[管理番号:5004]
性別:女性
年齢:51歳
ご多忙のところたいへん恐縮ですが、おしえてください。
↓手術後の病理検査です。
Right breast canser, Bp+SNB: Invasive ductal carcinoma, Scirrhous type 15x15mm,
f+, ly1, v0, pN0(0/2) 【pT1cpN0M0, pstage I 】
結合組織内には大小の胞巣を形成し増殖する硬癌で、脂肪組織浸潤がみられ、リンパ管侵襲も軽度みられる。
乳管内進展は乏しい。
リンパ節に転移は認めない(0/2)。
断端に
病変は認めない。
核異型は中程度で、核分裂像がやや目立つ
nuclear grade 3 (核異型スコア2点、核分裂スコア3点)
HER2陽性(+3) Er、PgR陰性、 Mib-1 50%(目視)
昨年9月に温存手術をし、10月から12月までEC療法を経て今年1月からハーセプチン継続中、今年2月~3月に放射線療治療を受けました。
質問:
1)この場合の治療はこれでよかったのでしょうか?、よくハーセプチンにパクリタキセル他などを併せていますが、私の場合は不要な理由はなぜなのか、使ったほうが良かったのかと不安になっています。
先生ならどのような治療をされますか?
2)CTの診断ではcstageⅡaでしたが、病理検査ではpstage Ⅰとなっています。
私のステージはどちらなのでしょう?
3)速度の速いタイプですが、脂肪組織浸潤、リンパ管侵襲もあるこのような症例の場合、この3年以内の再発or転移率はどのくらいなのでしょうか?
4)去年9月に手術をしてから、術後の検査(CTやPET、腫瘍マーカーの検査等)していません。
主治医はハーセプチンが終わってからします、と言いますが・・よく術後半年で検査をした等聞くと、不安になります。
先生ならどのタイミングで検査されますか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「先生ならどのような治療をされますか?」
⇒私であれば「非アンスラサイクリンレジメン」とします。
つまり(アンスラサイクリンであるECではなく)weeklyPTX+HERもしくはTC+HERとします。
「2)CTの診断ではcstageⅡaでしたが、病理検査ではpstage Ⅰとなっています。私のステージはどちらなのでしょう?」
⇒pT1c(15mm), pN0, pStage1です。
CTでの診断はあくまでも「画像診断」ですが、「術後病理が優先」なのです。
「3)速度の速いタイプです」
⇒??
普通です。
「脂肪組織浸潤、リンパ管侵襲もある」
⇒全く無関係です。
「3年以内の再発or転移率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒「再発」と「転移」を分けている様ですが…
正確には「遠隔転移再発」という概念に統一した方がいいでしょう。(もしもご本人がいう「再発」が「局所再発」のことであれば、「局所再発率」なる数字など無いからです)
『今週のコラム 84回目 「初回手術の取り残しを摘出するだけでよい」と言う事なのです。』
⇒お解りいただけま居たね?
ということで「遠隔転移再発」は 3年で8%です。(抗HER2療法による術後補助療法は歴史が浅いので3年の数字しかNewAdjuvant.comには載っていないのです)
「4)去年9月に手術をしてから、術後の検査(CTやPET、腫瘍マーカーの検査等)していません。」
⇒この乳がんプラザを暫く読めば気づくことですが…
そもそもCTやPETは術前も術後も不要です。(無駄な被爆です)
「先生ならどのタイミングで検査されますか?」
⇒CTもPETも決して行いません。
腫瘍マーカーだけ行います。(これは抗HER2療法中は、採血の際に一緒にしています)