〇 ネットをみると(再発の)『闘病記』なるものがあり、(無論)患者さんによっては参考になったり、励ましとなったりすることでしょう。
ただ、よくある話として、ネットを見て『こんなに、再発しているんだ! 再発していない人なんていないじゃないか!』と、失望してしまう術後患者さんも少なくはありません。
そこで『ステージが高いのに再発せずに元気にしている患者さんって、本当にいるの? 先生の患者さんでステージが高くても再発していない人っていますか?(いないんじゃないの?)』みたいなQAが時々あります。
まずは、以下の数字をみてください。
2004登録患者さん
stage 5年生存率 5年無再発生存率
stage 0 97.58% 96.34%
stage Ⅰ 96.63% 92.17%
stage Ⅱ 90.93% 81.62%
stage Ⅲ 72.48% 58.42%
stage Ⅳ 42.65%
1.無再発生存について
★この当時はHER2陽性乳癌が数字を著しく下げていた筈です。
2008年以降、術後補助療法としてtrastuzumabが適応となり 2018年10月には(更に)pertuzumabも術後補助療法として適応承認されました。
trastuzumabだけでHER2陽性乳癌の再発率を実に半分とする大きなインパクトがあるので、(更に)pertuzumabも加わった現在の状況は隔世の感があると思います。
その意味では2019年登録以降の患者さんの数値が楽しみです。
2.生存率について
これについては(1に加えて)分子標的薬(CDK4/6inhibitor)やeribulinが大きく数値を改善させているのは想像に難くありません。
こちらも(現在と)2004のデータでは全く異なることでしょう。
★★今よりも相当劣る数値であろう2004のデータでさえ、ステージ3では6割の無再発があったのです。現在では7割から8割だろうと推測されます。
ステージ3で無再発生存が7割から8割なのに、『ステージが高いのに、元気にしている人っていますか?(いないんじゃないの?)』という質問自体、愚問では?(そう思いませんか?)