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今週のコラム 58回目 細胞診の鑑別困難は「良性が多く、何でもあり」だが、組織診での鑑別困難は「境界病変が多く、確定診断へ進むべき」なのです。

今年もいよいよ残り少なくなってきました。

私事でなんですが…

今年の年末には沖縄に行ってきます。

 

 

 

 

沖縄と言えば思い出す事があります。

2013年9月(江戸川に来る前年です)

滞在最終日、台風到来!

本州へ戻る航空便も一部を除いて殆どが欠航。

空港ロビーには「帰れない」人が溢れています。

「仙台便も欠航」 頭が真っ白になりました。

明日から仕事なのに戻れない。

あちらこちらに、「台風なので、今日は帰れない、明日は休みます」仕事先へ電話している人達がいます。

 

「俺は休むわけにはいかない」(朝から外来があるのです)

「陸続き」であれば何とかなる。

まずは、「どこでもいい、本州に辿りつくのだ!」私は腹を括りました。

僅かながらに欠航を免れた「中部国際空港便」のキャンセル待ちに幸運にも当選し、一路名古屋へ。(ここが勝負どころでした)

 

 

 

 

名古屋から新幹線に飛び乗り東京へ。(最終便でした)

この時点で深夜12時。

 

 

 

休む間もなく、(新幹線内で予約していた)レンタカーに飛び乗り、「八戸」へ。(東京-八戸間、700km non stopで7h ! 睡魔との闘いでした。)

♯江戸川に来る直前の9カ月間は八戸で勤務してました。

徹夜で走って、朝には到着!

こうして「体力勝負の大冒険」は幕を閉じたのです。

♯外来は、眠くて大変でしたが…

 

今回は、台風シーズンではありません。(いかに、昨今の異常気象と言えども…)

そもそも、今回は(年を越さずに)年内には戻るので、(年始の)診療開始日には余裕があります。

3年前には(その余裕が)なかった、この違いが「大人の余裕」でしょうか(笑)

 

○カテゴリー分類

今回は、この話をします。

Qを見ていると、「画像診断」なり「細胞診、もしくは組織診」のカテゴリー分類に翻弄されている様子が垣間見れます。

「怖がる」前に、まずは正しい理解をしてもらいたいと思います。

 

◆画像診断

日本の基準(カテゴリー1~5)に対しアメリカで用いられているBI-RADS(Breast Imaging Reporting Data System)がありますが、日本でも(特に放射線科医が)BI-RADSを用いることが増えてきているようです。

(以下、表) 表上でクリックすると拡大します。

 

 

 

 

 

 

◆細胞診、組織診

○細胞診はパパニコロウのクラス分類(ClassⅠ~Ⅴ)が用いられてきましたが、時代の要請から廃止の方向にあります。

 

a)検体不適性(inadequate)

b)検体適性(adequate)

正常あるいは良性(normal or benign)       ⇒(従来の)ClassⅠ~Ⅱ

鑑別困難(indeterminate)             ⇒(従来の)ClassⅢ

悪性の疑い(suspicious for malignancy)      ⇒(従来の)ClassⅣ

悪性(malignant)                ⇒(従来の)ClassⅤ

 

♯先週あったQの中で「鑑別困難」が出てきましたが、

これは(乳管内乳頭腫などの)「乳頭状病変」、(増殖が比較的強い乳腺症などに伴う)「過形成病変」、(異型を伴う過形成病変)「f.e.a:flat epithelial atypiaやADH:atypical ductal hyperplasiaやlow grade ductal carcinoma in situ低異型度非浸潤癌」,他にfibroepithelial tumor(葉状腫瘍や線維腺腫の一部)など非常に幅広くなります。

つまり、『細胞診の鑑別困難は(良性病変が多いが)何であるかは予測不可能⇒組織診をしなさい』と解釈すべきなのです。

 

♯♯ちなみに「悪性の疑い」は、其の90%以上が悪性です。

 

○組織診は、判定区分は(上記)細胞診の区分と同一です。

「組織診での鑑別困難」

①(細胞診のように何でもありではなく)必ず、「鑑別すべき組織型を明記すること」となっている。

②(細胞診の際では良性が多いが)組織診では「境界病変(上記f.e.aやADH, low grade DCIS)の可能性が高くなる。

③CNB(バネ式針生検)で「鑑別困難」であれば、(経過観察ではなく)「吸引式針生検(マンモトーム生検)」もしくは「外科的生検」とすべきである。

「鑑別困難」についてまとめると…

細胞診の鑑別困難は「良性が多く、何でもあり」だが、組織診での鑑別困難は「境界病変が多く、確定診断へ進むべき」なのです。