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今週のコラム 331回目 医師側が早期診断しなかったことが、患者さんの運命を変えうる(後編)

今日も東京の空は晴れ! 夜中のランニングの体感(温度)で、春が近づいているのを感じます。

今日も、このコラムを書くためにネットを立ち上げると「嫌でも」目に入る「ウクライナ」情勢

(コラムに時間を割くために)目を背けようにも「つい」記事を読んでしまいます…

 

今日、目に入ったyahoo newsでは「ロシアのデフォルト危機」が多かったような?

幾つか読んでの私の理解では、ロシアのデフォルトは「最早」避けられない!

しかも「通常のデフォルト」とは違い、(中国以外の)全世界から総スカンを食っているロシアには,なすすべもなく(この言葉、よく考えると結構難しいですよね?)このままでは「落ちるところまで落ちる」らしい。

流石に、そこまでいくまでには国民(もしくは軍内部)からのクーデターにより失脚(これを皆、願っている)するだろう(してほしい)

自暴自棄となって「核のボタン」を押さないように願うばかりです。

 

 

(前回の続き)

 

 

 

増大するまで経過をみていて、結局(最終的に癌を疑ったのだとは思うけど)その時点でも「針生検をせずに」前医へ「そのまま紹介している」

この記述に注目してほしい

 

それでは、更に理解を深めるために、もう一つ「架空の」症例を供覧しよう。

 

架空の症例2

血性乳頭分泌を主訴として前医受診。画像所見に異常はなく「分泌液細胞診で良性」のため1年以上経過観察

患者さん自身が乳がんプラザを見て(単孔性・血性でもあり)『自分も「乳管造影の対象ではないのか?」と考え』当院を受診。

 

 

乳管造影しました。

明らかな(末梢性の)途絶

 

 

 

この所見は、以下のように解釈します。

 

かなり広い範囲の乳管内病変を想定

 

 

 

〇 乳管腺葉区域切除施行  手術病理:広範囲の非浸潤癌

 

なるほどー。

(2つの)共通点が解ってきたぞ!

(其の医師達が)診断手段を「そもそも」持っていないということだね!

 

 

 

ピッタシカンカン!(久米宏ばりに)

この世で何が一番怖いかというと、(あの「プーチン」よりももっと恐ろしいのは…)

 

診断手段を(そもそも)持っていないのに経過観察する医師 なんだ。

 

 

まず、症例1から(僕が、その医師役をやるね!)

針生検できないのに(無駄に長ーく)経過観察して、いよいよ怪しくなってから「乳癌疑いです。紹介します!」

 

 

あんた! 針生検できないんかい!

それで経過観察って、無責任だろ!

 

★ 違う角度から解説を試みます。

癌の所見といっても、「小さいうち」から不整形(癌を疑う)①⇒大きくなると「画像だけで癌と判断できる」②タイプ A

「小さいうち」は良性っぽい③(良性とは断定できない)⇒大きくなる過程で(癌らしく)不整形④となるタイプ B

 

皆さん、よろしいでしょうか?

私の経験上、明らかに上記A,Bの2タイプがあります。(無論、その中間もあります)

 

★★医師側はどうか?というと

1.積極派タイプ

私は(癌の可能性が少しでもあるなら)「経過観察して後で癌だった…」ということが「とてつもなく」嫌なタイプなので

上記③でも組織診を提案します。 実際に「市川で生検予約を2か月後など」に設定する場合は殆どこれです。

無論①であれば、水曜日予約外で受診されても「市川での生検予約は2w以内(可能なら1w以内)

②④の場合は(水曜日予約外で時間は押していても)「その場で生検」となります。

残念ながら、この「積極派タイプ」は世の中には多くはありません。

 

2.中間タイプ

このタイプが大多数を占めていると思います。

③を組織診することはありません。⇒QAなどで(心配性の)患者さん達が「心配だから組織診してほしい」⇒断られる⇒QAに書き込む⇒私が回答する⇒「確定診断希望メール」する⇒2か月(程度)先に市川で組織診⇒(殆どが)良性となるが、中には癌と診断されるケースもある

中間タイプは②④は間違いなく組織診しますが(ただ、悲しいかなその「精度」はバラバラ)①に対する対応に幅があります。

中間タイプの中でも(画像診断に長けている、もしくは早期発見に意欲がある)医師は①も組織診行いますが、

中間タイプの中でも(組織診を避けたがるタイプ)は①を「3か月後経過観察」としたがり(患者さん側がいくら組織診をお願いしても)頑として断ります。

 

3.針生検が「そもそも」できない医師

これが非常―に困ったタイプ?です。

乳腺クリニックを開業しているのに「画像診断しか、しかも稚拙」できない。

QAを始めた当初は、まさか「そんな人たちが開業している」事実を受け入れられませんでしたが、(仙台で私が知っている乳腺クリニック開業医は、「プロ中のプロだから開業する(できる)」という精鋭だけだったからです。)

流石にQAも7年?となると、世の中には「プーチンよりおそろしい乳腺開業医がいる」ことを認めざるをえません。

これらの「自称?プーチン?」は勿論①や③には興味はなく、とにかく「育てる」ことが診療の柱?となっているようです。

(流石に②となれば)「(針生検ができる)大きな病院へ紹介しますね」となりますが、

問題は④です。(針生検ができないながらも)早めに紹介するなら「まだしも」④の状態でも『(画像上)癌とは断定できないから、紹介するにはあたらない。もう少し「明らかに癌」と確信できるまで経過をみよう』

 

 

(ちょっと)聞くのは怖いけど…

最終的にどうなるの?

 

小さい病変として見つかった筈が、

紹介先に辿りついた時点で「すでに」進行状態。

(場合によっては)数年後には「遠隔転移」

 

 

表題に戻るね。

それが、(前回コラムの)症例1

『医師側が早期診断しなかったことが、患者さんの運命を変えうる』とは?

 

★最初から当院を受診していたら…

『癌を疑う(画像)所見ではありませんが、経過をみるより組織診で100%確定することをお勧めします』

 

 

 

『えー、良性です。って言われるのを期待していたのに… でも可能性が(少しでも)あるなら受けます!』

 

 

(数日後)

『癌でした。 画像所見からは確立は低いとは思っていましたが… 残念な結果とは言え、早期発見早期治療です。 この段階での治療であれば「ほぼ根治」を期待できます。』

 

『がーん(癌) 駄洒落です。 失礼!  』

 

 

 

私は、「かなりの」良性所見でも組織診しているので(正直)「こんな所見が癌?」という症例にでくわします。

皆さん、(術後に)再発することは無いでしょう。

次回に、そんな症例を供覧しましょう。