こんにちは。田澤です。
「イシュラン」というところからハガキが来て、「2017年版「日本の乳がん治療医“Warm 30”」というところに載りましたよ。
ということでした。
(興味本位に)ちょっと見てみましたが、何か気恥かしいですね。
そこに、私の大学医局の後輩(W.G)が載っていたのには驚きました。
ただ(直接一緒に診療したことはなかったけど)人柄は(勿論)知っているし、診療に対する「噂(診療態度がいいという噂です)」は聴いていたので納得しました。
♯ちなみに、彼とは仙台時代に「北海道 ニセコ」へ一緒にスキーに行った想い出があります。
ちょうど15年くらい前…
当時、私は「東北公○病院」に勤務していて、それ以外のメンバー(W.G.も含めて)は大学病院に勤務していたのだけど、一緒にスキーに行ったのです。
土日を利用して「金曜日の夜の便」でニセコ入り、土曜日朝から滑っていました。
ただ、土曜日午後から天候が荒れ始め大雪。
翌(日曜日)は、スキー場閉鎖どころか朝から「飛行機が全て休航」、バスも入れずホテルは一時「陸の孤島」状態に。
「まずい、(仙台に)戻れない!」
私は焦っていました。月曜日は(当然ながら)激務が待っているのです。
「患者さんにも、スタッフにも迷惑がかかる!」
ただ、我々メンバー間には「温度差」がありました。
他の(大学病院勤務の)メンバーは、「仕方ないよな。 医局に残っている連中に任せればいいよな。」
★大学病院には医師が余っており、「どうとでもなる」のです。
大学病院の医師には責任感が希薄なのです。(「医局長に小言言われるな―」程度の認識なのです)
♯もしも私も大学病院時代であれば、同様(の考え)だったことでしょう。(多分)
「今は全便、休航となっているけど、天候が回復すれば夕方とかに飛ぶかもしれない。」(と、私は考えました。)
とにかく、札幌(新千歳空港)に行かない事には(帰れる)可能性自体無くなってしまうのです。
他のメンバー「えー、でも(この大雪で)バス走っていないよ。どうやって行くのですか?」「無理ですよ。今日はこのホテルに延泊しましょうよ。」
俺「とにかく、札幌に行くぞ! タクシーに片っ端から電話しよう。」たまたまそのメンバーの中で最年長だった私に選択権がありました。(多数決なら間違いなく負けていたでしょうが)
そして、(何度目かで)タクシーを確保することができたのです。
ニセコからタクシーは、かなりの額(記憶では5万円?もしかすると10万円くらいだったかもしれません。4人で割り勘でした)となりましたが、「そんなことは、どうでもいい」とにかく札幌へ。
そして札幌に着きました。
相変わらず、全便欠航です。
ただ…
午後から天候が回復してきて、奇跡的に「我々が乗る予定だった(まさに)その便」から飛んだのです!
♯ 我々より早い便を予約していた人たちは欠航となり、キャンセル待ちで乗れていないのに、(もともと遅い便に予約していた)我々の方から先に乗れたのです。(とてもラッキーでしたが、何とも悪い気がしたことも覚えています)
今でも「(待ちくたびれて)疲れ切った人たちが空港に溢れていた光景」が鮮明に浮かびます。
「強い意志は岩をも砕く」
翌(月曜日)に、普通に出勤してきた私をみて(スタッフから)「北海道のことはニュースで見ていたから、てっきり今日は休みだと思っていたよ!」と驚かれたものです。
前回は腋窩リンパ節再発についてお話しましたが、
局所再発には「腋窩リンパ節再発」と「胸壁(温存の場合には温存乳房内)再発」というものがあります。
★温存乳房内再発:これは「乳房温存術(部分切除)」をした(残存)乳腺に再度腫瘍が出た場合は言います。
(初回手術時の)「取り残しが増大」したケースと「全く新規に発癌」したケースを厳密には分けられません(初回手術時の腫瘍と現腫瘍との「位置関係及び組織型、サブタイプ」などで、ある程度判断はしますが…)
これについては「乳房内再発しても、(その際に)乳腺を全摘すれば、(初回手術のさいに)最初から全摘していたのと予後は同じ」という大原則通りです。
ここでは(全摘後の)胸壁再発について解説します。
胸壁再発とは? 乳腺は全摘している筈だから「乳腺は残っていない筈」なのに?
考えられるのは(乳腺組織が)「皮膚側」もしくは「胸筋側」のどちらかに残存していた。ということです。
胸壁再発の場合には(皮膚側の再発にしろ、胸筋側の再発にしろ)現状で、「皮膚にも胸筋にも接している」わけですから、
手術の際には「真上の皮膚及び直下の大胸筋も一緒に切除」が大前提です。
◎胸壁再発は(再発した部位の)皮膚側か胸筋側に「癌細胞が(手術時に)残存」していて、それが(時間をかけて)増大したと考えられます。
まずは正常な「乳腺の層構造」の図解です。
乳腺は表側(皮膚)や裏側(筋肉:大胸筋)との間に、脂肪がついています。
それぞれ「皮下脂肪」、「乳腺後脂肪」と呼ばれます。
○乳癌の発生
癌は「乳腺」から発生するので、(初期は)乳腺内に留まっています。
これは(手術)病理所見では「波及度g(gland :乳腺のこと)」と表現
典型的には「非浸潤癌」(当然、乳腺内ですから波及度gとなります)
ただ、浸潤癌(乳管から浸潤)でも「波及度g」のケースはあります。
○波及度gの場合の切除ライン
乳腺に「切り込まず」に切除すれば、全く問題ありません。
将来的に「局所再発(胸壁再発)」することは絶対にありません。
これに対して、「癌」は(いずれは)乳腺内から皮下脂肪へ浸潤していきます。
実際には、「裏側の皮下脂肪へ浸潤」する場合もあれば、「表側の皮下脂肪へ浸潤」する場合もあります。
どちらも手術病理では「波及度f(fat:脂肪層)」と表現されます。(表と裏の区別はしません)
< 大胸筋側再発のリスク > < 皮膚側再発のリスク >
乳腺内の腫瘍が大胸筋側へ突出 乳腺内の腫瘍が皮膚側へ突出
しているケース しているケース
(手術時) (手術時)
大胸筋側に「注意を怠る」と… 皮膚側に「注意を怠る」と…
癌細胞が大胸筋側が残存する 癌細胞が皮膚側に残存する
この癌細胞が増大すると… この癌細胞が増大すると…
< 大胸筋側再発 > < 皮膚側再発 >
これは「波及度p(pectoral muscle)」 これは「波及度s(skin)」といいます。