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今週のコラム 56回目 超音波で異常所見があるのに、MRIで異常がないから大丈夫。など、とんでもない診療です。

11月も最後の週になりました。

先週から、気温も下がり先週には(東京での)「54年ぶりの初雪」でした。

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朝、車に乗ろうとしたら凍っていてびっくりしました。

インフルエンザの流行も始まっている様です。体調管理にはお互い気をつけましょう。

 

 

○自分の中での新しい曲

Raise your flag

少し前ですが…

日曜日早朝4:30 FM番組「GrindHouse fm(仙台DATE FM)」から流れてきた「Raise your flag」

 

raise-your-flagRaise your flag

声の限り

声の限り

声の限り叫んで

 

きっといつか

いつか何処か

辿り着くと信じて

 

最高にテンションが上がる曲です。(走るスピードも5%増し?となります)

MAN WITH A MISSION  久しぶりに好きになったアーティストです。

 

Justin Bieber “What Do You Mean” これもお気に入りです。

 

 

本日の本題に入ります。

「MRI的免罪符」

私がQandAでしばしば使用する語句です。

その意味を実例から学んでみましょう。

 

■某検診機関にて

Aさん(40代 女性)

検診でマンモグラフィー異常無、エコー要精査となり、(本来、この時点で紹介となるべきですが)そこの検診センターではMRIが撮影可能であるため、(そのまま)その施設でMRIを撮影することとなりました。

 

B医師(その検診センター所属の医師のようです)

「MRIでは、その腫瘍は異常無しとの結果でした。それでは半年後経過観察としましょう」

 

Aさん

(MRIで異常無と言われた事に、ほっとしながらも)

「本当に大丈夫なんですか?癌では無いのですね。組織検査しなくても大丈夫なんですか?」

 

B医師

「癌ではないと言っているわけではありません。ただ、MRIで異常が無い以上、組織検査は不要です。5mmなのだから、半年後経過観察で十分です。」

 

Aさん

(癌で無いとは言い切れないとの言葉に少し不安を覚え)

「やっぱり心配です。組織検査して確認したいです。紹介状を書いてください」

 

B医師

「MRIで異常所見がないのに紹介状なんか書けるか。そんなの書いたら、こちらが笑われてしまう。」

 

Aさんは結局紹介状を書いてもらえませんでした。

しかし、紹介状無でも診てくれると(ネットで)確信し、当院を受診されました。

 

■江戸川病院にて

Aさん

(今までの経緯を私にお話した上で)

「とにかく心配なのです。(必要なら)組織検査をしてもらいたいのです。」

 

超音波で異常所見があるのに、MRIで異常がないから大丈夫。など、とんでもない診療です。それでは超音波してみましょう。

 

○実施に超音波すると、超音波像は5mm程度ですが、「不整形」「血流信号あり」

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「これは6割以上は癌だと思います。当然組織診すべきです。」

 

Aさん

(癌の可能性が高いことにショックを感じながらも)

「是非、お願いします。」

 

「病変は小さいながら不均一なので(バネ式針生検よりも)マンモトーム生検の方が望ましい。診断は100%でなくてはならないのです。ただ、(マンモトームだと)一晩風呂に入れません。翌日朝に自分で圧迫テープを外して、そのまま制限は無くなりますが。」

 

Aさん

「是非、マンモトームでお願いします。一晩風呂に入れない事は構いません。痛いですか?」

 

「最初に行う局所麻酔は注射だから、注射している間10秒位は痛いですが、マンモトームそのものは痛くないですよ。」

 

Aさん

「よろしくお願いします。」

 

○後日、病理結果は(小さいながらも)「浸潤癌」でした。

 

◎たとえば、この医師に「この病変は癌でしたよ」とお話しするとします。

すると、

「MRIで異常がなかったから…」とその医師は反論するでしょう。

「MRIで異常がない以上、(癌の可能性は低いと判断し)経過観察することに正当性がある」と主張するでしょう。

皆さん、これが、『MRI的免税符』なのです。

 

実際のところ、5mmの浸潤癌が半年(経過観察とされること)で、どの位進行するか?

誰にもわかりません。(どこがターニングポイントとなるのかは誰にも言い切れないのです)

♯(乳腺外科医の)常識的に考えると…

半年後に診断されれば、「大事には至らなかった可能性は高い」とは思います。

ただし、ここが重要なのですが

半年後に、「1mm程度しか違わない」場合にかえって、その検診機関で

「半年間で殆ど変化無かった(1mm程度は誤差範囲とされるケースはザラです)ので、次は1年後としましょう」

 

こうなると(結果として)「1年半進行させる」ことになります。

1年半後に診断されてしまうと… (実際に、こう言うケースはあるのです)

さすがに「1年半」は看過できない。

「早期発見に勝る治療なし」

是非、皆さんに噛みしめてもらいたい言葉です。