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今週のコラム 278回目 果敢なる挑戦 vol. 2 レベルⅢを直視下にすれば、道は切り開かれるかもしれない!

 

今日も晴れ、東京は暫くいい天気です。(今朝は寒かったけど)

「もうそろそろ鍋シーズンも終了だな。」と、ぎりぎりで思い立ったので(華味鳥は間に合わず)「はかた一番どり」でした。

ワインはやはり?白 ルーマニアの「ヴィル・ブドゥレアスカ プレミアム・フュメ 2019

彼の地へ想いをはせながら?の「博多の味」 便利な世の中になったものです。

 

○ 本編

 

この画面

(おさらい)

(内側で小胸筋に、裏側で前鋸筋に直接浸潤した)レベルⅠを外したものの、

腋窩静脈からは外せず、(奥では)レベルⅢまで一塊となり(こちらからも)外れない!

 

「手術不能」と烙印を押してしまえば、一気に解決? この苦境から解放される。

『お前も、ここまで頑張った! これ以上は聖域。リスクを冒すべきえはない』

そんな誘惑?を振り払うように、『レベルⅢを直視下にすれば、道は切り開かれるかもしれない!

 

 

大胸筋をスプリットしてレベルⅢを直視下にする術式に習熟していたからこそのchallenge

この時点で勝機(取りきれる)があったわけではありません。

ただ、「唯一の可能性」だったことは間違いありません。

 

 

実際に…

この視野にするには、まず大胸筋を(その裏にある)小胸筋から剥離しなくてはなりません。

その上で、大胸筋を(裏から持ち上げるようにして)腋窩静脈から安全な距離を確保したうえで、スプリットするのです。

 

 

 

リンパ節の終着点

レベルⅢは「直視下ならではの安心感」で、外せました。

これが今回の手術の突破口となりました。

 

 

 

Ⅲが外れたので、(Ⅱも同視野でⅢと連続したまま)腋窩静脈から外すことができました。

これで、再び外側の視野に戻します。

 

 

 

 

「遂に」ここまで来ました。

実際の距離は「1cm」程度

「たかが」1cm、「されど」1cmです。

 

 

 

 

 

 

誘惑

このように、「腋窩静脈」から安全な距離で

リンパ節を分断してしまえば、

 

 

 

この部分のリンパ節が残存してしまいます。

ただし、「この程度」だと

「もしかして」周囲から血流を絶たれた癌細胞が「壊死してくれるかも!」

みたいな、「楽観的な(根拠の乏しい)解釈」に逃げてしまう誘惑となるのです。

 

最後の最後に…

上記のような「誘惑」との葛藤がありつつも(人間とは弱いものです)

『ここまで来たら、最後まで粘ってやる!』

 

あらゆる角度から…

少しずつ(文字通り)「ミリ単位」で外していったのです。

『青大将に傷つかないか??』ヒヤヒヤものでしたが…

 

 

 

一見…

血管に浸潤していて「血管の壁を破らなければ外せない」

ように見えていても、周辺から「少しずつ」外した先に

このような勝利があったのです!

 

いやぁー、このような症例を経験すると

如何に通常の郭清が「楽」で「安全」なのか、再認識させられました。

 

『日々、是修練』