適応外診療にご注意!
「8209 術前化学療法しても完全奏功しなかった場合の再発率」を回答していて…
情報化社会で、中途半端な情報が届くようになって(不完全な)情報の一人歩きが問題となっています。
カドサイラの術後補助療法(術前抗がん剤で完全緩解しなかった場合の)の申請は2019/8月にされていますが、いまだ未承認です。(通例では1年位はかかるとのこと)
ご注意ください。
〇前回(今週のコラム 218回目)では、FEA/ADHについて解説し、更に「腫瘤非形成性病変においての病変の分布」を示しCNBでは確定診断が難しいことを示しました。
今回のコラムでは、MMTEによる確定診断及び、外科的生検(incisional biopsy 及びexcisional biopsy)またその延長線上にある「部分切除」について解説します。
MMTEによる診断 手順
1.③の奥から狙います。
奥まで針を入れ、ここで吸引をかけます。
実際には、この場で、通常針を90℃ずつ回転させながら計4本採取します。
2.この黄色い領域が(吸引され)採取されます。
3.少し引き抜いて、このポジションでも(同様に回転させて)4本吸引します。
4.この部位でも黄色い領域が採取されます。
5.更に引き抜き、ここでも同様の操作を行います。
6.ここでも(図の)黄色い領域が採取されます。
7.さらに引き抜き、吸引をかけます。
8.同様に(黄色い部分が)採取されます。
9.更に針を引き抜き(最も浅い層で)吸引圧をかけると、
10.この部分が採取されます。
この1~10の操作にて採取された領域
病変の中心領域が隈なく採取できることが解りますね。
実際の、この操作(1~10)は5分程度で完了できます。
同様の操作を①②にも更に行うと
このようになります。
実際には「1カ所につき、90°ずつ回転させて4本採取」しているので
①の病変に対し「2か所」x4 =8本
②も同様に「3カ所」x4 =12本
③ 〃 「5カ所」x4 =20本
★この腫瘤非形成性病変に対しては8+12+20=40本採取してます。
この操作で15分程度で完了できます。
なるほど!
MMTEって、ずいぶん広い範囲から採取できるんだねー。
もちろん、道具は「使い方」次第です。
上記のような病変に対し、(私なら)上図に示したように40本採取しますが、
(せっかくの)MMTEなのに2本とか3本しか採取しない医師もザラです。
無論、病変によっては「均質な球体ならば、(私でも)4本」で十分なケースはあります。
なるほど!
相手(病変)次第なんだね。
それが重要な点です。
相手(病変)に合わせない限り十分な診断とはなりません。(均質な腫瘤なら4本で十分、腫瘤非形成性病変なら最低でも10本以上は必要です)
この「十分な診断」を極限まで高めて、(私は)『100%確定診断』としているのです。
〇MMTE 3次元的採取
実際の病変は(当然のことながら)平面ではなく、立体的なものであるため以下のような採取が必要となります。
病変(正面から見た図)
赤線の部分の断面はこうなります。
最大の断面である(図の中央)での採取は大原則ですが、
同じ刺入部からでも、角度を変えて
頭側(図の赤太線)での断面や
尾側(図の黒線)での断面でも同様に採取します。
これにより(針跡は1か所でも)より病変から「満遍なく」採取できるのです。
〇外科的生検と(乳腺)部分切除
腫瘍に「切り込んだ」場合には全て「in」cisional biopsyとなりまず。
上図のように「ごく一部」でも2番目の図のように「大部分でも」切り込めばincisionalです。
これに対して、腫瘍に「切り込まない」場合に「ex」cisional biopsyとなります。
「incisional」も「excisional」も両方とも「外科的生検」と呼ばれます。
biopsyが「純粋に診断目的」であるのに対し、「margin」をつけて取りきることを目的とした場合
乳腺「部分切除」と呼ばれます。