連休後半初日も、綺麗に晴れていました!
赤ワインがよく合う、そんな午後
○本文
今週は祝日だったので動画配信休み。
ということで、コラムを先行させましょう。
「生検の精度」シリーズ2
治療のためには「診断」が先にあり、それ(診断)無くして先(治療)へは進めない。
その「遅れ」は初発以上に「再発」でより深刻と、言えます。
今、まさにそんなturning pointに居る「あなた」にこそ見て頂くべきものとも言えます。
○術後7年
定期健診のエコーで指摘された4mmの「腋窩リンパ節」
その画像を見ながら主治医は…
『怪しいとは思うが、小さいから生検できない。』
ここで皆さんなら、どうしますか?
大きくなるまで待とう! そう思いますか?
♯ 「大きくなれよ」は丸大ハンバーグだけにして欲しいですね。(懐かしのCM)
この時代、ネットで色々リサーチするヒトも多い事でしょう。
「小さくても100% 確定診断できる」
そんな文言が出てきても、信用することはできずに(会ったこともないのだから、無論致し方ないとも言えますが…)一歩を踏み出せずに、せっかくのチャンスを逃してしまっている人も実際には多いのだと思います。
しかし、この患者さんは一歩踏み出したのです。
確定診断希望メール⇒市川CELERO
病理結果は「乳癌再発」
手術は 腋窩鎖骨下郭清
手術病理では レベルⅠ+Ⅱ(3/8), Ⅲ(1/4)
実際に手術してみると(術前エコーで想像するより)多い。
♯この症例に限らず、多くの症例で明らかに上記が見られます。
何故か? あくまでも想像ですが…
(初発時のリンパ節転移とは異なり)見つかるまでに「長期間のために」リンパ節構造が失われ「ベター」として(エコー画像として)認識しずらくなるのではないか?
術前エコーでレベルⅢに転移所見などありませんでしたが、(再発でもあり)レベルⅢまでの郭清(腋窩鎖骨下郭清)としたことでレベルⅢに転移を残さずに済みました。
焦点1.腋窩再発では(術前画像検査でレベルⅢに転移所見がなくとも)腋窩鎖骨下郭清をすべき
焦点2.この症例では(主治医は4mmだから)経過観察されるところでしたが、実際には3mmの節外浸潤を認め、かつtotal 4個のリンパ節転移があったわけだから経過観察せずに(そして、ネット情報があふれる中)正しい情報を信じ、当院へ辿り着いたのはまさしくファインプレーと言えるでしょう。
♯もしも「あのまま」(小さいからと)経過観察していたら…
物事に「たられば」はありませんが、節外浸潤の増大やリンパ節転移の拡がり、それら全てが「根治不能のリスク要因」となったかもしれません。
あとがき
術後には(節外浸潤もあったので)照射⇒術後抗がん剤(初発時、pT1aであり術後療法が一切省略されていた)を行っています。
そんな激動のなか、希望と(時に)絶望を感じたであろう中で頑張って治療をしていた姿を思い出しながら…
術後1年目の診察エコーが終了し、
私、『本当に良かったと思っている。こんな風に完璧でいられる60%位は私のお手柄かな?』
患者さん、(きっぱりと)『私の中では100% 先生のお陰だと思ってマス。』
自慢話のようで恐縮ですが、ただこのような成功体験の積み重ねこそ外科医としての成長に欠かせない。感謝するのは私の方こそなのです。