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今週のコラム 475回目 成功体験(手術手技2)

昨日は学会帰り(関東地方会)だったので、昼ごはんも夕方遅くなったので屋上は断念(寒い!)

ショコラ from Kobe    今年も感謝です!

 

L’AVENUE

 

 

 

最高の組み合わせ

 

 

 

 

 

○本文

外科研修医の時、30年も前の話です…

胃癌の手術 開腹した際に見た腹腔内の多発結節

先輩(執刀医)が発した言葉を今でも忘れません。

『PCだ…』

PC: peritonitis carcinomatosa 癌性腹膜炎

この言葉は今でも忘れません。

手術不能となり、「そのまま」閉腹です。

♯白い巨塔で、財前教授も(そのまま)閉腹となり、手術時間があまりにも短いと(本人に手術不能だったと気づかれるから)部屋の時計をわざと進めた。という原作だったと思います。

外科医としての無力感。そして何よりも(その後)その患者さんが通過障害(ileus)となり、全て嘔吐⇒magen tube挿入、CV挿入し中心静脈栄養⇒(改善するわけもなく)やがて…

外科医として手術して取りきること。その拘りはこの原体験からです。

 

乳腺外科が(私の頃とは異なり)最初から独立した「科」として存在し(消化器外科を経ずに)「乳腺科」医師なる若い医師には、果たして「外科医としての手術への拘り」があるのだろうか?

まるで手術を「分子標的薬や抗癌剤のおまけ」程度にしか考えてはいないのでは?

 

症例1

 腫瘍が胸壁大胸筋の更に奥の「肋間筋」まで浸潤

 

 

前医でのCTとUS

前医では「手術不能」

『手術不能。 薬物療法やっていくしかない』

 

患者さんの気持ちはどうだろう?

「手術不能」って、「治らない」と同義に聞こえませんか?(私にはそう聞こえます)

(前医に対して)「お前は外科医でないのか? 手術不能って簡単に片づけるものか?」(無論、そんなこと言いませんが、心の底からそう思います)

この方は胸壁に癌が残らないように、それに気を付けて手術「絶対に再発させない」その思いが重要でした。

手術病理では「広範に筋肉浸潤を認める」ものでしたが、その後(胸壁照射もしてますが)8年以上 再発なく通院されています。

3か月に1回通院されてくる姿を見る度に(ホルモン療法中だから)私はこの方に感謝を感じます。

私に手術の重要性、「手術可能=根治を目指す大事さ」を実感させてくれたからです。

 

時間切れとなったので症例2は次回とします。