昨日は学会帰り(関東地方会)だったので、昼ごはんも夕方遅くなったので屋上は断念(寒い!)
L’AVENUE
○本文
外科研修医の時、30年も前の話です…
胃癌の手術 開腹した際に見た腹腔内の多発結節
先輩(執刀医)が発した言葉を今でも忘れません。
『PCだ…』
PC: peritonitis carcinomatosa 癌性腹膜炎
この言葉は今でも忘れません。
手術不能となり、「そのまま」閉腹です。
♯白い巨塔で、財前教授も(そのまま)閉腹となり、手術時間があまりにも短いと(本人に手術不能だったと気づかれるから)部屋の時計をわざと進めた。という原作だったと思います。
外科医としての無力感。そして何よりも(その後)その患者さんが通過障害(ileus)となり、全て嘔吐⇒magen tube挿入、CV挿入し中心静脈栄養⇒(改善するわけもなく)やがて…
外科医として手術して取りきること。その拘りはこの原体験からです。
乳腺外科が(私の頃とは異なり)最初から独立した「科」として存在し(消化器外科を経ずに)「乳腺科」医師なる若い医師には、果たして「外科医としての手術への拘り」があるのだろうか?
まるで手術を「分子標的薬や抗癌剤のおまけ」程度にしか考えてはいないのでは?
症例1
前医でのCTとUS
前医では「手術不能」
『手術不能。 薬物療法やっていくしかない』
患者さんの気持ちはどうだろう?
「手術不能」って、「治らない」と同義に聞こえませんか?(私にはそう聞こえます)
(前医に対して)「お前は外科医でないのか? 手術不能って簡単に片づけるものか?」(無論、そんなこと言いませんが、心の底からそう思います)
この方は胸壁に癌が残らないように、それに気を付けて手術「絶対に再発させない」その思いが重要でした。
手術病理では「広範に筋肉浸潤を認める」ものでしたが、その後(胸壁照射もしてますが)8年以上 再発なく通院されています。
3か月に1回通院されてくる姿を見る度に(ホルモン療法中だから)私はこの方に感謝を感じます。
私に手術の重要性、「手術可能=根治を目指す大事さ」を実感させてくれたからです。
時間切れとなったので症例2は次回とします。