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今週のコラム 276回目  腋窩郭清の動画に向けて 3  腋窩鎖骨下リンパ節転移の手術

本日はバレンタインデー

とは、関係なく今朝は暖かさを実感しました。(流石、2月も中旬!)

早朝(夜中?)のランニングも(いつも通り)手袋2枚重ねで出発も、早々に(厚くて)1枚にしました。

日中も暖かくなるとの予報。大いに期待です。

 

夜中の地震!

千葉の自宅も「大いに」揺れました。次第に治まりましたが(10年前は)「あそこから」どんどん振幅が増して…(あぁ、想いだしたくない)

それにしても、今回の地震が10年前の余震(と考えられる)とのこと。 長いスパンですね。(でも、地球君にとっては一瞬なのかな?)

 

コロナ

だいぶ、減ってきましたね。

感染爆発せずに治まってくるところは、流石!日本です。

 

全期間

 

 

 

この「1か月」の推移

 

 

○ 皆さん、コロナワクチン接種受けましょう。(副反応云々なんて、私から見れば「全く、ナンセンス!」)

この減少傾向を維持したまま「ワクチン」に繋がれば、東京オリンピックも見えてくる(私は、無理だとは全く思いません)

 

○ 本編

痴呆があると、どうしても発見が遅れます。

最近、痴呆があり施設入所中の方が(たまたま)他科で撮影したCTでリンパ節転移を発見されて手術する機会がありました。

(痴呆でもない限り)『ここまで、凄くはならないよな!!』という症例を経験しました。

どのような手術になったのか?

「腋窩鎖骨下郭清」を理解するうえで、大いに参考になるので紹介します。

まずは、「通常の」腋窩郭清⇒腋窩鎖骨下郭清を「おさらい」しましょう。

 

 

 

まずはリンパ節

Ⅰ:レベルⅠリンパ節

Ⅱ:レベルⅡリンパ節

Ⅲ:レベルⅢリンパ節

腋窩静脈沿いに、外側⇒内側へ向かって Ⅰ⇒Ⅱ⇒Ⅲ

 

 

このままだったら、手術は極めて楽なのですが…(実際は、そうではありません)

ここに(視野を遮る)筋肉が2枚被さるのです。

 

 

 

 

1枚目 小胸筋

まず、小胸筋が被さります。

因みに、小胸筋より「外側」のリンパ節がレベルⅠ、

裏側のリンパ節がレベルⅡ、「内側(奥)」がレベルⅢ

 

 

2枚目 大胸筋

(小胸筋の上に)更に大胸筋が被さります。

これで「通常」リンパ節は全て覆われます。

 

 

ここから実際の「郭清操作」の解説

 

まず、大胸筋の外側の膜を切、そこに鈎をかけて

「グイグイ」内側へ捲り上げます。

 

 

 

 

この大胸筋を更に「グイグイ」捲り上げていくと、

(裏にある)小胸筋が見えてきます。

 

 

 

 

 

更に、内側へ引っ張ると

小胸筋の「ほぼ」全貌が姿を現します。

ここまでではレベルⅠしか見えません。

 

 

 

 

 

ここで、小胸筋の外側の膜を切り、

ここに鈎をかけ

 

 

 

 

 

この小胸筋もグイグイと内側へ引っ張ると

漸くレベルⅡが現れます。

 

 

 

 

ここまでの視野での郭清を

「レベルⅡ郭清(またの名を「腋窩郭清」)といいます。

 

 

 

腋窩鎖骨下郭清

と、ここまで(腋窩郭清)は、一連の流れで行える

(基本的に2枚の筋肉を内側へ引っ張るだけ)

のですが、これ以降は「一手間,二手間、しかも視野が悪い」

なので、『今は鎖骨下郭清は、通常行われずに放射線で対応します。』

などと、ぬかす乳腺外科医が多くなってしまったわけです。(トホホ… 古!)

 

 

実際に、この視野にするためには、

①大胸筋と小胸筋の間を剥がす。

②小胸筋の内側の筋膜を切離する

③腋窩静脈を破らないように小胸筋にテーピングする

という、3ステップが必要となるのです。

 

 

ただ、「これ」を躊躇なくできないと、難関症例に対処することは不可能となります。

 

 

○ 難関症例

 

 

 

これが、実際の「難関症例」

痴呆だからこその状況です。

こんな時、あなた(が、乳腺外科医なら)どうする??

 

 

続きは次回で (あー、ここまで図を書くと結構疲れます)