秋の味覚
「サンマ」スーパーに出てきました(まだ、ちょっと「小振り」かな?)
昨日も食べましたが、絶妙な旨さ。
「味覚」と言えば、この数年で劇的な変化が…
野菜が好きになったり、肉も赤身しか食べられなくなった(昔はサーロインとかロースだったのに、今では「ヒレ一択」)
こうして体脂肪も落ちていくのだろうか?
〇 序文
コラムの「題材」の選定については、
1.診療をしていてpassionを感じたもの
例えば…
「レベルⅢに転移があるから手術先行ではなく、術前化学療法します」みたいに(前医で)言われた。
肉芽腫性乳腺炎で(前医で)「抗生剤」投与したり切開したりして、一向によくならないと受診。
明らかに癌を疑う超音波所見なのに「小さいから、様子見ましょう」みたいな診療
あー、挙げているだけでイライラする!
2.QandAで「やたらと」同じような質問が来た場合
例えば…
妊娠中に、脇が腫れぼったい痛む。これって乳癌?
⇒それは1000% ただの「副乳」です。
妊娠中に増加する女性ホルモンの刺激で(もともとある)正常副乳が腫大したり痛くなったりするのです。
閉経前のホルモン療法とか、
3.外来診療で、患者さんの問い合わせが多い(重なった)
抗癌剤をしているのですが、「不正出血が出た。とても心配です。外来受診必要ですか?」
前置きが長くなりましたが…
最近、このような問い合わせの電話が外来にかかってきて「立て続けに」外来看護師から回答を求められたのです。
どう回答したの?
勿論、「全く」心配ないと回答したよ。
それでは、化学療法閉経についてお話ししましょう。
〇 化学療法閉経
まず、抗がん剤は卵巣毒性がある。
この事実を確認してください。
なるほど!
抗癌剤は血流にのって全身をめぐるので、色々な臓器に影響(毒性)があるけど、
その中に「卵巣」もあるわけだね?
その通り。
乳癌の補助療法で用いられているanthracyclin taxaneどちらも卵巣毒性があります。
具体的にいうと、TC(docetaxel / cyclophosphamide)では2回目あたりで殆どの方で(化学療法)閉経となります。注1)
注1) 卵巣(機能の)強さは、「年齢」が強く影響し(30歳代など)若年者は3回目あたりまで閉経しなかったり、逆に(50歳代など)もともと自然閉経に近い方は1回目で閉経するなど差が出ます。
★ ただ(私の経験上)どんなに若くても(20歳代でも)TC4回終了して化学療法閉経にならなかった患者さんは皆無です。
anthracyclineは(TCに比べると)卵巣毒性の程度は「やや弱い」印象です。
それでも、(EC4回で化学療法閉経にならなかったとしても)続いて行うtaxane(多くはdocetaxelとなりますが)で皆さん化学療法閉経となります。
それが不正出血の原因なんだね?
無論、オムロンだよ。注2)
注2)かつて「一世を風靡」した駄洒落。
真面目なCMだからこそ、そのギャップに当時の小学生は痺れた…
冗談はさておき…
卵巣が機能を失う(閉経となる)前には、「一時的に」ホルモンの分泌が刺激されて(そのために)その刺激で子宮から内膜が剥がれて「不正出血となる」のです。
★閉経前に不正出血が起こる現象については(化学療法閉経だけではなく)LH-RHagonist投与による月経でも同様のことが起こります。
あくまでも「一時的な不正出血」なんだね?
そう、「一時的」です。
だから、婦人科を受診したり乳腺外科を受診したりするのはナンセンス!
乳腺外科の看護師ならば、(私に回答を求めるまでもなく)患者さんへ「即答」してもらいたいものです。
〇 化学療法閉経とホルモン療法
『 Q&A 2021年09月24日5 ホルモン治療などについて』が、ちょうどタイムリーに届いたので、「化学療法閉経とホルモン療法」についても追加します。
化学療法閉経は本物の閉経ではありません。
(化学療法していない人で言えば)「(急激に起こった)更年期の状態」と捉えてください。
つまり、ホルモン療法はあくまでも「閉経前」のものを用います。
★ 化学療法閉経から回復する(若年者に多い)人も居れば、化学療法閉経のまま「完全な閉経」に移行する人(50歳以上が多い)もいます。
少なくとも1年半以上は「閉経前」ホルモン療法を行い 注2)、(その時点で月経が無かった場合には)その後にE2など測定して(それでも閉経値であれば)ようやく「閉経後」ホルモン療法へのスイッチを考えましょう。
注2)ここが大事。テストに出ます。
具体的には…
化学療法閉経では tamoxifenとなります。
最初からLH-RHagonistを併用してもいいし、(とりあえず卵巣は抑えられているのだから)まずは併用せずにtamoxifen単剤として、(もしも月経が再開したら)それからLH-RHagonistの併用開始としても構いません。
実際は、どうしてるの?
通常(LH-RHagonistの最初からの併用を)特に勧めていません。
「tamoxifen処方するので、(もしも)月経の兆しがあったら連絡ください(その際に併用開始します)」とお話しすることが多いですね。
★勿論、「心配だから最初から、併用したい」という患者さんの場合には(希望に沿って)最初から併用してます。