
回答をお待ちしております。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
内容は理解しました。
ただ私自身はpredictは使っていませんので、そちらの回答は上手くできないかもしれません。
私が用いているNewAdjuvant.comではルミナールタイプをAとBで分けていない(グレードだけが手掛かりとなりますが、実際は相関しません)ので、そのようなソフトで「化学療法による上乗せ」を予想するのは不可能です。
実際はルミナールA(OncotypeDXでlow risk相当)とルミナールB(high risk相当)では「全く異なる」からです。
♯おそらく、質問者は良く勉強されているので上記の内容も御存知だとは思いましたが念のため。
「術後2ヶ月 と3ヶ月では特にリスクに差があると考えなくて大丈夫でしょうか?」
⇒大丈夫です。
 実際にOncotypeDXすれば、必然的にその位となります。
 考え方としては、「ルミナールタイプ」はあくまでもホルモン療法が中心なのだから、(もしもBとして抗癌剤をすべきだとしても)「急ぐ必要までは無い」
 ♯トリプルネガティブやHER2タイプは(最初から)「抗癌剤が必須」だから、敢えて「3カ月以上」空ける必然性が無い⇒遅くとも「3カ月以内に開始しましょう」 そういうことです。
「 逆に、術後何ヶ月 くらいまでには遅くともStartしたほうが良い、というお考えはありますか?」
⇒ありません。
 前述したように…
 何かの理由(子供の受験とか、仕事の関係)で開始時期が遅れるのであれば「ホルモン療法や(温存などで「どうせやる」なら)放射線照射」を先行させておけばいいだけです。
 
「やることになったとしても) 放射線を先に行っておく、という選択肢はありますか? 時間を無駄にしたくないので。」
⇒その通りです。(上記)
「③そもそもレベルIIまで郭清してリンパ節転移がセンチネルに2個しかなかったわけですが、 放射線の適応となるのでしょうか?」
⇒4個以上(推奨度A)でいいでしょう。
「④PREDICTにおいて  1.Mode of Detection の Screen-detected と Symptomatic の違いは何でしょうか?」
⇒(たまたま)「検査して診て見つかった」のと「(シコリを触れるなど)所見がある」という表現です。
「妻の場合、Screen-detected選択で良いですか?」
⇒リンパ節に関しては…
 その通りだと思います。(検査するまでは解らなかったわけですから)
「 2.Tumour Size は腫瘍径(30mm) であって浸潤径(約40x32x18mmの40mm)でない、という理解  で合ってますでしょうか?」
⇒これは浸潤径だと理解しています。
「 3.Tumour Grade に関してですが、妻はNuclear Grade3ですが、Tumour Gradeも3で入力、と  なりますか?」
⇒その通りです。
「4.Ki67がPositive, Negative, Unknown になってますが、UnknownがいわゆるIntermediateに  相当しますか?」
⇒Unknownは「調べていない場合」に相当するでしょう。
 ただ、indeterminateは「positiveにもnegativeにも入れられない」という意味ではunkownに入れるしかないでしょう(PREDICTを使っていないので、予想ですが)
「 5.Ki67より、Tumour Size や Tumour Grade で抗がん剤上乗せ効果がより大きく変わるのですが、  「抗がん剤ははSizeやGradeで判断するよりKi67やRS値で判断すべき」ということはどう解釈すれ  ばよいのかアドバイスください。」
⇒これは当然の疑問と感じます。
 全く「異なった」アプローチといえます。
 OncotypeDXは「遺伝子的に」ルミナールAとBに正確にわけて、(それに応じた治療をすることが)「ステージを参考にした治療方針の決定よりも優れている」という、ある意味「当たり前なこと」とも言えます。
「10年再発率のURLを差し支えなければ教えてください。」
⇒NewAdjuvant.comであれば「10年再発率」が出ます。
 ただし、こと「ルミナールタイプ」に関しては、(AなのかBなのかで全く異なるので)「それを区別をしていない,この方法」では参考にはならない。ことにご注意ください。
 その意味で(AなのかBなのかで全く異なる結果となる)ルミナールタイプでは(それを区別するアプローチである)OncotypeDXを使うべきなのです。(結果に「5年再発率」や「化学療法による上乗せ」がレポートされています。)
「⑤Oncotype DX に関して 1.Heterogenityという考え方からして、たまたま分裂度の低い部分で数値が出て低いRS値になる  ということはあり得ますかね?」
⇒(21もの遺伝子発現でみているので)ほぼ無いでしょう。
「 2.現在、以下のように考えを持つようになりました。  RS<18: No Chemo  RS19 – 25: No Chemo  RS26 – 30: TC  RS>31: TC 」「この考えに対する田澤先生のアドバイスいただけますでしょうか?」
⇒いいと思いますよ。(実際に出てくる「上乗せ」の値も参考に決めましょう)
 
 

 

質問者様から 【質問3 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
※「全てのQに回答するものではありません」の群に入っているのかもしれませんが、
先週の火曜日の夕方に投稿したので、もしかしたら届いていない(送信ミス)のかと思い、
再度Q致します。
もし、2回目の同じ質問になっていたらご容赦ください。
こんにちは。
田澤先生。
元日からお疲れ様です。
頭が下がります。
前回の質問、ご相談から21日間が経ち、新たな質問、ご相談があります。
お忙しいところすみませんが、ご回答いただけると幸いです。
<その後の経過と1つ質問>
・Oncotype DX の結果が1月中旬に出ます。
それまでに時間があるので、サードオピニオン (田澤先生のQ&Aをセカンドと考えておりますので)を(関東)の大学病院(S大学)に妻と 一緒に聞きに行きました。
(敢えて大学病院に。)ちなみにそのT先生のご意見は
 「『浸潤径が大きい、Grade3という悪性度の高さ、リンパ管侵襲が目立つ』という
 ことから主治医((関東)のS病院)のレジメン(EC+TCの6ヶ月)にAgree」ということでした。
 それはそれでサードオピニオンとして聞いておきます。
ただ、
「Oncotype DXは勧めますよ」
 というご意見で、その結果に応じては、私が前回このQ&Aに記載した、
  RS<18: No Chemo
RS19 – 25: No Chemo
RS26 – 30: TC
RS>31: TC
 という考えにも(TCのみという違いはあるものの)概ね同意見を頂きました。
・先日主治医から妻に電話連絡があり、そのサードオピニオンのT先生からの意見書に
 「アベマシクリブ」の臨床試験に参加しませんか? と書いてあったのでご主人と相談して下さい、とのことでした。
・現在かかっている病院では先行してタモキシフェンを処方してもらい服用しています。
放射線治療も開始し、30回なので2月下旬までかかります。
ちなみに、Oncoの結果
 High Riskとなった場合、放射線を途中でやめて化学療法を先に始めた方が良いでしょうか?
 併用は推奨グレードCですよね?
11月の田澤先生のコラムに「パルボシクリブ」の事が載っていたので以下質問とご相談です。
アベマシクリブに関しては日本での新薬承認を得ていないということを分かった上でのQ&Aになります。
先生の知識(お考え)とご経験からご意見をいただければ幸いです。
今後羅漢されるであろう患者さんへの情報提供貢献の事も鑑みつつ、勿論、主治医からは妻の利益、不利益に関して、また臨床試験の方法等に関しても具体的に説明して頂くつもりです。
<質問(ご相談)>
①文献を読んで見ると、妻の場合対象としてMonarchEの試験になりそうですが、その場合
 Oncotype DX でRS<18、もっと言うとRS<=11(「Nitz, et al. Breast Cancer Research
 and Treatment 2017: DOI 10.1007/s10549-017-4358-6」で読みました)という Low Risk でも
 アベマシクリブを試す価値はありますか? (妻が抗がん剤を避けたい大きな理由の一つに
 Hair Loss によるQOLの低下、があります。
また、妻は便秘が酷く、毎日漢方のお茶を飲んで ますが、それでも下痢はしません。)
②臨床試験なので、Fifty – Fifty ということだと思いますが、Oncotype DX で上記私がTC治療の
 閾値と考えているRS>=26と出た場合でも、50%の確率で「アベマシクリブ服用なし、かつTC療法も無し、
 つまりホルモン療法単独(放射線治療は別として)」ということになってしまうのでしょうか?
 それとも、「アベマシクリブを結果として服用しているしていないに関わらず、TC療法は併用
 していただける」臨床実験と考えられるのでしょうか?(主治医にはOncoの結果が出た際に
 確認は致しますが、田澤先生のお考えを伺いたいです)
③もしRS>=26なのにホルモン療法単独、と気がついた(感じた)時には臨床試験を止めてTC療法に
 切り替えても病状的に遅くないでしょうか?(止める権利はあるので良いのですが、タイミング的に
 TC開始が遅くなるのが心配です。)
④この臨床試験の案内に関して、どう思われますか? その場で言われずに意見書に書いて
 あり、主治医を通して突然言われたということで困惑しております。
(大学病院では当たり前
 の事かもしれませんが・・)
⑤この臨床試験に参加するか否かを、(そもそも数値では無理かもしれませんが、気持ちとか
 精神的にとかは抜きにして数値で判断するとしたら)RS値で判断するしか私には考えが浮かばない
 のですが、アドバイス頂けますでしょうか。
あまりQ&Aとしては他の方には役立たない質問かもしれませんが、
Oncotype DX の結果が
出る前の参加案内ということ、また主治医が Oncotype DX に前向きとは言えなかった現状があり、
田澤先生のご回答・アドバイスをいただければ大変助かります。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
アベマシクリブについては情報が少ないのでメーカー担当者に直に会って話したりしたので遅くなりました。
ただ物事の本質には全く変わりはなく、「ルミナールAには抗癌剤は不要」
質問者が「いろいろな理由で抗癌剤を勧める医師」達の意見と私の意見を集約したいと考えているとしたら、それは不可能です。
根本的な考え方が違うのです。
最終的には質問者自身が、「どちらを選択するのか?」であり、「私を(それらの医師達の意見に歩み寄る様に)説得する」ことではありません。
「主治医((関東)のS病院)のレジメン(EC+TCの6ヶ月)にAgree」ということでした。」
⇒私には無関係な話ですが…
 EC+TC?
 
「Oncoの結果 High Riskとなった場合、放射線を途中でやめて化学療法を先に始めた方が良いでしょうか?」
⇒そんなことする人はいません。
 放射線を先行している場合には、「当然」終了してから(必要があれば)抗癌剤を開始します。
「アベマシクリブを試す価値はありますか? 」
⇒全く賛成しません。
 シンプルに「医療に貢献したい」と、考えれば構わないでしょうが…
 それこそ「効果があるというエビデンスが(少なくとも)現時点では無い」からこその臨床試験なのです。
「つまりホルモン療法単独(放射線治療は別として)」ということになってしまうのでしょうか?」
⇒それは当然です。
「ホルモン療法単独、と気がついた(感じた)時には臨床試験を止めてTC療法に 切り替えても病状的に遅くないでしょうか?(止める権利はあるので」
⇒そもそも臨床試験に参加するのに…
 「○○となった場合には止める」という態度で臨むのは「絶対に誤り」です。
 本末転倒です。
 冷静になって良く考えてください。
 ★臨床試験とは(自分が不利となる可能性は承知の上で)「医療のために貢献したい」という自己犠牲の精神がなければ参加すべきではないのです。
  ♯「上手くいけば、新薬を試せるから」という理由で参加するのは誤りです。
(裏を返せば「無治療群となったら、止めればいい」という人達が参加するようでは、臨床試験になりません)
「④この臨床試験の案内に関して、どう思われますか?」
⇒全く馬鹿げています。
「主治医が Oncotype DX に前向きとは言えなかった現状があり、田澤先生のご回答・アドバイスをいただければ大変助かります。」
⇒主治医と私の意見は全く違う(グレードとか○○とかで化学療法を勧める事自体?)ので悩む気持ちは解りますが、決して意見が一致することはないのです。
 
 

 

質問者様から 【質問4 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
こんにちは。
田澤先生。
ご回答いただきありがとうございました。
ご回答からは1週間以上空いてませんが、質問3の投稿日からは10日間経ちましたので、
ご容赦ください。
また田澤先生の前回のご回答、「EC+TC?」ですが、私の記載ミスでした。
「EC+T」でした。
すみません。
<その後の経過>
・Oncotype DX の結果が昨日出ました。
 残念ながらRS=42で、5年再発または死亡率においてタモキシフェン単独療法25%、
 タモキシフェン+化学療法15% という結果でした。
・シンプルに前向きに考え、上乗せ効果も10%と数字で判明したので、
 化学療法を受け入れて頑張ります。
 (因みにアベマシクリブは化学療法を終えてからの臨床試験ということでした
  ので止めました。
既存の標準療法で進みます。)
・副作用も比較的少なくバランスが良い「TC 3ヶ月」を考えておりますが、
 「EC+T の6ヶ月」を乗り越えようという明確な意思があればそれも選択肢かと
 思っています。
<質問(ご相談)>
①副作用の比較に関してです。
個人差があるので難しいかもしれませんが、
 先生のお考え、もしくはご経験から「TC 3ヶ月」と「EC+ドセ の6ヶ月」では
 どちらが副作用が強いでしょうか?
②TC 3ヶ月というと、期間が短い分、副作用が強いものなのでしょうか?
Stage2b かつ ルミナールなので田澤先生の方針は「TC 3ヶ月」ですから比較しようがないのかもしれません。。。
RS=42のHigh Riskで抗がん剤を受け入れた以上、副作用の強さと期間で最終決定したいと考えています。
アドバイス頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
RS=42でしたか。
ただ、「ハイリスク」とは(「抗癌剤をしないと再発リスクが高い」という意味であり)抗癌剤をすれば「再発が高リスクではない」ことは数字でご確認ください。
「「TC 3ヶ月」と「EC+ドセ の6ヶ月」では どちらが副作用が強いでしょうか? 」
⇒副作用の種類は異なりますが(全体の程度の印象は)変わりません。
 単純に「期間の長さ」と考えましょう。
「②TC 3ヶ月というと、期間が短い分、副作用が強いものなのでしょうか?」
⇒期間と強さは無関係です。
 
 

 

質問者様から 【質問5 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
こんにちは。
田澤先生。
ご回答いただきありがとうございました。
本日意思決定日で、ここへ来てかなり追い込まれています。
質問をお許しください。
①RS=42は期待とはずれていましたが、かなり高リスク値ですよね?
(グラフのX軸が50までしかないため)
 RS=42という事実でも田澤先生のレジメンはTCですよね? それともEC+ドセも選択肢に入りますか?
②江戸川病院に転院を希望するとなると、化学療法開始は何月ごろになりそうでしょうか?
ここまで追い込まれるとは思っておりませんでした。
どうかアドバイス
頂けますようお願い致します。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「RS=42は期待とはずれていましたが、かなり高リスク値ですよね?」
⇒前回の回答を見ていますか???
 ただ、「ハイリスク」とは(「抗癌剤をしないと再発リスクが高い」という意味であり)抗癌剤をすれば「再発が高リスクではない」ことは数字でご確認ください。
 と記載した通りです。
 今、グラフで確認しましたが、「Tam + Chemo」で再発率は14%となります。
 これはRS=18の人と4%も変わらないのですよ???
 それを「かなり高リスク」としている意味がわかりません。
 Qをするのは構いませんが、きちんとこちらのAを読んでください。
「EC+ドセも選択肢に入りますか?」
⇒TCでいいと思います。
「②江戸川病院に転院を希望するとなると、化学療法開始は何月ごろになりそうでしょうか?」
⇒可能ですが…
 転院するにはきちんとした理由が必要です。
 
 

 

質問者様から 【質問6 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
こんにちは。
田澤先生。
前回からたった1ヶ月ですが、こちら側からするとお久しぶりです、という感じです。
(笑)
いつも貴重なアドバイス、どうもありがとうございます。
「抗癌剤をすれば「再発が高リスクではない」」
⇒「抗癌剤をすることによって、「比較的高い率で再発する(高リスク)群」から外れ、数値的にはRS=XXの値に近くなる」
 という意味だったのですね。
何度も読んでいるうちに深読みしすぎ、
「抗癌剤をしても「(15%の確率で起きてしまった時の)再発」
 という状況そのもののリスクは高いとか低いとかそういう話ではない」という解釈をしていました。
 「上乗せ10%というなんとも言えない(RS=42なのにたった10%か・・・という)私にとっては中途半端な)値」と
 「妻の場合Oncoでは10年後再発率や生存率が表記されなかった」
 ことへの焦りや迷いの気持ちが発生し、Make it Simple から外れた思考と解釈でした。
(反省)
<その後の経過>
まず、前に記載した「放射線治療も開始し、30回なので2月下旬までかかります。」ですが、放射線科医師と治療開始を
決めておりましたが、開始直前(数分前に電話で私が直接医師)に「Oncoの結果が出てから放射線治療をやるかどうか決めたい」
と申し出て、結果としては放射線治療は1回も受けておりません。
また、単純に期間の短さで納得してTC 4クールと決心しました。
現在は3月上旬(全摘手術からちょうど3ヶ月目)から開始して来週2クール目があります。
(rTC療法)
Oncotype DXの結果が出るまでは、タモキシフェンは化学療法に先行して服用しておりました。
その後、TC開始の3日前に服用停止してます。
また比較的妻は我慢強いほうだと考えますので、Physicalな副作用に関しては大きな問題は起きておりません。
(ジーラスタは受けてます)
放射線治療に関してはTC終了後の状況で判断したいと考えていますし、
その際に田澤先生にお聞きしたいことがあればご相談させてください。
よろしくお願い致します。
<質問(ご相談)>
①rTC(Reverse TC)という投与の順番(C→T)で行っておりますが、これは一般的もしくは問題ないものでしょうか?
 江戸川病院でも採用されてますか?
②TC開始後、15日目に月経が再開しました。
主治医からは「月経が再開したら2クール目の際に教えてください」と言われてます。
 この時点で血小板低下による出血は心配無用でしょうか?
③今後3クールあるので、終了後の状態次第、かもしれませんがTC終了後に、「タモキシフェン単独」か「タモ+リュープリン」か
 「リュープリン単独」かを判断すれば良いでしょうか? まずは、TCを4クール乗り切る、が先決ですよね?
アドバイスいただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。
「①rTC(Reverse TC)という投与の順番(C→T)で行っておりますが、これは一般的もしくは問題ないものでしょうか?」
「 江戸川病院でも採用されてますか?」

⇒当院ではDTX⇒エンドキサンの順番です。
「②TC開始後、15日目に月経が再開」
⇒?
 初めての抗癌剤ですよね?
 そもそも閉経前では?
 ★(45歳だから)もともと閉経していない状態でTCを初回行っても(通常は)化学療法閉経になりません。
 2回行った後でも化学療法閉経しない方もいらっしゃる位です。
  ♯ただ、私がみるかぎり4回全て終了した時点で月経継続している(「言い換えれば」化学療法閉経していない)方は居ません。
 質問者も、初回はまだ(卵巣毒性が不十分で)閉経していないだけの話でしょう。
「月経が再開したら2クール目の際に教えてください」
⇒?
 一度、閉経になったのですか?
「この時点で血小板低下による出血は心配無用でしょうか?」
⇒不要です。
 (術後の補助療法で行う)化学療法では血小板低下することはありません。
「③今後3クールあるので、終了後の状態次第、かもしれませんがTC終了後に、「タモキシフェン単独」か「タモ+リュープリン」か 「リュープリン単独」かを判断すれば良いでしょうか? 」
⇒ リュープリン単独の選択は不自然です。
 通常はタモキシフェン(TC4回終了時点では、かなりの高率で化学療法閉経となります)単独となります。
 (数カ月して)もしも化学療法閉経から復活するようなら、「その時点」でリュープリン併用でいいでしょう。(そのタイムラグに神経質になる必要は有りません)
 
 

 

質問者様から 【質問7 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、こんにちは。
いつも貴重なアドバイスありがとうございます。
大変勇気付けられ助かります。
まずは、
「初めての抗癌剤ですよね? そもそも閉経前では?」
⇒はい。
初めてです。
そもそも閉経前です。
「一度、閉経になったのですか?」
⇒全摘後、(色々と考え)Oncotype DX の結果が出てTC療法を決意する3日前まで、
 タモを49日間服用して月経が止まりました。
(妻は、若い頃から毎日体温を付けておりますので、月経が止まったのは確かです。)
という経緯でした。
説明(情報)足らずですみませんでした。
なかなか旨くいきません。
今度は違う事態が発生しました。
前回記載したように、
2月上旬(XX日):TC1回目開始、翌日ペグフィルグラスチムの注射を受けました。
TC療法1回目(XX日):WBC:3,450 Neutr:54.9% で 1894 であったので投与。
TC療法2回目(XX+21日):WBC:2,430 Neutr:54.9% で 1334で「<1500」ということで翌週に延期。
TC療法2回目(XX+28日):WBC:2,580 Neutr:47.2% で 1217ということでTC中止。
↓は自分の解釈です。
RDIで計算すると、4回を予定量(100%)で3週毎なので、
100 x 4 / (3x(4-1)) = 44.4444・・・・
1週延期:100 x 4 / (3x(4-1)+1) = 40.0
2週延期:100 x 4 / (3x(4-1)+2) = 36.363636・・・・
このXX+28日時点で、36.363636/44.444444 ≒ 81.818% となるので、85%を下回ったことにより、
①TC中止、この解釈は合ってますでしょうか?
②主治医としては、この時点でECに切り替えても同じ理由(好中球減少)でNGなので、
 来週(XX+35日から)「Weekly PTX 12回」で行きましょう。
とのことですが、田澤先生でも
 TCをやめて「Weekly PTX 12回」というレジメン変更でしょうか?
③「TC1回 + Weekly PTX 12回」と「TC4回」だと術後療法の奏功率や再発率にはかなり差があるものなのでしょうか? データはないと思いますので、田澤先生のお考えをお聞きしたいです。
なかなか思う通りに進みませんね。。。
なんか、非常に悔しいです。
色々試してきて頑張ってきて
TC中止、とは・・・・
ただ、生き延びてゆくために、この時点でもやるべき事(進めるべき化学療法のレジメン)をアドバイスいただきたいです。
本日は妻だけで診療に行ったため明後日は私も同行して話を聞いて来ようと思います。
お忙しい中、恐れ入りますが、ご助言いただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。
「①TC中止、この解釈は合ってますでしょうか?」「田澤先生でも TCをやめて
「Weekly PTX 12回」というレジメン変更でしょうか?」

⇒私であれば…
 フィルグラスチムをして(白血球を上げて)2日後あたりに継続します。
「③「TC1回 + Weekly PTX 12回」と「TC4回」だと術後療法の奏功率や再発率にはかなり差があるものなのでしょうか?」
⇒そもそもTC1回やっているのだから…
 PTXは9回でいいでしょう。
 差は無いと思います。 
 
 

 

質問者様から 【質問8 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、こんにちは。
何度もすみません。
予期せぬ事だらけで、もうどうしてよいかわからなくなってきてしまいました。
ただ、妻がPhysicalには問題ないように感じるのが救いです。
TC1回目が2月中旬です。
TC療法1回目(XX日):WBC:3,450 Neutr:54.9% で 1894 であったので投与。
TC療法2回目(XX+21日):WBC:2,430 Neutr:54.9% で 1334で「<1500」ということで翌週に延期。
TC療法2回目(XX+28日):WBC:2,580 Neutr:47.2% で 1217ということでTC中止。
主治医と治療方針再確認(XX+31日)先週金曜:私も同伴し、「院長- 主治医 – 患者(家族)の間で
好中球数1,300以上なら100%で、1,300未満なら80%でXX+34日目にTC続行」を合意しました。
(一安心)
病院から翌朝土曜日(XX+32日)電話があり、安全管理部長なる人が、
「院長 – 主治医 – 患者(家族)
の間で合意があっても、無菌室や血液内科が無い当院ではこの治療の続行は認めません。」
との事で、こちらからも今までの経緯や努力を十分説明し、また、院長からも「念書を書いてもらっては?」
とまで言ってくれましたが、それでも管理部長を説得できませんでした。
告知から5ヶ月以上頑張ってきたのに、患者の気持ちに反した”病院経営側の壁”を痛感しました。。。
江戸川病院のように腫瘍血液内科がないこの病院ではリスク管理上仕方ないのかもしれません。
ちなみにこの日も血液検査をこちらの意向でしてもらいました。
結果は、
WBC:2,520 Neutr:42.7% で 1076
結局、1,500未満でもTCを続行してくれるという、主治医の出身大学の大学病院(都会の有名ホテルの裏)
のI教授を紹介され、月曜日(XX+34日)に話(初診で、ものの3分位)
をし、火曜日(XX+35日)にTCを行う予定が決まりました。
大学病院転院、というとても好ましくない状況でしたが、最短のTC続行可能性を鑑み、我慢するしかないと妻と考えました。
I教授の対応にも不安を覚えました。。。
今週火曜日(XX+35日)の血液検査の結果です。
WBC:2,400 Neutr:48.5% で 1164(好中球数としては土曜日よりは高い)
I教授の判断で、「ジーラスタを予防で注射しているのに、XX+35日も経って好中球が1500以上に
上がらなかった経験がないので、骨髄に何か別の問題があるのかもしれない。
血液内科で検査します。」
ということで、TC投与は延期。
(わざわざ家から2時間近くかけてラッシュの中、通うのは、
1,500未満でもTCを続行してくれるはずだったからなのに・・・)
私が「RDIも下がっているので、グランで一度白血球を上げて数日後に
TC再開の選択はないのですか?」の問いに、私の顔も見ずに即、「うちは(グランとジーラスタの)併用はしません。」
と声を荒げて言ってきました。
この人とは話せないな、、、、と直感しました。
(こちらに質問をさせない感じで、ものの5分位で診断は終わり)
数時間後(XX+35日)に同大学病院の血液内科に回され、血液内科の先生は(あっさり)「グランでWBCを
上げてTC続行でいいと思うし、併用で好中球をコントロールしてゆけばいいのでは?」と言ってくれて
グランを注射し、I教授への意見書も書いてくれました・・・・
木曜日(XX+37日)に判明した、注射後の結果は、
WBC:7,400 Neutr:80.6% で 5964
見事に上がり、来週火曜日(XX+42日で普通に進んでれば、もう3クール目の日)にTC予定、となりました。
当然ジーラスタは翌日(XX+43日)にうちます。
「これって併用ではないのですか?」とI教授に聞くと、嫌そうな感じで、「だからー、併用ではなくて、
今回のグランは骨髄機能に問題がないかを調べる目的です。」と言ってました。
まぁ、そういう解釈も勿論ありですが、もうこの人とは話せない(喧嘩になってしまう)と思い、
3クール目、4クール目は予定通り、3W毎に投与されるのを願うばかりです。
3クール目、4クール目に直前の血液検査の結果で好中球が下がっていたらどうするのか?(併用するのか?)
は、もう聞き(聞け)ませんでした。
XX+42日目ということでRDIはかなり下がってますが、ここまで来たら
TCをあと3回、間隔をあけずにやりたいと切に願うばかりです。
(もっと早く理由を見つけて江戸川病院に転院していれば・・・と思ってしまいますが、ぐっと、こらえて今できる事をやろうと思います。
(涙))
<質問(ご相談)>
①来週火曜(XX+42日)はグランを注射してから5日目となりますが好中球1,500以上でTC2クール目を
 100%で行えると信じています。
しかし、もし1,500を下回り、またTCができない、となったらどうすれば
 良いのでしょうか? そもそも田澤先生のご判断であればこんな事態は発生していないと思いますが、
 先生のお考えをお聞かせください。
②来週火曜(XX+42日)予定通りTCの2クール目が投与でき、翌日ジーラスタも注射できた場合、
 1週間後(XX+50日)に血液検査(ジーラスタが効いているか?)をする意義はあるのでしょうか?
 (素人的には3クール目の数日前、もしくは3クール目の当日に好中球を見れば良いような気がする
  のですが・・ 当然FN発症にならないよう気を付けますし、抗生剤等は処方されます。)
③上に記載した通り、「3クール目、4クール目は予定通り、3W毎に投与されるのを願うばかり」
 なのですが、その際に好中球が下がっていたら、ペグフィルグラスチム+グランで白血球数を
 コントロールし、TCを4回完遂すべきと思いますが、どうでしょうか?(前回Qと重複するかもしれませんが、
 3クール目も4クール目も同じ対応でOKなのかどうか、がこの質問の意図です。)
④そもそもTC続行時の好中球数の閾値のガイドラインは無く、医師の経験に任されていると
 思っておりますが、田澤先生のご経験上、TC100%投与、TC80%投与
(減量時)の好中球数の基準って
 ありますか?
⑤TC2クール目がXX+42日(通常ならTC3クール目)とかなり間隔が空いてしまいましたが、
 もう1クール追加、というのは無し、ですよね?(標準ではない?)
 それとも希望すればOK
 なものでしょうか?
ご回答お待ちしております。
医師によって(経験差はわかりますが)言うことが一貫してない気がして、どうすればよいかわからなくて。。
妻もとても不安になってしまっています。
Hair Loss となり元気の無い妻を、時間がかかってでも元の妻に戻してあげたいです。
このQ&Aサイトに本当に助けられています。
かつ、救われています。
ありがとうございます。
お忙しいところすみませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答8】

こんにちは。田澤です。
この内容については、その血液内科医の『「グランでWBCを上げてTC続行でいいと思うし、併用で好中球をコントロールしてゆけばいいのでは?」』が全てだと思います。
そもそも健康な人に術後補助療法として抗癌剤するわけであり、(これが、再発などで「いつまで継続しなくてならないか不明」なら抗癌剤の変更や減量を考えますが)
「フィルグラスチムを駆使しながら4回乗り切る」というやり方で問題はありません。
術後の補助が化学療法で私が減量投与するケースは(白血球ではなく)あくまでも
「自覚する副作用がきつくて、患者さんから減量したい」というケースのみであることも追記させてもらいます。
「しかし、もし1,500を下回り、またTCができない、となったらどうすれば良いのでしょうか?」
⇒その日にグランをして(24h以降なので)「翌々日に再トライ」でいいのです。
「 1週間後(XX+50日)に血液検査(ジーラスタが効いているか?)をする意義はあるのでしょうか?」
⇒要りません。
 難しく考えずに、「抗癌剤投与日に白血球が高い状態にするには?」を考えればいいのです。
 私であれば、「前々日にグラン」して望みますし、(もしも、それでも上がりきらない場合には)それ以降は「3日前+前々日にグラン」で望むわけです。
「ペグフィルグラスチム+グランで白血球数を コントロールし、TCを4回完遂すべきと思いますが、どうでしょうか?」
⇒まさにその通りです。
 お年寄りならともかく・
 「健康な若い女性」なのだから、「工夫して、乗り切る」という発想に変更しましょう。
「田澤先生のご経験上、TC100%投与、TC80%投与(減量時)の好中球数の基準ってありますか?」
⇒(原則として)好中球では減量しません。
 低ければグランしてあげて100%にして行います。
 減量投与する場合は「自覚する副作用」だけです。
「もう1クール追加、というのは無し、ですよね?(標準ではない?)」
⇒無です。
 
 

 

質問者様から 【質問9 今後の治療方針に関して】

性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、こんにちは。
色々大変ありがとうございます。
今回、WBCや好中球数が上がらない場合の対処をアドバイスいただき本当に助かりました。
白血球マネージメントして、なんとかTC4クールを完遂しました。
結局、クール2が6Wと空いてしまい、クール3&4は3Wで全て100%で終えられました。
RDIの観点からすると残念な思いもありますが、やるべき事をやった感はあります。
妻も、色々な副作用を頑張って乗り越えてくれて(今も乗り越え中ですが)良かったと思います。
さて、いよいよ放射線治療を決める時が来ましたので、お忙しいところ済みませんが、
私の考えに対するアドバイスをいただければ、と思います。
以前、田澤先生から↓の回答もいただいております。
「③そもそもレベルIIまで郭清してリンパ節転移がセンチネルに2個しかなかったわけですが、放射線の適応となるのでしょうか?」
⇒4個以上(推奨度A)でいいでしょう。
腫瘍径は比較的大きかった(約40x32x18mm(非浸潤部を含め:約50x32x24mm))わけですが、
全摘していますし、レベルIIまで郭清してLN(2/14)であったので、
T2, pN1aで推奨グレードB
とは言うものの局所再発の可能性が低いと考え、またPMRTの必要性に関する最近の傾向も鑑み、
放射線治療は受けない方向で主治医と話すつもりです。
ただ、妻個人としては全摘のショック、およびTCの副作用を受け入れた(乗り切った)ことで、
放射線治療の副作用に対するハードルは下がっているのも事実です。
これは、私は経験していないので、気持ちは正直言ってはかり知れないです・・・
<質問(ご相談)>
①「手術の精度(技術)が高いと自信を持って主治医が言えれば放射線治療など必要ないのでは?」
 逆に言うと、「放射線治療を強く勧めてくるようであれば自信が無いのでは?」
 という発想はおかしいですかね?
②局所再発率は低いと思うのですが、その考えは間違いでしょうか?
(主治医への信頼度如何かもしれませんが)
③PMRTの必要性に関する最近の傾向を調べたりもしましたが、田澤先生のご経験と感覚からすると、
 「腋窩リンパ節転移1~3個陽性の患者では乳房切除術後放射線療法が勧められるか」に関して、
 推奨グレードがBからCに近未来的に変わる、というお考えはありますか?
 
④もし、妻が「ここまで来たら放射線治療もやりたい」と希望した場合でも、
 鎖骨上や腋窩は意味がなく、”胸壁のみ”で充分ですよね?
⑤それとも、「レベルIIまで郭清してセンチネル 2/5, level
I+II 0/9」でもレベルIIIに
 存在しているということはあり得るのでしょうか?
(放射線治療を受けるとしたら鎖骨上も照射すべき?)
⑥受けるならば、トモセラピーのが良いでしょうか?
色々な壁やサプライズがあり、やっとここまで来れたというのが感情です。
お忙しい中、本当に色々なアドバイアス・ご回答ありがとうございます。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答9】

こんにちは。田澤です。
「放射線治療を強く勧めてくるようであれば自信が無いのでは?」 という発想はおかしいですかね?」
⇒無論、私には解り兼ねることですが…
 「自信がない」というよりは、むしろ「慎重な性格」なのではないでしょうか(推測ですが)
「②局所再発率は低いと思うのですが、その考えは間違いでしょうか?」
⇒無論、
 全摘で郭清もしているのだから「局所再発を心配する理由が無い」のです。
 主治医は(局所再発を心配してではなく)「遠隔転移の防止にも有効」という観点ではないでしょうか?(聞いてみましょう)
「推奨グレードがBからCに近未来的に変わる、というお考えはありますか?」
⇒全身療法の進歩からすれば、そう思います。
「鎖骨上や腋窩は意味がなく、”胸壁のみ”で充分ですよね?」
⇒胸壁こそ、全摘しているのだから不要と思いますが…
「レベルIIIに 存在しているということはあり得るのでしょうか?」
「(放射線治療を受けるとしたら鎖骨上も照射すべき?)」

⇒それはないでしょう。
「⑥受けるならば、トモセラピーのが良いでしょうか?」
⇒PMRTには、その必要はありません。(有害事象のリスクは減るとは思いますが…)