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乳癌手術のブログ 2020/12/3

寒くなりました。

今年も「博多華味鳥」の水炊きをお取り寄せしようと思ってamazonを覗いたら、(スカロケでも紹介されていた)「ふくの鳥」が目に入りました。

レビューの記事にもひかれて、今週末は「ふくの鳥の水炊き」です。

昨日のスカロケの議題とかぶり、「週末のふくの鳥」をモチベーションとして今日の外来も乗り切ります!

 

「早期発見促進委員会」への投稿第2弾

前回、以下の3つの問題点を指摘しました。

1.小さいから

2.自分の手技に自信がないから

3.(そもそも)診断手技を持っていない!

 

今日は「1.小さいから」についてお話しします。

医師でない限り、皆さん人体に針を刺して「的を射る」経験をしたことは無い筈です。(あったら怖い!)

我々、医師(乳腺外科医)も勿論医師になるまではそんな経験もないし、医師免許をとったらからといっても(勿論)そんな技術研修など一切ありません。

もしかすると皆さんの中には、『人体に実際に行う前に、「疑似乳房?」なるもので練習しているのでは?』と(うっすら)思っているのかもしれませんが、全くそんなことはありません。

なので、皆さんの中で(運悪くも)「お前、やってみるか?」とその場で指導医に言われた若手医師(研修医レベルでは実際に行わないのが普通です)に「汗をダラダラ」たらしながら「目をギラギラ」させながら、細胞診をされた経験の方もいらっしゃるかもしれません。

 

そうなのです。

生検は「経験」なのです。

勿論、人には「センス」があるので、(私が見ていても)「こいつ、センスあるな」と思う医師もいれば、「センスないなぁー」と感じることもしばしばあります。(最近は、麻酔科実習で挿管をする研修医を見ていて感じています)

ただ、ひとつ注目しなくてはいけないのは「手術や(手術時の)既管内挿管は眠っている人が相手」なのに対して、生検は普通に起きている(しかも、大なり小なり緊張している)人が相手だということです。

 

患者さんが眠っていれば、手技に「もたもた」していても(当然ながら)気付かれませんが、起きている患者さん相手だと「スムーズにいかない=とても焦る」という精神状態となり、「上手くいかないまま(検査)終了」となる場面もあるでしょう。

 

○前置きが長くなりましたが…

生検が「起きている患者さん相手」だということ。    「実践」でしか手技を磨くことができないこと。 想像できましたか?

 

「小さい的に当てる方が大きい的に当てるより難しい」

これは、(弓道の心得が無い方でも)容易に想像できます。

特に乳腺は硬いので「思い通りに針を進ませる」ことが(慣れないと)意外と難しい。

「的は見えている」けど、「そこへまっすぐ進ませる」ことは「硬い乳腺が行く手を阻む」わけです。

 

私が日ごろ「細胞診は針生検より数倍難しい=術者によって雲泥の差が出る」と言っている一番の理由が、この「硬い乳腺には細胞診の細い針が真っ直ぐ通るのをしばしば拒む」という事実なのです。

 

針生検に経験の浅い医師は、「的が小さいから」と言う理由で、しばしば「細胞診を選択して、検体不良の山を築く」わけですが、針生検をもっと積極的に選択すれば、少しはましになるでしょうに…

 

的が小さいからと言って、「まずは細胞診をしてみましょう」という乳腺外科医には気をつけましょう。(これらの医師は「検体不良」となることに慣れ過ぎているのです)