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今週のコラム 226回目 乳癌治療の実際 「局所治療」vol.2 放射線

こんにちは。田澤です。

今朝、サンフリで「奴らの足跡のバラード」かかってました。

「はじめ人間ギャートルズ」

懐かしかった。

『何にもない大地にただ風が吹いてたー。』

私が小さいころだったから一之輔がreal timeで見た筈はありません。(その更に下の世代であるアシスタントの「かわみなみ」さんが知らないのも仕方がないよね)

マンモスを狩りして(その肉が凄く美味そうなこと!)、大きな石のお金を使って、そのシンプルさ。

現代社会は複雑になりすぎて、ウイルスひとつで、これだからね。(原点回帰、大事です)

 

〇本編

乳癌の「局所治療」として前回は「手術」を取り上げましたが、今回は「放射線」です。

1.適応

1-1. 術後補助療法としての適応

 

・温存乳房照射

 

手術で「温存手術(部分切除)」を選択した場合には残りの乳腺に照射します。

 

 

 

これにより温存乳房内再発のリスクは1/3となります。

 

 

 

そもそも、温存手術は「術後温存乳房照射を前提」とした術式なのです。

 

 

例外(温存しても、照射を省略する場合)

●ご高齢(90歳以上はいいでしょう)

●病変が十分以上に狭い範囲なのに、かなりのマージンがある場合(数値化できないので、あくまでも主観です)

 

・全摘後の胸壁及び鎖骨上照射

 

リンパ節転移が4個以上の場合が適応となります。

 

 

 

それと、T4症例ですね。

もともと皮膚症状が強くて(術前抗がん剤などで縮小して)手術した場合、やはり「局所再発(皮膚)」が心配となります。

 

 

1-2. 再発の場合の適応

・骨転移への照射

「疼痛」もしくは「骨折」の原因となっている場合

ターゲットがはっきりしている場合(単発でコントロールされているなど)

・その他の部位への照射

鎖骨上や頸部、縦隔リンパ節など(他に遠隔転移が無い場合など、積極的に照射してもよい)

肝、肺など tomotherapy 注13 )であれば、全身療法の補助的に有効です。

⇒このケースでは、「あくまでも全身療法でコントロールされていること」が絶対条件です。

注13 )tomotherapyは小型のリニアックを360°螺旋状に回転させ(照射したくない部位を避けながら)照射したい部位をピンポイントに狙うIMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy)です。

また、IGRT(Image Guided Radiation Therapy)により位置補正を行う高精度の治療

☆重要臓器(大血管や心臓など)の傍にある標的(転移リンパ節など)を狙うのに最適です。

 

 

江戸川での放射線の実際のところ教えて!

 

 

 

了解しました。

まず大前提ですが、当院ではtomotherapyが3台稼働しているので、すべての照射をtomotherapyで行っています。

●温存乳房照射

tomotherapyで15回(寡分割照射)となります。(遠方の方は入院で行われています。)

やはり、温存乳房照射にtomotherapyを用いる利点は、その「有害事象(放射線肺臓炎)の少なさ」です。

私は6年前に江戸川に来るまでは(当然ながら)通常照射でしたので、「その違い」は実感しています。

●(全摘後の)胸壁及び鎖骨上領域への照射

これは25回です。

咽頭痛(鎖骨上領域の影響です)が若干ありますが、有害事象は殆どありません。

●再発(放射線)治療

 

再発治療における放射線治療の位置づけは、、あくまでも「全身治療」の補助であることは大原則として理解してください。

 

・骨転移 疼痛や骨折の場合に「絶対的」適応がありますが、単発であれば(それらの症状がなくても)積極的に照射をしています。

case 1  腰椎転移(のみ)の患者さん

⇒まずは(その部位に)照射して、その後(luminal typeであれば)palbociclib+Fulvestrant

〃               (tripple negativeであれば)chemotherapy

・リンパ節転移 これは症状はないので「絶対的」適応はありませんが「局所治療」として(照射は)明らかに有効です。

まずは全身治療をしてコントロール(画像上、マーカー上)して、その後(仕上げとして)局所治療としての放射線しています。

・肺、肝転移 当院がtomotherapyだから行うようになりました。(江戸川に来るまでは行った経験ありませんでした)

全身治療(palbociclibなりchemotherapyなりで)を行い、コントロールされた後に、積極的に行っています。

やはり(元は)乳癌、肺転移も肝転移も放射線感受性は抜群です。