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今週のコラム 385回目 外来採血のあれこれ 

土曜日、東京は冷たい雨

市川外来帰りのランニングは、(タイミング的に)がちに本降りにあたってしまいました。

もう春だと思っていましたが、まだまだ雨に濡れると真冬並みに体温が奪われます。

帰りの車内は久しぶりにエアコンをmaxにしてシートヒーターもonに。

いやー。風邪ひかなくて良かった。

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腹筋した後、温かーい風呂に入った後の昼食(すでに4時でしたが…)

雨なので屋上に出れず…

野菜トマトスープラーメンには、山盛りのネギとチャーシューに、煮卵投入。

定番のオクラネギ納豆も欠かせません。

 

 

○本文

先週までの「サブタイプ別の(再発)治療戦略」とは異なる角度から…

外来での採血検査についてお話ししましょう。

 

まず根本的なところから、病院では何故採血するのか?

科によっていろいろ事情は異なるでしょう。

(私も研修医~暫く在籍していた)消化器外科では、とにかくwbcとCRP

これでした!

術後に縫合不全でもないか? 痰が詰まって肺炎になっていないか? 創感染してないか? ★要は、術後の感染性の合併症対策ですね!

これが糖尿病内科だったら? FBS(空腹時血糖)とHbA1cが重要だと思いますが、(時々カルテを覗き見ると)少々(我々、外科医とは)やっぱり異なるようです。

とにかく項目がいっぱい!

事細かく採血で患者さんの状況を丸裸にしなん!とでもいうばかりに採血項目も多岐にわたります。

その点、外科医は単純なもので「採血データよりも、患者さんの状態をその目で見よ!」というのが「三つ子の魂百まで」のように研修医時代から叩き込まれます。

と、ここまでは前置きとして

 

乳腺外科での採血

1.腫瘍マーカー

癌を扱う診療科としては、まず欠かせないのがこれです。

乳癌領域で皆さんが目にするのは、CEA, CA15-3, I-CTP, NCC-ST439でしょう。

ただ私は経験上、必要なものとしてCEAとCA15-3のみ測定しています。

これだけで十分(それ以外のものは転移と関係ないことで上下することも多いので)だと思っています。

★腫瘍マーカーで注意が必要なこと

①喫煙者では(それだけで)CEA高値であることが多い。

CEAは5未満ですが、喫煙者では(そもそも)9位の方が多い。

最初に測定した際に、この位の高値である場合には必ず「喫煙してますか?」と聞くのは常識です。

無論「喫煙者」の場合には(再発のように)時系列的に上昇していくことはなく「ずーとほぼ変化無(減塩すると低くなったりしますが)」で推移します。

②化学療法中に(再発とは無関係に)上昇することがある。

全ての人では(無論)ありませんが、特にCA15-3は(サラッと)正常値を超えてきます。 CA15-3ほど多くはありませんが、CEAも(抗がん剤中は正常値を超えていて)終了すると、ゆっくりと正常値へ戻ることもあります。

③CA15-3は院外オーダー(外注)である。

CEAは院内で測定しているので、その日のうちに結果は出ますが、CA15-3は外注なので決してその日のうちには結果はでません。

江戸川病院では(早くて)2日後、(遅いと)5日後位までかかります。

私は全ての外来患者さんのCA15-3を追っています。

(翌日は出ていないので)翌々日からチェックをはじめています。火曜日水曜日の患者さんは土曜日までには殆ど出ていますが、木曜日の患者さんは日曜日にも出ていないこともあります。

採血をした外来患者さんに「異常があったら、1週間以内に必ず連絡します」と言っているのは、上記事情によります。

★因みに外来患者さん全員のCA15-3のチェックは、外来診療の復習作業としては結構手間となります。

皆さん知っている人も多いですが、今年2月から電子カルテが刷新されました。

この新電子カルテは、私のCA15-3チェック作業をするためのクリック数をが半分以下に減らしてくれました!(とっても楽)

(スカロケを聞いている人にだけ通じるのですが)泉谷しげる風に『作業効率アップだな。』です!

★★腫瘍マーカーのチェックは、乳腺外科の採血としては「最重要項目」となります。

私は決して見落としていないので、そこのところ心配なく!

 

2.肝機能

ホルモン療法を行っている人が多いので、これも重要なものの一つです。

①通常、ホルモン療法による薬剤性肝障害は(処方後)最初の3か月後の採血で(出る人は)出ます。

つまり、最初の3か月目の採血で肝機能障害が出ない(全く正常)人は、その後5年間ほぼ動きません。

逆に最初の3か月目の採血で肝機能障害が出る人は、(最初は許容範囲でも)次第に悪化していき、休薬やウルソ併用となることも多いのです。

②抗がん剤による肝障害

特に知られているのはtaxane(特にdocetaxel)による肝障害です。

たとえばTC(docetaxel/cyclophosphamide)後、初回の採血で一気に3桁まで上昇することもあります。

その場合には3週間空けてEC投与としています。(ECに替えると、殆どの場合肝機能障害はでません)

3.白血球

①放射線照射すると、暫く(実際には数年)は低値となりやすい。

一般的には白血球は3000~6000の範囲内ですが、放射線照射(温存乳房照射も含む)すると、2000前後となることも多い。

★人間ドックで採血して「白血球低値」としてチェックされることも多いですが、全く問題ありません。

②プレドニン中は高値となる。

肉芽腫性乳腺炎でプレドニンを投与していると高値となります。

★ただし、当院での治療中は採血は一切しないので通常は知りようがないし、知る必要もありません。

ただ、(たまたま)近所で採血などすると「白血球が異常に高いぞ!」などと言われてしまします。

 

★★同様に(プレドニン治療する疾患には)放射線肺臓炎がありますが…

当院では(Tomotherapyなので)ほぼ放射線肺臓炎の発生はないため、その機会がありません。(それは大変いいこと)

4.他の項目は?

正常であることが前提であり、(正常を確認しているだけで)注目はしていません。