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今週のコラム 524回目 oligometastasisへの挑戦 vol. 3 11月23日発表者「なのは」さんの反省 診断に著しい問題のある医師 

BAUMと愉快な仲間たち

 

上から治一郎、nakagawa Baum(rumが決め手)

そして「愉快な」スナックたち

小粋な週末を演出してくれます。

 

 

〇 本文

いよいよ来週に迫ってきた「なのは」さんの出演。(全米が「今や遅し」と震える準備に余念がない様子)

その乗り越えてきた治療は(抗がん剤を受け入れてくれた)大学病院の医師をも震撼させたほど。

そんな「なのは」さんの、その凄まじいエネルギーの原点には「初期診療を誤ってしまった」という反省がありました。

 

それでは時計の針を(前回コラムから)数年戻してみましょう。

 

(以下、「なのは」さんの言葉より一部抜粋)

①始まりは20〇〇年、会社の健康診断にひっかかって要精密検査になったことでした。当時、仕事が忙しかったことから、土日もやっているAクリニックを予約して受診しました。マンモとエコーを行って「健康診断だと専門医がいないから簡単に要精密検査になるんだよ。大丈夫、線維腺腫だ」と言われました。注1) あー良かったと思っていたら

②1年後の健康診断でまたひっかかりました。ただ今度は様子が違っていて、健康診断のクリニックから会社に電話がかかってきて「話があるから来てください」と呼び出され去年、精密検査しましたか?針を刺して細胞診はしましたか?」と言われ「検査はしましたが細胞診はしてないです」と答えると、「細胞診してもらえる病院に紹介状を書くので行ってください」と言われました。すぐに病院に電話して予約を入れたのですが、予約できたのは2週間後でした。それを待てず、すぐに診てもらえるAクリニックにも行こうと思い、行ったのが運命の分かれ道でした。

Aクリニックに行くと、去年とは医師の様子が違って「うーん、血流があるからMRIを撮りましょう」と言われました。「細胞診じゃなくてMRI?」と思いましたが、医師に質問することもなく「最近はMRIでわかるんだ」と検査を受けました。結果は陰性。「これはがんではない、がんだともっと濃くでるから」を言われました。そして、私は「良かった、がんじゃなかった」と、総合病院の予約もキャンセルしてしまいました。

③すると月経の度にしこりが痛くてあざができるようになったので、10か月ぐらい経ったとき、Aクリニックに行きました。すると、医師が明らかに焦った様子で少し声を荒げて「大きくなったら来なさいって言ったでしょ」と言ったんです。「あ、これはやばいんだな」と予感がしました。医師は「今から針生検しても…」とブツブツ言っていたので、私は「がんじゃなくても取ってもらいたい」と希望して、数日後、部分麻酔の日帰り手術で切除しました。

 

 

不屈の闘志でcCRを勝ち取った「なのは」さん。

そのエネルギーの陰には「初診を誤ってしまった」ことがあります。

「もしかして」そう思いつつも、それが「自分にとって都合がよかった(良性であってほしいという願い。に一致した)」ことで(それ以上の行動を起こさずに)封じ込めてしまったという思い(後悔)がありました。

 

まず、①ですが…

いつもなら(周到に)都合の悪い画像は送ってくれないその医師も、幸運なことに?今回「初診時のエコー」画像が(転院の際の)資料に入っていました。

 

 

Aクリニック 初診時US ①

 

 

 

 

Aクリニック 初診時US ②

 

 

 

 

 

Aクリニック 初診時US ③

 

 

 

 Aクリニック 初診時US ④

 

 

えっ?

これを自信たっぷり「大丈夫だ、線維腺腫」っていったわけ?

 

 

 

 

このエコー見たとき、おったまげた(昭和?)よ!

とても画像だけで「線維腺腫と言い切れるレベル=きれいな楕円形」ではないよね??

 

 

ここから、そのストーリーが始まったのです。

 

 

②その1年後だけど…

その検診のクリニックの医師の様子は凄く印象的だよね?

普通なら「紙面で要精査」で済む(実際に1年前はそうだったわけだけど)ところを

わざわざ「呼び出し」して、(前回細胞診せずに良性扱いしたことを責めるかのように)今回は「細胞診してもらえる病院に紹介状を書く」だからね。明らかにこの検診医は「癌を疑っている」ことがアリアリと伝わるね?

 

 

 

正に、その通り!

ただ残念なことに(この際の)画像所見は提供されていない。(と、いうか初診時のUSが提供されたことが奇跡)

ただ、初診時より「より一層」癌らしい画像だったことは想像に難くない。

 

 

しかし、「きちんと診断されてほしい」という検診医の願いむなしく…

「最近はMRIでわかるんだ 結果は陰性。 これはがんではない、がんだともっと濃くでるから」

と、更に診断までの道のりが伸びたということだよね。

 

 

私の想像だけど…

この時点で「なのは」さんの頭の片隅には「もしかして」があったのかもしれない。

ただ「こうあってほしい」という希望に合致してしまったために、「臭いものには蓋、言い換えれば、先送りしてしまったのではないだろうか?

♯このあたりは、あくまでも私の想像なので、来る23日に是非当時のその心境を語ってくれることを願っています。

 

 

そして、遂に③ 本当の診断にたどり着くんだね?

 

 

 

 

まさに、「正に」だよ!

SLUM DUNK風に言うと…

 

 

「待ちくたびれましたよ…!!」

 

 

 

ですね。

何気にSLUM DUNK好きの私。 たまにその名言が頭をよぎります。

スポーツ漫画でいうと、「ダイヤのエース」もお気に入りとか、お気にいらないとか…(余談でした)

 

 

(参考)

線維腺腫っぽく見えても癌 case.1

 

左と右(「なのは」さんのAクリニックでの初診時)比べてください。

実は左も癌です。

右の方がよっぽと「癌らしく」見えませんか?

 

線維腺腫っぽく見えても癌 case.2

 

同様に左も癌です。

 

 

線維腺腫っぽく見えても癌 case.3

 

これなんかも(左)癌なのだから、やはり「なのは」さんの所見を「線維腺腫だ!間違いない」などというのが如何に無知なことか!

 

 

 

それでは最後の「〆」に…

典型的な「線維腺腫(実際に生検で線維腺腫と確認)」と典型的な癌「私のcat.7」を提示します。

左と右、どちらが線維腺腫でどちらが癌なのか?当ててください(皆さんなら簡単ですね? 引っかけはありません)

このくらい典型(私cat. 2)ならば画像だけで「線維腺腫で大丈夫です」と言えるのです。

♯逆にこれくらい典型(私cat. 7)ならば画像だけで癌と言い切ってもいいでしょう。