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今週のコラム 383回目 前回(サブタイプ別再発治療)の解説

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土曜日はいい天気。

今日(日曜日)は名古屋で帰りは夕方なので大切な土曜日となりました。

 

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金沢の「金のバウムクーヘン」(上)

輝いてます!

 

 

 

本文

再発治療の変遷については2つのkey pointがあります。

1.免疫チェックポイント阻害剤の登場

乳癌診療ガイドライン 治療編2020年版より

CQ31 転移・再発乳癌に対してPD-1/PD-L1阻害薬は勧められるか?

PD-L1陽性のトリプルネガティブ乳癌に対して、アルブミン懸濁型パクリタキセルにアテゾリズマブを併用することを強く推奨する。 推奨の強さ:1

PD-L1陽性のトリプルネガティブ乳癌に対して、化学療法(アルブミン懸濁型パクリタキセル、パクリタキセル、カルボプラチン+ゲムシタビン)にぺムブロリズマブを併用することを強く推奨する。 推奨の強さ:1

 

トリプルネガティブに対する「免疫チェックポイント阻害剤」の登場が最大の変更点と言えます。

因みに、これらの記載は「追補 2019版」には一切ありません。

 

2.CDK4/6阻害剤の推奨度アップ

(同じく)乳癌診療ガイドライン 治療編2020年版より

閉経前

CQ18 閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?

卵巣機能抑制を行い、CDK4/6阻害薬と非ステロイド性アロマターゼ阻害薬の併用療法を行うことを推奨する。 推奨の強さ:1~2

卵巣機能抑制を行い、内分泌療法(単独)を行うことを弱く推奨する。 推奨の強さ:2

 

因みに、「追補 2019版」での一次内分泌療法では

卵巣機能抑制とタモキシフェンの併用療法を行うことを強く推奨する。 推奨の強さ:1

二時以降の内分泌療法として

LH-RHアゴニスト+フルベストラント+サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬の併用療法を行うことを弱く推奨する。 推奨の強さ:2

 

閉経後

CQ20 閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?

非ステロイド性アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用を行うことを強く推奨する。 推奨の強さ:1

 

「追補 2019版」での一次内分泌療法では

アロマターゼ阻害薬単剤の投与を強く推奨 推奨の強さ:1 合意率100%

アロマターゼ阻害薬とサイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬の併用を行うことを強く推奨する。 推奨の強さ:1 合意率73%

フルベストラント500mg単剤の投与を強く推奨する 推奨の強さ:1 合意率73%

 

ここから、前コラム382回目の各症例に対する具体的な解説へ進みますが、以降は明日へ

これから新幹線に乗って名古屋へ行かなくてはならないのです。

帰りに東京マラソンの交通規制に引っかからないことを…

⇒八重洲東駐車場からは「直に」首都高へ出れたので、何ら問題ありませんでした。

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ということで日曜日も奇跡的に屋上へ

やっぱり屋上ラーメンは堪りません!

ちょっと寒かったけど…

 

1.luminal type

X年 初回手術(全摘+腋窩郭清)術後EC⇒docetaxel ホルモン療法

X+2年 局所再発にて手術

 

 

X+4年 PET 肝、肺、骨、リンパ節(縦隔など)再発

 

 

 

⇒骨転移に対して照射後、

bevacizumab+paclitaxel⇒paclitaxelに対する強いアレルギーにて中止

EC x 4 (術後補助療法として4回使用していますが、再登場)

eribulin x 4 cycle

 

 

腫瘍マーカーが正常化していたので安心はしていましたが、

ここで評価 CR!

 

 

 

palbociclib(CDK 4/6 inhibitor) 2年経過継続中 CR維持しています!

 

この治療について解説

1.(再発治療として)抗がん剤を先行

⇒肝転移は(対応を誤ると)life-threateningとなりうるし(他に)肺、骨など広範囲だから。

2.抗がん剤の順番

⇒まずはbevacizumab+paclitaxelを選択しています。(結局paclitaxelのアレルギーで中止となってしまいましたが)

これは術後補助療法としてECx4⇒DTXx4を行っているので、

第1選択はanother taxaneであり、この場合にはpaclitaxelとなるのです。

♯無論、広範囲の転移に対してはpaclitaxel単剤よりもbevacizumab併用が望ましいことは言うまでもありません。

⇒その次はECを選択しています。

♯術後補助療法で使用した薬剤を「再登場」させる理由として

①遠隔再発まで4年間のtime intervalがある。(これが短いと使えない)

②何といっても「anthracyclineは頼りになる」から

⇒(抗がん剤の)最後としてeribulinを使用しています。

再発病巣が広範囲であることを考えると、(抗がん剤のtotalの期間としては)3か月よりも半年が頼もしく感じたのです。 ★この辺りは個人的感覚です。

 

3.(抗がん剤でCRとしてからの)CDK4/6 inhibitorの(満を持しての)登場

⇒(luminal typeの)再発治療として、そもそも最初からCDK4/6 inhibitorを使う乳腺外科医もいるかもしれません。

ただ私は、できるだけ(より強力な薬剤である)抗がん剤を短期間用いることでCRを得てから、「その維持の担い手」としてのCDK4/6 inhibitorにより期待をかけているのです。

 

★他の症例は次回コラムへもちこします。