皆さん、こんにちは。
スッキリしない週末!
休日に自宅の屋上でワインを飲みながらの(真夏は「鬼レモン」でしたが…)村上春樹(今は「1984」何度目か?の読み返しです)を阻む雨!
天気って、ホントに大事ですよね。
PASSION
「ドレーンを入れないこと」について、掲示板を見ていました。
水曜日「西のハシコ」さんの中に、
『ドレーン入れないなんて無理だよって、騙されてない?』
『騙すとは、何事!』私の感情が揺さぶられました。 『いつか、動画にしてやるぞ』ってね。
一方で、「無理だよ」って言葉に、『努力して出血やリンパ液を減らせるのでは?』っていう発想がないものか。
昨日より、今日、今日より明日。努力して減らせば(ドレーン無でも)「いけるのでは?」的な発想はないのかなぁ。
進歩のない手術では、手術自体、(楽しくないどことか)「(仕事、職業として)苦痛」なのでは?
〇本文
そんな日常診療の中でPASSIONを感じた(しつこい?)症例を最近、経験したので…
Aさん(40代)
検診マンモで「石灰化 要精査」
検診マンモ
(拡大)
pleomorphic grouped category4
B医師
癌の可能性ある石灰化ね。
エコーで見たけど、「しこり」らしき所見が見えるから針生検(core needle biopsy)しましょう。
1回目組織診(core needle biopsy)
診断 atypical epithelium
病理医のコメント 但し病変の採取量が少なく診断確定には至りません。
2回目組織診(vacuum assisted biopsy system)
診断 atypical intraductal lesion
病理医のコメント 癌の可能性が高いですが、病変の採取量が少なく診断確定には至りません。
再針生検あるいはopen biopsy(切開生検)の適応と考えます。
グレーね。
経過観察しましょう。
8か月後 経過観察で撮影されたマンモグラフィー撮影
(拡大)
石灰化は明らかに増えていますが…
(石灰化は)変わらないわね。
半年後経過観察にします。
1年近く、言われるままに「組織診(立て続けに)2回」その後の「経過観察」
「本当に、これでいいのだろうか?」
心配になり調べてみると、石灰化の診断にはST-MMTすべきだ ということを知るのです。
〇 解説
この診療の何が問題なのだろう?
いろいろある。
いや、ありすぎる!
それでは、箇条書きにしよう。
1.ST-MMTが無いのに(癌を疑っている患者さんを)自施設で引っ張り過ぎ
まず(検診の)マンモはcategory 4
私だったら、この段階で(患者さんへ)「50%以上の(癌の)可能性があります。ST-MMTしましょう」となります。
この医師は自施設にST-MMTが無いけれど(エコーでそれらしい所見があるから)「通常の組織診でも診断できる」
と、判断したようです。
core needle biopsyですんなり診断できれば、それも許されるけれど、そうならなかったのだから、経過観察ではなく「ST-MMTのある施設」へ紹介すべきだったのです。
2.core needle biopsyの標本にもvacuum assisted biopsyの標本にも「石灰化」の記載が無い!
私も(ST-MMTの混雑状況などで、検査日程が先になることを嫌い)エコーで見える場合には「MMTE」することはあります。
但し、その場合には『標本に石灰化が入っていること=病理医のコメントに石灰化が確認できる』ことを必須としています。
つまり「エコーで見える所見が本当に石灰化の病変を捉えていた」ことの証明となるからです。
今回は、石灰化が採取されておらず=(つまり)病変を外している、(少なくとも)病変の中心は外れていたと言えるのです。
この患者さんは、当院に辿りつき
(前医の「言い訳がましい」紹介状を持って)受診されました。
まず、驚いたのが経過観察で撮影されたマンモグラフィーで「石灰化が増えている」ことです。
『前医で行われた2回の組織診は何だったのか? きちんと病変に当たっていれば石灰化は減っている筈! 困ったものだ!』
当院でST-MMT施行
採取された石灰化(見えますか?)
診断は 非浸潤癌 「まだ、非浸潤癌で本当に良かった!」